JR今治駅徒歩1分の「しまなみゲストハウス シクロの家」は、サイクリストたちの集う宿。今治のまちに自転車文化を根付かせた立役者で、自転車旅行のマップやガイド出版など幅広く活動されています。
今治に自転車文化を育てたゲストハウス
愛媛県今治市は古くより造船業で栄えたまちとして有名ですが、近年では世界のサイクリスト(自転車愛好家)の聖地「しまなみ海道」の四国側の玄関口としても注目されるようになりました。四国遍路の視点からいえば、今治は四国八十八ヶ所のお寺が6ヶ寺存在する札所密集地なので、市内で休憩したり宿泊したりするお遍路さんも多く、拠点都市のひとつになっています。
今回お邪魔した「しまなみゲストハウス シクロの家」は、自転車旅行の普及を推進するNPO法人「シクロツーリズムしまなみ」が運営する宿で、オーナーの宇都宮さんはNPOのスタッフとして宿の立ち上げから関わっていらっしゃいます。その宇都宮さんに、宿のことや今治のまちのことなどをお聞きしました。
宇都宮さんは宿経営の他に、カフェ経営や休耕地となった柑橘農園の運営も手がけるほか、新婚旅行でタンデム(2人乗り)自転車世界88ヶ所旅行を行うなど、多彩な経歴を持つ人物です。宇都宮さん達の活動がもたらした「まちの変化」も素晴らしいので、ご興味のある方は下記のリンク(別サイト)をご参照ください。
博報堂webサイト内:ブランドたまご 第23回 / まち全体がブランド!「素通りされるまち」が生まれ変わった。しまなみゲストハウス「シクロの家」 https://www.hakuhodo.co.jp/magazine/40790/
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今治のまち全体が「一つの宿」
「ゲストハウス シクロの家」の開業は2014年。宇都宮さんが所属する「自転車旅行と持続可能な地域づくり」を推進するNPOの調査活動から、サイクリストの「安宿」需要が見えていたことと、宇都宮さん自身が感じていた「旅人の交流拠点となる宿」のニーズから構想が始まり、不動産の紹介など地元の協力を得て実現しました。
シクロの家はシンプルな素泊まり宿なので、食事の提供も大浴場もありませんが「宿の周りには、おすすめの食事処や飲み屋、銭湯があるので、そちらを使ってくれればいい。」と語る宇都宮さん。
まち全体を「一つの宿」として使ってもらいたいとの思いから、宿ではオリジナルの「散策マップ」を用意しており、積極的に周辺店舗の利用を勧めています。
シクロの家に泊まったサイクリストが周囲の店舗を利用するようになると、サイクリストとまちの人との接点が増え、次第に今治のなかに「自転車乗り」を受け入れる土壌が育ってきたそうで、シクロの家の存在が、今日の「自転車のまち・今治」をつくる後押しとなったことがわかります。
駅近接で少し路地に入ったところにある「シクロの家」は白い壁とカラフルな壁画が目印。
宿に触発されてサイクリングを始めるお遍路さんも
そのように自転車のまちづくりに貢献しているシクロの家ですが、一般客ももちろん宿泊可能で、時にはお遍路さんも泊まっていくそうです。中には宿に触発されて、サイクリングを始めるお遍路さんもいるのだとか。
「お遍路目的の宿泊者の中から、レンタサイクルでしまなみ海道を走る人も出たりする。日本人のお遍路さんのほとんどは寄り道せずにまっすぐ進むけど、日程に余裕のある外国人がそうすることが多いね。(宇都宮さん)」
確かに、宿にはしまなみ街道や自転車旅の楽しさが伝わるツールが満載で、いるだけでサイクリング気分が高まってきます。さらに今治はレンタサイクルが充実しており、思い立った時に手ぶらでサイクリングができるのも魅力です。
いつもは徒歩や車のお遍路さんも、今治に来たらシクロの家でプランを練って、自転車遍路に挑戦するのもいいかもしれませんね。
※自転車で今治6ヶ寺巡りに挑戦した記事もありますので、ぜひこちらもご覧ください(全5記事)
【今治6ヶ寺めぐり-ポタリング編その1】スタートの今治港から55番札所南光坊
シクロの家は、定員が14名と少なめなので「直前に予約する場合は満室になっていることもある」とのこと。前日や当日に宿を決めることが多い歩き遍路さんはご注意を。
【しまなみゲストハウス シクロの家 基礎情報】
名 称 | しまなみゲストハウス シクロの家 |
宿の形態 | ゲストハウス |
住所 | 愛媛県今治市北宝来町1丁目1-12 |
「しまなみゲストハウス シクロの家」の詳細情報とご予約はこちらから↓
四国宿泊予約サイト「お遍路さん家」【しまなみゲストハウス シクロの家】
サイクリストと今治のまちをつなげる拠点となった「シクロの家」。お遍路さんもサイクリングへと誘われてしまう発信力で、まちを変えてきた力強さを感じました。JR今治駅すぐの立地で、おしゃれで清潔な施設なので、遍路旅の拠点としてオススメの宿です。