87番札所長尾寺の名物として昔からお遍路さんに愛されている「甘納豆おはぎ」は、現在は納経所で販売されています。手づくりで数に限りがあり、売り切れていることもしばしばなので、見かけた際にはぜひ一度味わってみてください。

札所境内に飲食店があると、食べてから参拝、参拝してから食べる、いずれも便利なところが利点です。
令和7年(2025年)12月31日に87番長尾寺境内にオープンしたさぬきうどん溜2号店を訪れたあと、白味噌仕立てのしっぽくうどんを堪能し、境内を散策しました。
※さぬきうどん溜2号店に関しては、以下リンクの記事でご紹介していますので、こちらもぜひご覧ください。
【さぬきうどん溜2号店】87番札所長尾寺の境内にオープンしたお遍路さんにもおなじみの讃岐うどん店
87番札所長尾寺本堂前の「中務茂兵衛標石」

87番札所長尾寺境内にオープンしたさぬきうどん溜から見ると、向かい側にある本堂の前の赤丸で囲んだ部分にある標石が中務茂兵衛標石です。
長尾寺は四国八十八ヶ所霊場の87番札所で、1番札所霊山寺から順打ちで巡拝してきたお遍路さんは「もうあと一つなのかあ」と、悦びより寂しさを感じるという人が多いのではないでしょうか。人それぞれに感じ方があると思いますが、私は一番最初のお遍路で訪れた時はそのように感じました。
ここまで決して楽な道のりではないのに、終わるのが寂しい、四国八十八ヶ所霊場巡礼はそれだけ特別な旅なのでしょうね。
本堂前には石柱や標石が複数建っていますが、その中に中務茂兵衛標石があります。
中務茂兵衛標石といえば、わかれ又などで両方向の行先や里程を知らせるものがほとんどですが、こちらにある標石の主情報は、長尾寺が87番札所であることを表す珍しい中務茂兵衛標石になっています。
※長尾寺本堂前になる中務茂兵衛標石に関しては、以下リンクの記事でご紹介していますので、こちらもぜひご覧ください。
【87番札所長尾寺】「八十七番霊場」であることを示す本堂前にある中務茂兵衛標石
静御前の剃髪塚とラジオ塔

本堂の西(向かって左)にある護摩堂の前にある台座に長尾寺ならではのものがあります。
平安時代末期の源平合戦で活躍した武将・源義経(みなもとのよしつね)の妾であった静御前(しずかごぜん)の母・磯禅尼(いそのぜんに)が当地の出身とされていて、長尾寺周辺にはその母娘のエピソードが数多く伝わっています。義経を静御前は長尾寺で出家得度を受け、その菩提を弔いました。その時に剃った髪がこの場所に納められたと伝わります。
実兄である源頼朝と対立して追われる身になった源義経と奈良の吉野で今生の別れとなった静御前ですが、その後捕らえられ鎌倉へ送致されます。そのとき静は義経の子を妊娠していて、頼朝は女児なら助けるが、男児なら殺すようにと命じます。後に生まれてきたのが男児だったため、赤子は取り上げられ由比ヶ浜に沈められました。
史実では静御前と磯禅尼はその後京に返され余生は不明とされます。長尾寺周辺に伝わる話は、それからの時代の話になります。
※長尾寺における静御前と磯禅仁の話は、以下リンクの記事でご紹介していますので、こちらもぜひご覧ください。
【87番札所長尾寺】源義経の愛妾「静御前」とその母「磯禅師」の得度と「剃髪塚」
写真の左側に写っているものは「ラジオ塔」と呼ばれ、正式名称は「公衆用聴取施設(こうしゅうようちょうしゅしせつ)」です。ラジオ受信機が高価で一家に1台ではなかった時代に、ラジオを聞くために当局によって設置された公衆ラジオ受信機が、こちらの通称・ラジオ塔です。
戦前の高校野球の観戦風景として、試合経過を聴取するために公園に集まった民衆、のような構図の写真を目にすることがありますが、その中心にあったのがラジオ塔です。長尾寺は境内が平坦で広いので、ラジオ塔が設置されたあたり昔から人が多く集まる場所だったことをうかがい知ることができます。
※長尾寺のラジオ塔に関して、以下リンクの記事でご紹介していますので、こちらもぜひご覧ください。
【87番札所長尾寺】四国内に3ヶ所現存する「ラジオ塔」のうちのひとつ
長尾寺名物「甘納豆おはぎ」

長尾寺名物「甘納豆おはぎ」は、以前は納経所がお休み処静(現・さぬきうどん溜2号店)が隣同士にあって、参拝後に納経したらお茶とおはぎをいただいてから、次の88番札所大窪寺を目指すというのが定番でした。
コロナ禍によるものだったと記憶しておりますが、長尾寺境内にあった「お休み処静」が休業状態になっていたため、おはぎも幻になったと悲観していた皆さま、ご安心ください。

現在は甘納豆おはぎは納経所で販売されていて、お遍路道中のご当地グルメとして特におすすめの逸品です。
私も甘納豆おはぎを食べて長尾寺らしさを楽しもうと考えたのですが、残念ながら私が今回訪問した際には売り切れでした。手作りゆえ提供できる量に限りがあるようです。訪れる日にもよるのでしょうね。私が訪れたのは一般的には参拝者が少ない冬の平日の午後だったので、冷静に考えたらそれはもう残ってないですよね。
おはぎもうどんも、早い時間に行った方が良さそうです。
結願所大窪寺への道のり

87番札所長尾寺の参拝を終えた歩き遍路さんは、さぬきうどん溜2号店の店頭にある道路案内看板をご覧の上、どのルートを経由するか確認されると良いと思います。
87番札所長尾寺から88番札所大窪寺へは主に2ルート存在していて、
黄色…女体山経由/7.7km/約3時間30分
赤色…車道経由/11.5km/約3時間
このどちらかを選択されると思います。
87番札所長尾寺を出発して約5kmのところにある「道の駅ながお」および「おへんろ交流サロン」までは同じ道のりです。そこから両者が分岐します。
女体山経由
〇山道が多く車両の往来がとても少ない
〇女体山山頂からの景色が美しい
▲所々険しい
▲悪天候による通行止めがしばしばある
車道経由
〇全体的にアップダウンは多いが、車道なのでそこまで険しくはない
〇バス路線でもあるのでエスケープルートとして成り得る
▲車両の往来が非常に多く落ち着かない
▲風情に欠ける
距離だけでいえば女体山経由の方が短いのですがその道のりに険しい部分があるため、所要時間では車道経由のほうが早く88番札所大窪寺に到着することができます。
どの道を経由するかは天候や体力、持ち時間に応じて88番札所大窪寺まで無事に進まれるようにされてください。
【「87番札所長尾寺納経所(甘納豆おはぎ販売)」 地図】










