【清水屋】八十場の霊泉の隣でお遍路さんを癒し続ける老舗茶屋の名物ところてん

79番札所天皇寺の成り立ちに深く関係している「八十場の霊泉」。ここの隣にお遍路さんもよく立ち寄る老舗茶屋「清水屋」があります。ところてんの専門店で、国産天草100%にこだわり、いろいろな味付けで食べることができます。

スポンサーリンク

 

79番札所天皇寺近くの「八十場の霊泉」

香川県坂出市にある79番札所天皇寺は、地元では院号の「高照院(こうしょういん)さん」と呼ばれて親しまれ、文化財にもなっている入口の三連の赤鳥居(三輪鳥居)は全国でも数ヶ所しかない珍しいもので、目を引きます。
天皇寺の成り立ちに深く関係するのが、お寺近くにある「八十場の霊泉(やそばのれいせん)」です。

八十場の霊泉

八十場の霊泉は緑に囲まれていて、暑い時期でも涼しげな雰囲気があります。

奈良時代に行基が現在天皇寺がある場所の南西にある金山にお寺を創建したと伝わります。
この金山には、その昔、四国の海に鰐の姿をしたような悪魚が現れて、のちに讃岐の国を治める讃留霊王(さるれお)が退治したという伝説に関連する逸話が残っています。
悪魚の退治に向かった88人の兵士が悪魚に船を呑まれて倒れたとき、神童が金山の麓にある泉の水を持ってあらわれ、その水を兵士に飲ませると、全員が命を吹き返して助かったということから、この泉は「弥蘇波(やそば。ありとあらゆるものを蘇らせるの意味)の霊泉」と呼ばれるようになったそうです。
時が経ち、弘法大師空海がこの地を訪れたときに、この御神水に感得し、本尊十一面観音・阿弥陀如来・愛染明王の三尊像を安置したと伝わります。

さらに、平安時代後期に都での乱に敗れた崇徳上皇が讃岐に配流され、この地で亡くなったときに、処遇を伝える京の都からの使者を待つ間、この霊泉に亡骸を浸していると、長い間生きているかのごとくだったとのこと。
上皇終焉の地に霊を鎮めるための御廟が建てられ、崇徳天皇社となり、その別当寺として崇徳上皇の永代供養の役割を担ったのが現在の天皇寺です。

八十場の霊泉_水口

現在でも山からの湧き水が豊富に流れ出て、泉になっています。

 

創業200年をこえる老舗ところてん屋「清水屋」

天皇寺から歩いて3分ぐらいのところにある八十場の霊泉のすぐ隣にあるのが、この記事でご紹介する「八十八名物ところてん清水屋(きよみずや)」です。
これまで私は、香川県内の観光スポットを、地元の人から聞きながら旅をしていましたが、今回は自分で素敵なお店を探してみたところ、この清水屋にたどり着きました。

私はお店まで車で行きましたが、ナビの住所で迷わずたどり着けました。こんなところに?という場所にひっそり静かに佇むお店ですが、駐車場は30台分あるので、安心ですよ。
街中の賑やかなイメージとは異なり、ゆったり静かに過ごせそうな雰囲気が漂っていました。

天皇寺から近いので、昔からお遍路さんの休憩所として、また、夏の暑い時期は避暑地として旅人や地元の人にも愛されてきたそうです。清水屋は創業200年をこえているとのこと。

このお店は、期間限定の営業となるため、ご注意ください。その理由については、のちほどご紹介します。営業しているシーズンが3月中旬〜9月末は無休営業、10月・11月は日曜・祝日のみの営業で、私は5月下旬の気持ちの良い気候のよい時期に訪れました。

早朝に出発して、営業開始の9時よりも少し早めに到着したので、周辺を散策します。
気候が良かったので、朝のお散歩が気持ち良かったです。

清水屋_店先

お店のまわりは、緑が美しく、あちらこちらに花がたくさん咲いていました。

 

いろいろな味付けがある「ところてん」

9時になり、店内に案内していただきました。

清水屋_オープンテラス

お店は、八十場の霊泉の景色も眺めることができて、開放感があります。穴場感のある雰囲気に、旅心をくすぐられます。

清水屋は、珍しいところてんの専門店です。メニューはところてんだけなのですが、いろいろな味付けがあってどれもおいしそう。

清水屋_メニュー

お財布にやさしい価格帯で、ところてんのいろいろな味付けが提案されています。

人気No1の「八十八名物 酢醤油味」が気になりましたが、私は黒蜜が好物のため、人気No2の「くずもち風 黒みつ味」を注文することにしました。

この日は他のお客さんがまだいらっしゃっていなかったので、お店の人と少しお話しをすることができました。作っているところの撮影許可もいただけたので、写真も撮らせていただきました。

清水屋_ところてん製造現場

目の前で作ってくださるライブ感で、より一層期待で胸が膨らみます。

おすすめメニューを聞いてみると、人気No1の八十八名物 酢醤油味とのこと。やはりこれが定番のようなので、心ひかれましたが、先ほどオーダーしたくずもち風ができあがるのを待ちます。

目の前で作っていただく「ところてん」はとても贅沢に感じました。私は和菓子が好きなので、これまでいろいろなところてんを食べてきましたが、このように目の前で作っていただくのは、これがはじめての体験でした。

清水屋_ところてん_くずもち風黒みつ味

注文したくずもち風黒みつ味が完成です。お天気にも恵まれ、素敵なロケーションでいただきました。

朝からところてんを食べるのは、今まであまりなかったことですが、ぺろりといただきました。
これまでにもいろいろなところてんを食べてきて、きな粉と黒みつの味付けも定番ですが、清水屋のところてんは、とっても素朴な味で、他のものとは違う特別感があり驚きました。

 

おいしさの秘密は国産天草100%

ところてんの歴史は古く、中国から伝わったといわれています。現代では、夏の涼味として親しまれ、ところてんといえば夏を連想する人も多いと思います。
ところてんは、海藻の天草を煮て溶かし作られているので、食物繊維と海藻ミネラルが豊富で、美容・健康にも良い効能があるとされています。

清水屋のところてんのおいしさの秘訣は「良質な天草」。海女さんが春採りしている国産天草100%だそうで、とても希少な高級品で、上質な粘りが特徴とのこと。
数に限りのある国産の春摘み一番草にこだわって厳選した原料で作られる清水屋のところてんは、表面がつややかで食感がとても良いです。
伝統ある味を長い間守り抜いていることを知って納得のお味でした。

ということを知ってしまうと、人気No1も食べずにはいられませんでした。

清水屋_八十八名物酢醤油味追加

人気No1の八十八名物酢醤油味も追加オーダーしてしまいました。

2皿目ともペロリと完食し、一切もたれることもありませんでした。
全メニュー食べたいぐらいの気持ちでしたが、さすがにここまでで我慢しました。

記事の冒頭で清水屋が3月中旬から9月末まで無休営業、10月・11月は日曜・祝日のみの営業の期間限定営業であることをお伝えしましたが、春摘みの国産天草のみを使用していることで原料を調達できる時期と量が限られていることが理由です。12月〜3月中旬までは完全休業ですので、ご注意くださいね。

 

お遍路土産にところてんをぜひ

家族にもこの感動を伝えたくて、お土産に持ち帰ることにしました。

清水屋_お持ち帰りメニュー

お持ち帰りでもいろいろな味付けがラインナップされています。

消費期限本日中のカップ入りは、お店で食べたような鮮度が良いところてんが自宅でも食べられるとのこと。袋入りでも消費期限が4日間なので、余計な保存料などが入っていない証拠で、お土産にもこだわりを感じます。
自宅でもこの味を堪能できるのは、たいへんありがたいです。

清水屋_お土産販売店舗

私がところてんを食べた茶屋の道を挟んで向かい側には、お土産販売店舗もありました。

 

79番札所天皇寺の近くで、昔からお遍路さんがよく立ち寄ってきた清水屋で、ところてんを堪能することができました。お遍路道中の休憩にはもちろん、夏の暑い時期には八十場の霊泉で涼をとりにぜひ訪れてみてください。

 

店舗名 八十八名物ところてん清水屋(やそばめいぶつところてんきよみずや)
住所 香川県坂出市西庄町759-1
電話 0877-46-1505
営業時間 9:00~夕暮れ(夏季~17:00、冬季~16:00)
3月中旬〜9月末 無休
10・11月 日曜・祝日
12月~3月中旬 完全店休
ホームページ https://www.yasoba.jp/

四国遍路巡礼に
おすすめの納経帳

千年帳販売サイトバナー 千年帳販売サイトバナー

この記事を書いた人

観光業界で従事した経験がある旅行・ホテル関連のテーマが得意なライター。グルメ、旅、四国が大好き! お遍路さんは初心者ですが、人との出会いを通して学び、成長できる旅だと思うので、いつかは歩き遍路に挑戦してみたいと思っています。 自身の経験が少しでも四国を旅する人のお役に立てたら嬉しいです♡