87番札所長尾寺の境内に「さぬきうどん溜2号店」がオープンしました。遍路道沿いにあり、お遍路さんにもおなじみの人気讃岐うどん店の2号店で、冬の季節の讃岐郷土料理「しっぽくうどん」をいただきました。

87番札所長尾寺の境内に讃岐うどん店が誕生しました。
87番札所長尾寺境内に誕生した「さぬきうどん溜2号店」

87番札所長尾寺境内の駐車場付近から東向きに眺めると、北(左)に長尾寺本堂と大師堂、南(右)に手打ちうどん溜2号店という位置関係です。
87番札所長尾寺の境内に新たにオープンしたのが「さぬきうどん溜2号店」です。境内の駐車場南側に元々あった建物を改装して誕生しました。
「さぬきうどん溜」は86番札所志度寺と87番札所長尾寺を結ぶ遍路道沿いにあるので、遍路道中の昼食に立ち寄った経験があるお遍路さんもいらっしゃるのではないでしょうか。
※さぬきうどん溜の近くにある標石に関して、以下リンクの記事で紹介していますので、こちらもぜひご覧ください。
【87番札所奥の院玉泉寺近く】下部が地面に埋もれる造田八幡宮脇参道の中務茂兵衛標石
「静御前」ゆかりの地

さぬきうどん溜2号店がオープンした建物は、以前は「お休み処静」という茶店で、私が訪問した際には昔の看板は健在で、こちらで休憩したことがある人は懐かしさを感じる場所ではないでしょうか。
87番札所長尾寺の名物に「おはぎ」があり、以前はこの建物内で販売されていました。甘納豆入りの素朴な味で、歩き遍路だとここから先の88番札所大窪寺への道中は食糧を入手する場所が限られるので、歩きのお遍路さんにとって貴重な食糧源です。
バス遍路などの団体さんが参拝に訪れた時には、皆が一斉に購入して午前中に売り切れになる日もあったと記憶しています。色んな人々の想い出が詰まった場所が、このほど讃岐うどんを提供する店としてスタートしたことになります。
※甘納豆おはぎに関しては、以下リンクの記事でご紹介していますので、こちらもぜひご覧ください。
【87番札所長尾寺】名物「甘納豆おはぎ」は健在で納経所で販売中
旧店名の「静」は、平安時代末期の源平合戦で活躍した武将・源義経(みなもとのよしつね)の妾であった静御前(しずかごぜん)のことですね。静御前母の磯禅尼(いそのぜんに)が長尾寺近くの出身だったとされていて、当地には2者のエピソードが数多く伝わっています。
※磯禅尼と静御前の母娘の長尾寺における言い伝えについて、以下リンクの記事でご紹介していますので、こちらもぜひご覧ください。
【87番札所長尾寺】源義経の愛妾「静御前」とその母「磯禅師」の得度と「剃髪塚」
途絶えた「力餅運搬競技」

さぬきうどん溜に入店し、うどんを注文して境内が見える場所に着席すると、お遍路さんのお経をBGMに讃岐うどんを食べることができました。
県外在住の先達さんに「87番札所長尾寺に溜うどんがオープンしたそうなので、あなたが行ってみてどんな感じか教えて」と依頼があったので、今回は讃岐うどんランチを楽しみに長尾寺へやってきました。
店先には「名物力もちうどん」と掲示されていました。

長尾寺ならではの縁起の良いメニューが「力もちうどん」です。
長尾寺では、毎年正月7日に開かれる長尾寺大会陽(ながおじおおえよう)において「力餅運搬競技」が行われていました。大鏡餅上下と台の三宝を合わせた重量は170kgにも及び、それを抱えて歩いた距離を競います。
場所によって若干起源が異なりますが、弁慶が大岩を持ち上げて家臣を鼓舞したことに由来する説があります。当地の他では別格1番札所大山寺で行われる力餅大会が広く知られています。
今回長尾寺を訪問して知ったのですが、長尾寺の力餅運搬競技は先のコロナ禍で中止になり、令和2年(2020年)を最後に開催されていないようです。それでいけば中止になって今年(令和8年)で6年経過したことになります。何事も一度途切れてしまったことを再開するのは、それまで以上の大きなパワーが必要になりますが、ここでもそれを痛感します。
もう少し年月が経つと祭事の伝統や運営を知る人が少なくなり、やがて伝説になる道を歩んでしまっている長尾寺の力餅競技ですが、それを食い止めるために立ち上がったのが地元出身のさぬきうどん溜さんたちです。
ネットメディアの記事によると、「この寺を単なる参拝の場所ではなく、若い人も集まり交流できる拠点にしたい。当店のうどんで寺や周囲を盛り上げ、ゆくゆくは力餅運搬競技なども復活させられれば」(高松経済新聞2026年1月20日掲載)とのことです。
その賑わいへの一歩がさぬきうどん溜2号店のオープンのようです。
なお、今回私が選んだメニューは力もちうどんではありません。香川県民がこよなく愛するこちらが食べたかったからです。
冬になると香川県民が恋焦がれる「しっぽくうどん」

しっぽくうどんとは、香川県で親しまれている主に秋冬シーズンの郷土料理で、根菜を中心とした数種類の季節野菜や油揚げなどを出汁で煮込み、茹でたうどんの上にかけて食べる温かいうどんです。
「しっぽくうどん始めました」
讃岐うどん店でしっぽくうどんの提供が始まったことで県民は冬の訪れを知り、それを食べに足繫く通う人々がいるほど、香川県民に愛されているメニューです。
「しっぽく」は漢字では「卓袱」と書き、卓袱料理(しっぽくりょうり)は長崎県の郷土料理になっています。
卓…テーブル(卓)
袱…テーブルクロス(風呂敷)
多文化の長崎のおいて、祝いの席などでは和華蘭に由来する様々な食が卓上に盛り付けられ、それを大勢で囲んで食べていたことが卓袱料理の起源と言われます(和…日本、華…中国、蘭…オランダ)。
それが転じて大皿料理→具がたくさんの料理がしっぽくと呼ばれるようになり、讃岐に伝わった際に名物のうどんと融合したのが、讃岐のしっぽくうどんのようです。
私が知っているしっぽくうどんは、うどんにけんちん汁に似たものをかけて食べるスタイルで、すなわち甘めの醤油味がそれだと思っていたのですが、手打ちうどん溜二号店のしっぽくうどんは、白味噌仕立てのしっぽくうどんでした。白味噌というと甘口なイメージがありますが正にその通りで、よく見かけるしっぽくうどんの甘口のまま、味噌の旨味と合わさって口当たりがよりまろやかになったような味わいでした。
香川県民は甘いものを好んで食べる県民性があるといわれますが、それを地で行く県民の味が手打ちうどん溜二号店のしっぽくうどんでした。
さぬきうどん溜2号店の営業時間は、拝見したネットメディアの記事によると9~16時で、うどんが無くなり次第終了、定休日は月曜日だそうです。
遍路道中だけでなく、讃岐うどん店めぐりのうどん遍路の旅を楽しまれている人にもぜひ訪れていただきたい店舗で、寒い冬の季節は私的には讃岐の郷土料理「しっぽくうどん」がおすすめです。
※87番札所長尾寺の境内各所の詳細を以下リンクの記事で紹介していますので、こちらもぜひご覧ください。
【87番札所長尾寺】「八十七番霊場」であることを示す本堂前にある中務茂兵衛標石
【87番札所長尾寺】四国内に3ヶ所現存する「ラジオ塔」のうちのひとつ
【87番札所長尾寺】源義経の愛妾「静御前」とその母「磯禅師」の得度と「剃髪塚」
【87番札所長尾寺】名物「甘納豆おはぎ」は健在で納経所で販売中
| 店舗名 | さぬきうどん溜2号店(さぬきうどんたまり2ごうてん) |
| 住所 | 香川県さぬき市長尾西653 |
| 電話 | 0879-52-0213 |
| 営業時間 | 9:00~16:00 月曜定休 |
| ホームページ | https://www.instagram.com/tamari.1215/ |










