結願の88番札所「大窪寺」から別格20番札所「大瀧寺」に向かう際には「夏子ダム」から山登りを開始します。
歩き遍路さんには少々過酷なルートなので、前準備と情報収集を十分に行って臨んでください。

88番札所「大窪寺」から四国総奥之院別格20番「大瀧寺」へ

88番札所「大窪寺(おおくぼじ)」で無事結願を果たした後、お遍路さんはどこに向かわれるのでしょう?
1番札所「霊山寺」に戻りぐるり四国1周の巡礼路を完成させる人、お礼参りとして和歌山県の高野山に向かわれる人、大窪寺での結願を喜び帰路を急ぐ人、いろいろな人がいらっしゃると思います。
そもそも、四国遍路の大きな特徴としてあげられるのが「円循環型」の巡礼路であることですから、1番からスタートしなくてもどこの札所からスタートしても四国1周結願になりますし、2016年はうるう年で88番から逆回りの「逆打ち」をされる人もいらっしゃるので、ルートや行程に自由度があることも四国遍路の奥深さで良いところだと思います。

ということで、88番札所「大窪寺」結願後のルートは様々ではありますが、そのうちのひとつに別格20番「大瀧寺(おおたきじ)」に向かう選択肢があります。
四国遍路の歴史をたどると、現在の88ヶ所の霊場が制定されたのは江戸時代のことだといわれており、元来は88ヶ寺以外にも四国に多く残る弘法大師ゆかりの史跡をたどって巡礼・修行していたという説もあり、現代においても「番外霊場」という呼び名で残されている史跡もあります。
88ヶ寺以外のお寺で、弘法大師ゆかりの20ヶ寺が集まって1968年(昭和43年)に制定された「四国別格二十霊場」というものがあり、その20番札所が徳島県美馬市脇町の「大滝山」(標高946mで四国遍路道中ではかなり高い山になります)の頂上付近にある「大瀧寺」です。
大窪寺から約20~30km(選ぶルートによって距離が大幅に違います)ほどの距離で、四国総奥之院とも呼ばれ、別格20霊場も含めて巡礼する方や、88番結願後の総仕上げとして訪れる方がいらっしゃるお寺です。
※「大瀧寺」に関しては、以下リンクの記事もぜひご覧ください。

別格霊場最高峰の山岳信仰の聖地は四国八十八ヶ所総奥之院【別格20番札所「大瀧寺(おおたきじ)」】

歩き遍路さんで大窪寺から大瀧寺に向かう人は、現在はそれほど多くないと思いますが、それだけに歩き遍路道の情報が少ないので、僕が実際に歩いてみた様子を以下にご紹介していきます。

88番札所「大窪寺」本堂の「薬師如来」の「薬」の字は未完成。遍路が完成することはなくここから新たな始まりでもあります。

88番札所「大窪寺」本堂の「薬師如来」の「薬」の字は未完成。遍路が完成することはなくここから新たな始まりでもあります。

 

大窪寺から大瀧寺へは「夏子ダム」経由が最短ルート

大窪寺から大瀧寺に向かうには、順打ちだと87番札所「長尾寺」から向かってきた西方向に戻る経路になり、国道377号を西に進みます。
歩き遍路さんは、国道377号に沿った旧道遍路道を歩くのがよいと思いますし、旅館竹屋敷付近からは多和の集落方向に進まずにショートカットできる道もありますので、事前に地図で情報収集してください。

国道377号を進んでいくと、香川県と徳島県の県境付近で国道199号にぶつかり、国道199号を西に進むと香川県の温泉で有名な「塩江(しおのえ)」を経由したルートで、国道199号を南に進むと徳島県に入るルートでこちらが歩き遍路さんにとっては距離が最短になるルートです。

この分岐から約5km進むと、大瀧寺がある大滝山への登山拠点となる「夏子ダム」にたどり着きます。

山に抱かれた美しいダム湖が広がる「夏子ダム」

山に抱かれた美しいダム湖が広がる「夏子ダム」

ちなみにこのダムの名前「夏子」は「なつこ」ではなく「なつご」と読みます。
なつこという人の名前が由来のように思いがちですが、このあたりの地名がなつごであることから名付けられたとのこと。

このダム湖畔に美馬市の産直市「夏子いなか市」があり、地元産品の購入や喫茶での軽食をとることが可能です。
が、歩き遍路さんの食料・水分補給拠点としては不十分な面があり、大窪寺からここまでの道中に物資調達ができたり食事ができるお店は極めて少ないので、歩きでの大瀧寺参拝をされる際は、事前にしっかり準備をしてのぞんでください。
思い付きでちょっと寄ってみようというのは危険です。

ログハウス風の建物が「夏子いなか市」です。自動販売機はしっかり設置されているので、飲み物は補給可能です。

ログハウス風の建物が「夏子いなか市」です。自動販売機はしっかり設置されているので、飲み物は補給可能です。

僕はここまで車で移動してきて、駐車場に車を置かせていただき、山登りに出発しました。駐車場には公衆トイレもあります。

僕はここまで車で移動してきて、駐車場に車を置かせていただき、山登りに出発しました。駐車場には公衆トイレもあります。

携帯できる食べ物はあまりラインナップされていません。地元の新鮮そうな野菜は置かれていました。僕は地元の人特製のサンドイッチをリュックに詰めて登山に向かいました。

携帯できる食べ物はあまりラインナップされていません。地元の新鮮そうな野菜は置かれていました。僕は地元の人特製のサンドイッチをリュックに詰めて登山に向かいました。

 

ショートカットの歩き遍路道は通行止め

「夏子いなか市」からいよいよ登山開始ですが、遍路地図「四国遍路ひとり歩き同行二人」によると、夏子いなか市のすぐ道向かいに歩き遍路道があることになっているので、その道を探してみましたが、、それらしき道の入口は閉鎖されていました。

道があったであろう跡がかろうじてわかる程度で、とてもじゃないけど通れる状態ではなく、通行止めの印らしいバリケードがありました(このバリケードも朽ちていますが…)。

道があったであろう跡がかろうじてわかる程度で、とてもじゃないけど通れる状態ではなく、通行止めの印らしいバリケードがありました(このバリケードも朽ちていますが…)。

この道を通ることはあきらめて、車遍路さんも通るメインルートを歩いていきます。

「西照神社」への大きな看板が目印で山手の分岐道に入ります。

「西照神社」への大きな看板が目印で山手の分岐道に入ります。

おなじみの遍路道標も分岐点に設置されていました。

おなじみの遍路道標も分岐点に設置されていました。

分岐してからは数軒の住宅がある集落の中の舗装路をしばらく進み、前出の遍路地図によると再度歩き遍路専用のショートカットルートがあるらしく、山手を注目しながら進みますが、それらしき道はなかなか見つからず、何度か行ったり来たりしてうろうろしてしまいました。

この道かと思いきや、住宅私有地に入る道でした。

この道かと思いきや、住宅私有地に入る道でした。

何度か行き来してようやく見つけた遍路道標。この写真のどこかにあるのですが、わかりますか?

何度か行き来してようやく見つけた遍路道標。この写真のどこかにあるのですが、わかりますか?

先程の写真の右上のフェンスに遍路道標シールが貼ってありました。これはなかなか見つけづらいと思います。

先程の写真の右上のフェンスに遍路道標シールが貼ってありました。これはなかなか見つけづらいと思います。

その道の入口はこんな感じでした。

普通は通らないであろう坂道を登っていきます。

普通は通らないであろう坂道を登っていきます。

坂を登りきった歩き遍路道の入口は、こんな藪こぎになってしまっていて通れない状態でした。

坂を登りきった歩き遍路道の入口は、こんな藪こぎになってしまっていて通れない状態でした。

このショットカットルートは、地図で確認すると、この歩き道を通ると500mぐらいの距離で次の坂起点にたどり着けるのですが、舗装路で迂回していくと3km以上の距離になり、ショートカット効果が非常に高いルートです。
おそらく通る人が少なくなって道が荒れていったのだと思いますが、可能であればこのような未舗装遍路道は文化としても後世にのこしていければよいのではないかと思います。

ということで、舗装路を大きく迂回して進まざるをえず、先程の未舗装路入口を発見してしまったばっかりに、かなり遠回りしている気持ちで精神的にはつらい道のりになってしまいました。

大瀧寺への登山はまだまだ序盤ですが、この記事でのご紹介はここまでにして、続きの後半戦は以下リンクの記事をご覧ください。

別格霊場最高峰への道のりは分岐点に注意【夏子ダム→別格20番「大瀧寺」[後半]】

【「夏子ダム 夏子いなか市」 地図】

 

スポンサーリンク

 

pilgrim-shikoku-logo_set 四国遍路情報サイト「四国遍路」 TOPページに戻る


The following two tabs change content below.

佐藤 崇裕

四国遍路情報サイト「四国遍路」を運営する株式会社四国遍路(http://shikokuhenro.co.jp/)の代表取締役。四国遍路の文化をより良い形で引き継いでいくために、四国遍路に新しい付加価値を生み出すべく日々奮闘中。