「道の駅 田野駅屋」は地場産品の宝庫でした。「田舎寿司」をメインディッシュに「昔プリン」のデザート、飲み物は「スーパーごっくん」を購入し、バス停野宿でありながら、地元フルコースをいただいてしまいました。
室戸市の最後は峠越えの試練あり
室戸市の半島海岸線歩行もいよいよラストを迎え、重要伝統的建造物群保存地区「吉良川の町並み」を通過してからは「室戸市」と次の「奈半利町(なはりちょう)」の境を超えていきます。進路としては国道55号を使って海岸を進むこともできますが、距離をショートカットできる「中山峠」越えのルートが旧遍路道として残っています。
この旧遍路道、歩きやすく整備されているのですが、私はここで稀有な体験をしました。
峠の登り道がしんどいなぁと思いながら、スマホでツイートしながら歩いていたら、急に後ろから腕をつかまれるような感覚があり、自分で自分が出した声に驚くほどの奇声を上げてしまいました。
慌てて後ろを振り返りましたが、一人歩きなのでもちろん誰もおらず…お大師さまが気をつけるように警告してくれたのか、この地に散ったお侍さんが道連れにしようとしたのか(中山峠は昔激しい戦が行われた戦地跡とのこと)、私のただの気のせいだったのかはわかりませんが、お遍路歩きをしているとこんなことのひとつやふたつは皆さんあるようですね。
あまり気にしすぎずに、室戸市を後にしました。
「田野いしん君」が迎えてくる鉄道駅舎併設「道の駅 田野駅屋」
中山峠を無事越えると奈半利町に入り、ほどなくして「田野町(たのちょう)」に到着します。
ここで立ち寄り必須なのが「道の駅田野駅屋」です。
以前までの記事をご覧いただいている方には、どんだけ道の駅が好きなんだとつっこまれそうそうですが、地域を手っ取り早く体感できるのはやっぱり道の駅なんですよね。
ちなみにここの道の駅は、「土佐くろしお鉄道 ごめん・なはり線」の「田野駅」に併設していて、以前「道の駅日和佐」の記事でもご紹介しましたが、道の駅の鉄道駅舎併設は全国で11カ所、西日本では3カ所しかなく、その3つのうちの一つという希少価値です(西日本の3ヶ所はすべてが四国の遍路道沿い)。
※「道の駅 日和佐」に関しては、ぜひ以下記事もご覧ください。
【道の駅日和佐】「ウェルかめ」の舞台で「すだちソフトクリーム大(かめたろう)」を食らう
これだけでも立ち寄らないわけにはいかないのですが、さらにツッコミどころがいくつかあるのが「道の駅田野駅屋」
まずは名前の読み方なのですが「たのえきーや」と読むそうです。
標準語「田野へおいでよ」を土佐弁でいうと「田野へきいや」ということで、ダジャレをかましてくれています。
さらに施設前でお出迎えしてくれるのは「田野いしん君」という謎キャラ。
このキャラですが、「ごめん・なはり線」の各駅それぞれにキャラをつくる力の入れようで、なによりデザインしたのは「アンパンマン」の偉大な「やなせたかし」先生ときています。
私の中での評価が一気に上がりました。
田野いしん君は、藩政殉節した田野ゆかりの「二十三士」がモデルとのことです。
キャラ好きの方は以下高知県のWEBページもご覧ください。
高知県WEBサイト こうちキャラ広場 ごめん・なはり線キャラ: http://www.pref.kochi.lg.jp/chara/gomennahari.html
※サイト内で、「ごめん・なはり線」のキャラだけではなく、いろいろなキャラも紹介されていて、なかなか見ごたえがあります。
地場産品のフルコースを購入可能
道の駅自体の紹介だけでお腹いっぱいになりそうですが、やっぱりメインは「地場産品」です。
「道の駅田野駅屋」は地場産品の品揃えが豊富で、歩き遍路にはうれしい調理せずに食べられる加工品が特にたくさんありました。
私が購入したのは、「田舎寿司」をメインディッシュに、「かんば餅」と「昔プリン」がデザート、「スーパーごっくん」で水分補給までしてしまうという地元フルコースです。
以下写真で紹介していきますが、これらを食べ、撮影したのは、次の札所「神峯寺」のふもとの「唐浜」のバス停の真っ暗な中なので、様子がわかりづらいのはご容赦ください。
ちなみに、高知県は特にバス停が小屋状になっていて、野宿を容認してくれている場所が多く存在します。
もちろんバス利用者のための建物なのでマナーを守ることは必須ですが、お遍路さんへのやさしさを体感できるスポットでもあると思います。
バス利用者はとても少ない印象ですが、この日は20時過ぎの終バスで奈半利のカラオケスナックに出かけるという地元のおっちゃんと真っ暗なバス停内で交流させていただき、楽しいひとときでもありました。
参考にバス停の様子と地図のリンクを掲載しておきます。
バス停名「東谷入口」
地図: http://loco.yahoo.co.jp/place/g-PXLGuG3WKAM/map/
またもや話がそれてしまいましたが、ようやく購入した地場産品の紹介です。
まずはメインディッシュの田舎寿司です。
高知の山間部では山の幸をお寿司にして食べる習慣があるようで、私が驚いたのは写真のこんにゃく寿司でした。
この日のネタで特徴的だったのは「こんにゃく」「筍」でしたが、春は山菜をネタにするとのことで、これは珍しいですよね。
そしてデザート1発目は昔プリン。
昔ながらの製法の牛乳を使って、添加物不使用とのことですが、ミルク感とタマゴ感のバランスがよく、ほどよいかたさでさっくり感もあるところが、かたいプリン好きの私は気に入りました。
そんなに昔感はなく、完成度の高い新型プリンのように感じました。
さらにデザート2発目は、かんば餅。
高知県は昔から「干し芋」を食べる習慣があるようで、これを餅に練りこんだのが、かんば餅です。
高知県の干し芋の呼び方は独特で、高知県東部では「かんば」(「干す場所」で「干場」、「寒い場所で干す」ので「寒場」の諸説あり)、高知県西部では「東山(ひがしやま=「干菓子」のようにおいしいことから)」と呼ぶそうです。
徳島で食べた「いも餅」を思いだしながら、四国内で似ているようで各地域の特色があるんだなと実感しました。
※徳島の「いも餅」に関してはぜひ以下記事もご覧ください。
最後に水分補給も地場産品でということで「スーパーごっくん」。
この商品は田野からどんどん山奥に入っていった「馬路村(うまじむら)」でつくられているもので、馬路村といえば特産の柚子を使った「ゆずポン酢」や柚子ジュース「ごっくん馬路村」で全国に名を知られた山間過疎地域の雄です。
この「スーパーごっくん」は、ゆずとはちみつを使って栄養素を多く含んだスポーツ飲料なのです。
商品のキャッチコピーがなかなかツボにはまったので、引用して写真のキャプションにしておきます。
立ち寄りスポットとして大好きな道の駅で、しかもネタが豊富な「道の駅田野駅屋」だったので、かなり力の入った記事になりました。
地域を十分に感じながら、バス停野宿で地元の人と交流までして、翌日はいよいよ高知県初の「遍路ころがし」である「神峯寺の真っ縦」に挑みます。
施設名: | 道の駅 田野駅屋(たのえきーや) |
営業時間: | 7:30~17:30 |
定休日: | 年末年始 |
住所: | 高知県安芸郡田野町1431-1 |
電話: | 0887-32-1077 |
施設HP: | http://www.tanoekiya.com/ |