【香川県三豊市三野町】大祭の2日間だけ本殿に参拝できる「津嶋神社」の近くで仲多度郡をアピールする「郡界石」

香川県三豊市三野町、1年のうち大祭の2日間だけ小島に建っている本殿に参拝できる「津嶋神社」の近く、瀬戸内海沿いに仲多度郡と三豊郡をわける標石が静かに立っています。風化は進んでいますが、地域の歴史を刻み続けています。

スポンサーリンク

津嶋神社近くの郡界石

海辺に佇む仲多度郡と三豊郡をわける郡界標石です。

 

郡界石の正面に表記されている内容

津嶋神社近くの郡界石_正面

郡界石正面は風化しながらも郡名を確認できます。


<正面>
界郡

仲多度郡●●
三豊郡●●
●●
●●
仲多度郡
三豊郡


香川県西部、現在の仲多度郡と三豊郡の境界付近に、1基の郡界標石が残されています。位置は、1年のうち大祭が行われる2日間だけ小島に建っている本殿へ渡り参拝することができることで知られる津嶋神社(つしまじんじゃ)のほど近く、瀬戸内海を望む穏やかな風景の中にあります。
こちらの標石は、明治期以降に設置された郡界標石のひとつと考えられます。以前取材した郡界石と同様に、正面にそれぞれの郡名を刻む形式ですが、海沿いという立地のためか全体的に摩耗が進んでいます。それでも正面には仲多度郡、三豊郡の文字がかろうじて読み取れ、行政区分を明示する役割を果たしてきた歴史がうかがえます。

※以前取材した郡界石に関して、以下リンクの記事でご紹介していますので、こちらもぜひご覧ください。

【香川県三豊市財田町】周辺の主要地点への距離が示されている仲多度郡と三豊郡をわけた「郡界石」

【香川県三豊市財田町】かつての道と人が目指したものを読み解ける仲多度郡と三豊郡をわけた「郡界石」

 

標石の右面に表記されている内容

津嶋神社近くの郡界石_右面

右面は潮風に削られ刻字の判読が難しくなっています。


<右面>
郡界是ヨリ三豊郡
●●
●●


右面に回ると、文字はさらに読み取りづらくなります。
瀬戸内海は波穏やかな内海とはいえ、長年にわたり潮気を含んだ風にさらされてきた石肌は、角が丸まり、彫りは浅くなっています。標石の素材自体に特段の違いがあるわけではなく、保存状態の差は環境条件の違いによるものが考えられます。
石から文字を完全に拾えないもどかしさはありますが、それでも存在自体が境界を示す証拠です。郡界標石は、地図上の線を現地に具現化した存在であり、行政制度が地域社会に浸透していった証しでもあります。

 

標石の左面に表記されている内容

津嶋神社近くの郡界石_左面

郡界石の左面は現在の道路に対して横向きになっています。


<左面>
郡界是ヨリ仲多度郡
●●
●●


瀬戸内海-防波堤を兼ねた道-郡界石-JR予讃線-香川県道21号丸亀詫間豊浜線

郡界石と道の位置関係は、こんな感じです。

現在、この標石は道路に面した側が裏面となる配置です。しかしその道路は、防波堤を兼ねて造成された可能性が高く、設置当時の地形とは異なっていると考えられます。
仮に旧来の道路が石よりも内側、すなわち内陸側にあったとすれば、当初は別の方向を正面としていたことになります。郡界石は原則として往来に向けて設置されるため、向きの変化は周辺環境の改変を示唆します。移設の可能性も含め、石の立ち方から地域の変遷を読み解くことができます。
海岸線は埋め立てや護岸工事により徐々に姿を変えてきたでしょうから、こちらの標石はそうした変化を静かに見つめ続けてきた存在ともいえそうです。

 

標石の裏面に表記されている内容

津嶋神社近くの郡界石_裏面

大正6年は西暦1917年で世界は第一次世界大戦(1914-1918)中でした。


<裏面>
大正六年七月建設


この建立年月は黒川駅近くの郡界石と同年同月です。

これらの郡界石について、建立を郡主導、特に仲多度郡が自郡の領域を明確にする意図で、まとまった本数を建てたように感じられます。それは憶測の域ですが、仲多度郡といえば金刀比羅宮がある琴平町が仲多度郡ですので、郡界石建立当時も大勢の人々の往来があったことが考えられます。
※金刀比羅宮に関して、オーダーメイド納経帳・御朱印帳「千年帳」の以下リンクの記事で詳しく紹介されていますので、こちらもぜひご覧ください。

【御朱印情報】香川県「金刀比羅宮(こんぴらさん)」の本宮と奥社で授与されるアート御朱印

とりわけこの郡界石は、特別な風景の中に立っています。近くの津嶋神社は、年に2度の大祭日にのみ小島に建っている本殿に橋を渡って参拝できることで知られ、海と信仰の結びつきを今に伝える存在になっています。

※津嶋神社に関して、以下の空撮映像でご紹介していて、映像には郡界石は映っていませんが、郡界石周辺のロケーションとしてぜひご覧ください。

 

【「津嶋神社近くの郡界石」 地図】

四国遍路巡礼に
おすすめの納経帳

千年帳販売サイトバナー 千年帳販売サイトバナー

この記事を書いた人

四国遍路案内人・先達。四国八十八ヶ所結願50回、うち歩き遍路15回。四国六番安楽寺出家得度。四国八十八ヶ所霊場会公認先達。 高松市一宮町で「だんらん旅人宿そらうみ(http://www.sanuki-soraumi.jp/)」を運営。