京都市内にある「東寺」は、平安時代から続く真言宗の根本道場で、高野山と並んで多くのお遍路さんが四国巡礼のお礼参りに訪れます。お大師さまが住まわれていた「御影堂」で旅の感謝をお伝えください。
四国遍路のお礼参りをする真言密教の根本道場
「東寺(とうじ)」は、京都府京都市南区九条町(JR京都駅南西方面)にあり、その起源は平安時代前期にさかのぼります。
平安京に遷都されたされた際に桓武天皇が都を守るための官寺(国立の寺院)として創建を発願し、その後即位した嵯峨天皇が唐で密教を学んで帰国した空海(弘法大師)に託し、日本初の密教道場として寺院を完成させ、現代まで真言密教の根本道場として厚い信仰を集めています。
四国遍路巡礼を終えたお遍路さんが、道中の無事をお大師さまにお礼参りする場所として有名なのは和歌山県の高野山ですが、高野山よりも創建が早く真言密教の聖地である東寺にお礼参りに訪れるお遍路さんもたくさんいます。
※高野山のお礼参りに関しては、以下リンクの記事もぜひご覧ください。
【高野山奥の院】高野山のお礼参りは「弘法大師御廟」と「燈籠堂地下」のお大師さまのそばへ
ということで、僕は別格20霊場結願のお礼参りで東寺を訪れたので、そのときの様子をご紹介したいと思います。
東寺のシンボル「五重塔」
京都の街にたどり着き、東寺がある方角をみると、かなり遠くからも発見できるのが、東寺のシンボルになっている「五重塔」です。
この塔は天長3年(826年)に空海によって着工、長期にわたって苦心の工事が続けられ、完成したのは空海没後の9世紀後半だったと伝わります。
その後、火災で4回焼失していて、現在の五重塔は5代目で、寛永21年(1644年)に徳川家光の寄進で建てられたものであり、高さ54.8メートルは木造塔としては日本一の高さを誇ります。
塔の内部は、曼荼羅が描かれていたり、多くの仏像がまつられていて、密教の世界観が表現されています。
四国八十八ヶ所霊場でも、75番札所善通寺を筆頭に五重塔が設置されているお寺がいくつかありますが、この東寺を起源に真言密教の教えを伝える重要な役割を果たしていると思います。
この五重塔が建てられている場所の近くには、御本尊の薬師如来をまつる「金堂」と、寺域の中心部にあたり大日如来をまつる「講堂」があります。
金堂と講堂には御本尊の他にも多くの脇侍や諸仏像がまつられていて、内部拝観も可能ですので、ぜひ貴重な文化財でもある諸仏をおまいりされてください。
※寺域中心部のこのエリアに立ち入るには拝観料がかかりますので、ご注意ください。
お礼参りはお大師さまが住まわれていた「御影堂」へ
お大師さまに四国遍路のお礼参りに訪れるのは、境内西北部の「西院(さいいん)」と呼ばれる一画に建つ「御影堂(みえいどう)」です。
御影堂は、かつてお大師さまが住居として使われていたお堂で、ここにお大師さまがまつられているのですが、僕がおまいりした2016年12月は、お堂は大改修中でした。
本来の御影堂は前堂・中門・後堂の3部分からなる複合仏堂で国宝にも指定されている貴重な建物です。
ということで、お大師さまは御影堂北側の大日堂にうつられていました。
ただし大日堂のお大師さまは、毎日の朝参り(6時~7時半)と、毎月21日の月例法要の際のみの御開扉なので、大日堂の横に仮御影堂が設置され、江戸時代に刻まれた大師像におまいりをしました。
お大師さまがまつられるここ東寺では、高野山とも共通の「生身供(しょうじんく)」という習慣が現代にも続いています。
これは、お大師さまが今も生きているかのごとく毎朝食事をささげる儀式で、一の膳、二の膳、お茶が供されます。
御影堂が改修中で残念ではありましたが、お大師さまのお近くでお礼参りをすることができ、これで四国別格二十霊場参りを無事満願することができました。
京都にある東寺は、弘法大師信仰の原点ともいえる聖地です。
四国巡礼のお礼参りにぜひ訪れていただき、お大師さまにお近づきになられてください。
【寺名】 | 東寺 教王護国寺(とうじ きょうおうごごくじ) |
宗派: | 東寺真言宗 |
本尊: | 薬師如来 |
真言: | おん ころころ せんだり まとうぎ そわか |
開基: | 桓武天皇 |
住所: | 京都府京都市南区九条町1 |
電話: | 075-691-3325 |