遍路道の難所を指す時、お遍路さんがころげるようなきつい坂という例えで 「遍路ころがし」四国方々にそのような場所が存在しますが、とりわけ11番札所藤井寺から12番札所焼山寺は、四国遍路最大の遍路ころがしと名高いです。
難所である要素…
1番札所霊山寺からお四国参りを始めた場合、この時点で札所はまだ11番。
身体が不慣れなうちに挑むこと。
11番札所藤井寺から距離が12.5km。
山を3つ越えなければならず、12番札所焼山寺まで普通に歩くと6時間を要する。
道中やお寺付近に宿泊施設が無いので、焼山寺から約1時間下山したところにある集落 "鍋岩" へ必ず進まなければならない。
まず言えることは、11番札所藤井寺は朝一出発。
早ければ早いほど時間の貯金となる。
食糧・水分は必須。
道中に補給できるところは無いと考えた方が良い。
そんな厳しい道中だからこそ 雑音の多い俗世と離れ自分と向き合うことができるし、歩き切って焼山寺に着いた時の感動は他のどの手段よりも感動が大きい。
それでいて道中を歩かなければ見ること・会うことができないお大師さまがいらっしゃいます。
浄蓮庵、通称「一本杉大師」
"じょうれんあん" と読みます。
標高745mは焼山道最高地点。
左右内は "そうち" と読みます。
昭和29年に県指定の天然記念物になっています。
高さは3メートルほどでしょうか。
大正15年に京都の河地幾太郎氏によって参道の石段と共に奉納されたもの。
自身手植えと伝わる老杉の前で、ここを通るお遍路さんを見守ります。
この道を歩かないと会うことができないお大師さま。
焼山寺道最高地点という地点であり、受けるインパクトが大きい場面でもあり…
歩き遍路をする上で最大の魅力 "道中" を何より感じることができる場所となっています。
こちらの場所の前後は どちらもきつい坂。
順で来ると手前の柳水庵からは登り続けると到着する場所となり、浄連庵(一本杉大師)からは左右内までどこまで下るのかというほどの下り坂。
左右内集落へ下り切ったところから12番札所焼山寺へは、緩むことのない登り坂。
四国最大の遍路ころがし・焼山寺道は、ここから先が佳境となります。