空海が唐より持ち帰った五穀の種を境内にまいたことから名づけられたと伝わるのが34番札所種間寺です。多くの人が触って艶の出ている「さわり大黒」と年代物の「手水鉢」に注目です。
飛鳥時代が起源の古刹
33番札所雪蹊寺を出発して、田園地帯を6kmほど歩いていくと、34番札所種間寺に到着します。
このお寺は、6世紀の飛鳥時代が起源とされる古刹で、百済から大阪の四天王寺造営のために渡来していた仏師や寺工が船で帰国する際に土佐沖で暴風雨におそわれ、現在の「種間寺」近くの港に寄港し、その際に海上安全を祈願して薬師如来像を刻し祀ったことが縁起だそうです。
このときに薬師如来像が祀られていたとされる「本尾山」には、現在は奥の院としてお堂が建っています。
種間寺に向かう途中を海方向に少し道をそれますが、それほど距離はないので、立ち寄ってみるものよいかもしれません。
その後、300年ほど経った弘仁年間(810~824年)に空海がこの地を訪れ、薬師如来を本尊として安置する堂宇を建設して開創し、その際に唐から持ち帰っていた五穀(米・麦・あわ・きび・ひえ)の種を境内にまいたことが「種間寺」と名付けられた由縁とのこと。
現在でもお寺の周辺は田園地帯ですが、昔から穀物の栽培がさかんだったことがうかがえるエピソードです。
本堂横の年代物「手水鉢」
本堂に参拝する前に注目していただきたのが、本堂横にある「手水鉢」です。
この手水鉢は、延宝5年(1677年)に造られたことがはっきりと刻されている年代物で、この地域では最古のものとして高知市の有形文化財に指定されています。
水を溜める部分が正六角形に彫られており、形が特徴的なのですが、私は見逃してしまいました。
熊谷寺、切幡寺、常楽寺、薬王寺と特徴のある手水舎に注目してきた私としては、不覚としか言いようがありません。
室戸岬で蓄積した疲労と足の痛みがピークに達していたことも影響していると思います。
お寺を十分に楽しめないほどの体調になってしまうことは避けたいものです。
本堂内の「さわり大黒」にタッチ
こちらは見逃さなかったぞという見どころのひとつが「さわり大黒」です。本堂内に安置されていて、身丈100cmで、俵の台座部分を含めると150cmにもなるなかなか立派な大黒様です。
ケヤキの寄木造で、参拝者に触ってもらって艶が出ることの方がよいとのことで、あえて彩色はしていないそうです。
小槌には「抱き稲に種」の紋をこの大黒様のために制作したそうで、種間寺のオリジナリティを感じる「さわり大黒」にはぜひ注目していただきたいと思います。
この日はここ種間寺の「通夜堂」に宿泊させていただきました。
たいへんありがたい施設を用意してくださっていますので、別の記事で詳しくご紹介していますので、ぜひ以下リンクの記事もご覧ください。
【34番札所種間寺・通夜堂】シャワー・寝具有りの管理の行き届いたありがたい通夜堂
【34番札所】 | 本尾山 朱雀院 種間寺(もとおざん しゅじゃくいん たねまじ) |
宗派: | 真言宗豊山派 |
本尊: | 薬師如来 |
真言: | おん ころころ せんだり まとうぎ そわか |
開基: | 弘法大師 |
住所: | 高知県高知市春野町秋山72 |
電話: | 088-894-2234 |