四国別格二十霊場2番札所や、四国三十六不動霊場11番札所として、また幼少の弘法大師御学問所の由緒でも広く知られる「童学寺」ですが、平成29年3月25日に火災に遭い、本堂他主要部分が焼失する事態になってしまいました。
—– こちらの記事に登場する単語の読み
童学寺(どうがくじ)
庫裏(くり)
----- こちらの記事に登場する主な登場人物
真魚、空海、弘法大師(まお、くうかい、こうぼうだいし / 774~835) … 全て同一人物
火災の顛末…
池の畔から眺める別格2番札所「童学寺」の本堂。
遠くから見ても屋根の大半が焼失していることがわかります。
寺院(別格二十霊場)としての本尊である薬師如来、三十六不動としての脳天不動明王は大師堂に祀られていることを告知。
本尊であり国重要文化財に指定されている薬師如来坐像は何とか運び出すことができたため 無事だったようです。
しかしながら、避難が間に合わず焼失してしまった仏さまも多数存在する模様。
いろは歌はここで作られた?
藤棚の奥、大師堂に仮本堂が設けられています。
稚児大師の扁額がここが本来大師堂である証。
稚児と記されているのは大師がまだ真魚と呼ばれていた7歳から15歳の間に当山に滞在、書道や密教など勉学に励んだ幼少期の出来事に由来。
その際、この地で「いろは四十八文字」 を創作したと伝わる。
文字を重複させることなく各一文字だけを使用し、なおかつ仏教的な意味を歌詞に持たせた内容が特徴。
それを創作できるのは、日本語(文字)を熟知した弘法大師だからこそ為せる業とする学識者の意見があるが、作者については諸説様々な様子。
いろはにほへと ちりぬるを(色はにほへど 散りぬるを)
わかよたれそ つねならむ(我が世たれぞ 常ならむ)
うゐのおくやま けふこえて(有為の奥山 今日越えて)
あさきゆめみし ゑいもせす(浅き夢見じ 酔ひもせず)
脳天不動尊と加持水は…?
火災に遭い消失した本堂の屋根。
火元はそこと繋がっていた庫裏の漏電による発火という説が有力視されている様子。
納経所と庫裏の間、元々脳天不動尊が祀られていた場所に湧出している 「お筆の加持水」
幼少の弘法大師・真魚少年が硯の水を求めて掘り当てた泉であり、口にすれば病気平癒。
書道に用いれば達筆のご利益ありということで、ご利益を求める遍路・参詣者が絶えなかった場所ですが、訪問したこの時は 火災の瓦礫に覆われ、行くことができませんでした。
不運にも大きな被害が出てしまったこのたびの火災ですが、人的被害がゼロだったことは 不幸中の幸い。
時間がかかったとしても、いつか必ず元の姿へ戻ることでしょう。
巡礼者である我々は、自身の巡礼を通じて童学寺さんの復旧を支援できればと思います。
【別格2番札所】 | 東明山 大谷院 童学寺(とうめいざん おおたにいん どうがくじ) |
宗派: | 真言宗善通寺派 |
本尊: | 薬師如来 |
真言: | おん ころころ せんだり まとうぎ そわか |
開基: | 行基菩薩 |
住所: | 徳島県名西郡石井町城の内605 |
電話: | 088-674-0138 |