四国遍路中に通った浜で、私が最高に美しいと思った「大岐の浜」は、サーファーには隠れ家的な存在のようです。以布利には大阪海遊館所属の「ジンベエザメ」がいる施設があり、敷地内の広場で野宿することができました。
足摺岬への補給拠点「下ノ加江」
足摺岬への果てしない歩行もいよいよ終盤戦に入ります。
四万十市から新伊豆田トンネルを通って土佐清水市に入り、四国遍路の父「真念」ゆかりの「真念庵」近くの道標遍路石で分岐して、足摺岬方向に南下すること約5kmで下ノ加江(しものかえ)の集落にたどり着きます。
ここ下ノ加江から足摺岬の38番札所金剛福寺まではまだ20km以上の距離がありますが、ここから先は食べ物や飲み物を補給する場所が極端に少なくなるので、ここを補給拠点とする歩き遍路さんが多いです。
また、金剛福寺から打ち戻る場合は二度通ることにもなるので、宿泊拠点としてこの地の「民宿 安宿(あんしゅく)」や「ロッジカメリア」を利用する遍路さんもいます。
ここで歩き遍路さんに有名な補給拠点だったのが、お接待をしてくださるコンビニ「スリーエフ」なのですが、2015年に高知県のスリーエフは完全撤退が決まってしまい、多くの店舗が「ローソン」に衣替えをすることになりました。
私が歩いていた2015年2月の時期は改装の真っ最中ということで、下ノ加江のスリーエフも以下写真の状態でした。
この先に店がない前情報があったので(しかもこの日は野宿予定)、何とか買い物をしなければと、Googleマップ先生に教えてもらったのが地元のスーパーマーケット「下の加江スーパー」で、数少ないお弁当やパンを買い占める勢いで食料をしっかり補給させていただきました。
ただ、店の前には「2015年2月末をもって閉店します」と題し、地域の方へのメッセージが書かれた張り紙がありました。
たまたま通りかかった歩き遍路のよそものの私ですが、とても寂しい気持ちになりました。
現在はスリーエフがローソンとして新装開店しているはずなので歩き遍路さんの補給拠点としてはこちらで問題ないとは思いますが、地域に根付き愛されてきたお店がなくなるのは残念です。
サーファーの隠れ家「大岐の浜」
下ノ加江を通過し、6kmほど海岸道路を歩いていくと、目の前に弓型で遠浅の美しい海岸が広がります。
ここが「大岐(おおき)の浜」で、遍路道でたくさんの浜を通りましたが、私がもっとも美しく感じ、感動したのはここです。
白砂が鮮やかに光り、大きい波がゆったりと浜に打ち寄せ、浜を包むように広がる山と森のコントラストがすばらしい。
ここはサーフィンスポットとしても人気のようですが、多くの人が集まるというよりかは、知る人ぞ知る隠れ家的な場所だそうで、サーフィンなどしたことがない私にもそれがよくわかる景色と波の美しさでした。
徳島から海岸を歩いてくる道のりで、サーフィンスポットはいくつかありましたが、私が歩いた1年でもっとも寒い2月に、実際にサーファーが海に出ていたのを目撃したのはここだけです。
それだけコアなサーファーに愛されているのだと思います。
※上の写真の海の中に小さくサーファーが写っています。
もちろん浜におりることができますので、砂浜を歩いていくのもオススメです。
大阪海遊館所属の「ジンベエザメ」がいる「ジンベエ広場」で野宿
大岐の浜を通過し、4kmほど進むと山手から海岸方向にくだる道になり、たどり着く先が「以布利(いぶり)港」です。
ここには、世界最大級の水族館として有名な大阪府にある「大阪海遊館」の研究所があり、水族館にいる海洋生物の多くがこの地で捕獲され、研究や調査も行われているそうです。
「海遊館」の人気者、サメの最大種「ジンベエザメ」も飼育されているとのことで、限定的ではありますが、見学できる機会もあるようです。
※参考に施設情報のリンクをはっておきます。
大阪海遊館 海洋生物研究所以布利センター: http://www.kaiyukan.com/laboratory/research/iburi/
この施設敷地内に「ジンベエ広場」という公共スペースがあり、ここはお遍路さんの野宿可能場所にしてくださっているようなので、私はこの日ここで野宿をさせていただきました。
このような小屋系統の野宿場所としては、屈指の環境の良さと安心感で、長距離にも関わらず立ち寄りスポットの少ない足摺岬への道のりの中で、たいへんありがたい施設です。
ただし、買い物や飲食をできるお店は近くにはありませんので、事前調達必須であることはお気をつけください。
以布利に宿泊すれば、翌日の足摺岬38番札所「金剛福寺」着が射程距離に入ります。
ジンベエザメのごとく大きな心遣いに感謝しながら、安心の野宿で翌日の歩行に備えました。
参考に「ジンベエ広場」の地図を掲載しておきます。