67番札所大興寺から68番札所神恵院に向かう遍路道沿いに、なんとも気になるのれんがかかるお店があります。香川県にたどり着けたことをしみじみ感じることができる、地元の人に人気のさぬきうどん屋「大喜多うどん店」です。
「寿し」の表記が気になるうどん屋さん
67番札所大興寺を出発し、観音寺市街地にある68番札所神恵院に向かう遍路道は、多くの方は県道6号線を進むと思います。
1番札所から順打ちのお遍路さんは、ようやく「菩提の道場 香川県」にたどり着き、結願まで終盤を迎えるころ。
香川県までたどり着いたら、言わずと知れた名物「さぬきうどん」は外せませんね。
県道6号線の道すがら、なんともローカルな雰囲気で、気になるのれんがかかっているうどん屋があります。
香川県出身の僕が見ると、こういうお店の雰囲気は、長く地元の人に愛されている名店感を感じてしまいます。
セルフスタイルの「寿し」と「きゅうりの浅漬け」
店内に入ると、着席して、店員さんが注文を取りにきてくれて配膳してくれる、いわゆる「フルサービス」のうどん屋です。
香川県では自分で配膳を行う「セルフサービス」のうどん屋が多く、最近は大手チェーンうどん店もほとんどがセルフサービスで、観光でうどん屋巡りをする方もセルフサービスのお店に行く機会も多くなっていると思うので、こちらのフルサービスのほうが珍しく違和感があるかもしれませんが、よく考えたらこちらの方が飲食店のスタンダードですね。
ただし、大喜多うどん店の気になる「寿し」は、セルフサービスです。
さらにテーブルの上には、香川県のうどん屋でもあまり見かけることがない珍しいものがあります。
香川のうどん屋は、特に超ファーストフードで、炭水化物に栄養が偏りがちなので(といいながら、いなり寿司をふたつもとってしまっていますが…)、野菜が食べられるのはありがたいです。
うどんができるまで、また、うどんを食べている間の箸休めとして、きゅうりの浅漬けをおおいに活用させていただきます。
そうこうしているうちに、注文したうどんが運ばれてきました。
うどんを覆い隠すようにのっかっているのが天ぷらなのですが、いわゆるかきあげのような状態ですが、そんなに具は入っておらず、エビの風味がついた天かすのかたまりのような感じです。
この表現だと悪口のように聞こえるかもしれませんが、この天ぷらがとても良い役割を果たすのです。
出汁は、黄金色のさぬきうどんらしい見た目で、見た目ではあっさり出汁に見えますが、これが塩分がしっかりきいていて、さぬきうどんの特徴であるイリコの香りと風味が強力に感じられるパンチがあります。
この出汁を天ぷらが吸い込んでいくと独特の食感で、出汁の味を口の中でもぐもぐと感じられる、特別なトッピングになります。
出汁の方に天ぷらの油が溶け出していって、出汁の風味も少しずつ変化するのもおもしろいところ。
ちなみにこの出汁ですが、味だけではなく温度に特徴があり、厨房から運ばれてきたときは、想像を絶する高温です。
香川県内のいろいろなうどん屋に行っている僕でも、これほど熱い出汁は初めてでした。
配膳の際に、店員さんが熱々の出汁が入った丼を素手で持って机に置いてくれたのにも驚きました。
高温注意でふうふうしながら食べるのもこのお店のひとつも名物で、熱々だからこそ天ぷらとの相性もよいのだと思いますが、食べるときには要注意です。
さらに試していただきたいのが、生姜トッピングです。
上の店内客席の写真の机の上に見切れ気味で写っていた生姜にお気づきになられましたか?
机に生姜の塊とおろしがねが置かれていて、自分ですりおろして、好きな量をトッピングします。
香川県ではかけうどんの薬味に生姜を使うことは一般的ではありますが、この熱々出汁に生姜が溶け込むと、ふわっと香りがたって、天ぷらの油もさっぱりさせてくれて、これまた好相性なのです。
肝心のうどんの麺は、もちもちとした弾力の強い麺で、表面が少しざらざらしていて、風味の強い出汁をしっかり持ちあげてくれて、口の中で麺をかみしめると、いろいろな味がいい具合にまざりあいます。
味だけではなく、お店の雰囲気やスタイルもあわせて、くせになる感じが、地元の人に長く愛される秘訣なんだと思います。
さぬきうどんの、特に香川県の西讃地域のスタンダードな味がベースになりながら、このお店独自の特徴がいくつもあって、さぬきのローカル感を感じたい人におすすめする、さぬきうどん屋「大喜多うどん店」でした。
店名: | 大喜多うどん店 |
営業時間: | 9:30~14:30 |
定休日: | 日曜 |
住所: | 香川県観音寺市池之尻町718 |
電話: | 0875-27-6411 |