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71番札所「弥谷寺」から72番札所「曼陀羅寺」に向かう途中の「鳥坂峠」に2軒の有名なまんじゅう屋があります。
江戸時代から続くまんじゅう屋はお遍路さんにも人気なのですが、2軒の関係性には謎があったのです。

鳥のように飛ばなければ越えられない「鳥坂峠」

71番札所「弥谷寺」の参拝後、72番札所「曼陀羅寺」へ向かうには、峠を越える必要があります。
現在の香川県三豊市と善通寺市の市境に当たる「鳥坂峠」がそれで、鳥のように飛ばなければ越えられないような難所であったことからこう呼ばれるようになったという言い伝えがあるそうです。

ちなみに「鳥坂峠」は「とっさかとうげ」と読みます。
愛媛県の西予市と大洲市の市境にも同じ字の「鳥坂峠」がありますが、こちらは「とさかとうげ」と読みます。
読み方は違えど、旅人が苦労して歩んだ峠道であることを名前が示しています。
※愛媛県の「鳥坂峠」に関しては、ごんのすけさんの以下リンクの記事もぜひご覧ください。

宇和街道の難所「鳥坂峠」は遍路道でもっとも危険な「鳥坂トンネル」を通る【西予市→大洲市】

香川県の「鳥坂峠」は、現在は国道11号が整備され、山が大きく切り拓かれているので、それほどの難所ではありません。
しかも、歩き遍路さんは「弥谷寺」がある「弥谷山」の斜面づたいの旧遍路道を歩む方が多いと思うので、その場合は「鳥坂峠」は通過しません。
自動車遍路さんや自転車遍路さんはこの峠道を通られると思いますので、昔の人の苦労をしのびながら、進んでいただきたいと思います。

現在の鳥坂峠道は国道11号が整備され、交通量がとても多いです。幅が広い歩道も設置されているので、歩き遍路さんも安全に歩くことができます。

現在の鳥坂峠道は国道11号が整備され、交通量がとても多いです。幅が広い歩道も設置されているので、歩き遍路さんも安全に歩くことができます。

 

「鳥坂まんじゅう」と「甘酒まんじゅう」の謎

この「鳥坂峠」の頂上付近には2軒のまんじゅう屋があります。
このまんじゅう屋は江戸時代の峠の茶屋がルーツの歴史あるお店だそうで、特に江戸時代後期から明治時代にかけては、厳しい峠道を越える人々の休憩所、栄養補給所としてたいへん繁盛したようです。
その後、大正期に鉄道ができてからは峠道の人の往来が少なくなり、一時は閉店していた時期もあるそうですが、昭和期に国道11号が整備され自動車の交通量が増えてからは、再度鳥坂峠の名物店として知られるようになったそうです。
現在では峠を越える自動車遍路さんはもとより、三豊市や善通寺市を訪れる観光客、地元の人にも愛されるお店になっています。

とここで不思議なことが。
同じようなまんじゅうを名物にしたお店が隣り合って、微妙に異なる店名で営業しているのはなぜなのでしょう?

1軒は鳥坂峠の頂上交差点にある「名物 鳥坂まんじゅう」

1軒は鳥坂峠の頂上交差点にある「名物 鳥坂まんじゅう」

もう1軒は峠の頂上から少し西に下ったところにある「元祖 甘酒まんじゅう」

もう1軒は峠の頂上から少し東に下ったところにある「元祖 甘酒まんじゅう」

「名物 鳥坂まんじゅう」は「鳥坂まんじゅう」の商標を取得し営業しているそうで、「元祖 甘酒まんじゅう」は名前だけ見ると昔からの鳥坂峠のまんじゅうとは違うものを置いているのかと思いきや、こちらも江戸時代のルーツをしっかり引き継ぐお店だそうです。

 

皮に甘酒を練り込んだホクホクのまんじゅうを食べ比べ

ここは食べ比べしないわけにはいきません。
ということで両店でまんじゅうを購入しました。

「名物 鳥坂まんじゅう」の包み紙。茶屋をイメージしたイラスト入りです。

「名物 鳥坂まんじゅう」の包み紙。茶屋をイメージしたイラスト入りです。

「元祖 甘酒まんじゅう」の包み紙。こちらはイラストはありませんが、似たような紙を使っています。

「元祖 甘酒まんじゅう」の包み紙。こちらはイラストはありませんが、似たような紙を使っています。

そして包み紙を開けると、こんな感じ。

「名物 鳥坂まんじゅう」はハンコが押された竹皮に包まれています。

「名物 鳥坂まんじゅう」はハンコが押された竹皮に包まれています。

「元祖 甘酒まんじゅう」も竹皮に包まれています。

「元祖 甘酒まんじゅう」も竹皮に包まれています。

2軒とも似たような包み紙を使用しています。
元々は同じ店だったのか?はたまたお互い意識して同じような包み紙にしているのか?理由は不明です。
商品としては「名物 鳥坂まんじゅう」の方が完成度が高いでしょうか。

そして、肝心のまんじゅうはというとこんな感じ。

「名物 鳥坂まんじゅう」は、表面がつるっとしていてツヤがあり、あんこが透けて見える薄皮タイプです。

「名物 鳥坂まんじゅう」は、表面がつるっとしていてツヤがあり、あんこが透けて見える薄皮タイプです。

「元祖 甘酒まんじゅう」は、ふっくらしている大き目サイズ。いびつな形からしっかり発酵していることと手作り感が伝わります。

「元祖 甘酒まんじゅう」は、ふっくらしている大きめサイズ。いびつな形からしっかり発酵していることと手作り感が伝わります。

双方ともに皮に甘酒を練り込んで発酵させていることが特徴で昔からの伝統製法とのこと。
見た目は似たような感じではありますが、食べ比べてみると食感や塩味の効き方が異なります。
これはそれぞれ好みがわかれるところだと思います。

さらに特徴的なのは、両店ともまんじゅうをどんどん蒸かしていて、温かい状態で提供してくれたことです。
ホクホクのまんじゅうをフウフウいいながら食べるのはとても贅沢に感じます。

個数が多かったので、時間を空けて冷えた状態でも食べましたが、冷えるとまた違った味わいになります。
冷えた状態だと、より2店舗の味の違いがわかりやすいように感じました。

似たようなまんじゅうではありますが、食べ比べてみるとけっこうな違いがありました。
味の好みは人それぞれだと思いますが、江戸時代からの歴史も感じながら、ぜひ食べ比べをしてみてほしい逸品です。

さらに豆知識として、75番札所「善通寺」近くにある老舗パン屋「三村のパン」の善通寺名物「レトロあんぱん」は、鳥坂峠のまんじゅうの製法にヒントを得て、酒種で発酵させたパン生地を使っているのだそうです。
※「三村のパン」の「レトロあんぱん」に関しては、ごんのすけさんの以下リンクの記事もぜひご覧ください。

昭和28年創業老舗パン屋の善通寺名物「レトロあんぱん」【三村のパン[善通寺市]】

江戸時代の知恵が、地域の名物として現代にも引き継がれているのは素晴らしいことだと思います。
お遍路道中に、昔の人の智恵や苦労もしのびながら、地域の伝統食をぜひ体感してみてください。

 

店名:  鳥坂まんじゅう(とっさかまんじゅう)
営業時間: 9:30~19:00 ※なくなり次第終了
定休日: 火曜
住所: 香川県三豊市三野町大見乙39-2
電話: 0875-73-5607

 

店名:  甘酒まんじゅう(あまざけまんじゅう)
営業時間: 8:00~16:00
定休日: 木曜
住所: 香川県善通寺市碑殿町1001-1
電話: 0877-62-1840

 

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佐藤 崇裕

四国遍路情報サイト「四国遍路」を運営する株式会社四国遍路(https://shikokuhenro.co.jp/)の代表取締役。四国遍路の文化をより良い形で引き継いでいくために、四国遍路に新しい付加価値を生み出すべく日々奮闘中。