前山ダムから結願の88番札所大窪寺への遍路道は複数ルートあります。私は「旧多和小学校」経由の「丁石道」を選択しましたが、最後の最後で道なき道を進むハードワークでした。
結願ルートは「丁石道」と「女体山」
結願の88番札所大窪寺への中継基地「前山」の「道の駅 ながお」からは、標高455m地点の大窪寺まで登山遍路道になります。
※前山の様子は、以下リンクの記事もぜひご覧ください。
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前山からの結願ルートは複数の選択肢があり、大きくわけて「丁石道(ちょういしみち)」ルートと「女体山(にょたいさん)」ルートがあります。
「女体山」ルートは、主に未舗装登山道を進み、女体山の山頂に登り、大窪寺の奥の院である「胎蔵峯寺」を経由して、山の上から大窪寺に下っていくルートになります。
山からの眺望が非常に美しい絶景ルートとして知られていますが、未舗装山道を山頂まで登る分、ハードなルートでもあります。
一方、「丁石道」ルートは、主に舗装路を歩いていきますが、ルート途中では高野山の「町石道(ちょういしみち)」を想起させる、お寺までの距離を示す「丁石」が残る旧遍路道を進むルートです。
※高野山の町石道に関しては、以下リンクの記事もぜひご覧ください。
【高野山町石道・前編】柿畑の急坂を抜け…気持ちのよい未舗装路を進んだ先は…まさかのゴルフ場
【高野山町石道」後編】奇石の数々にお大師さま伝説を学び…最後の登り坂でラストスパート
私が結願を目指した2015年3月1日はあいにくの雨模様で、女体山からの景色をあきらめ、安全性も考慮して、丁石道ルートを選択しました。
地域の拠点に育ちつつある小学校跡地「旧多和小学校」を目指す
スタート地点からは、車道の県道3号と並行する形の登り坂の旧道を歩いていきます。
道は舗装されていて、車の通行はないので、安全で歩きやすい遍路道で、道沿いには遍路墓や古い石柱道標があり、遍路の歴史を垣間見ることができる風情のある道のりです。
道中では、女体山ほどではないものの、山の景色を見渡せるビュースポットもあり、季節や天候によっていろいろな景色を楽しむことができます。
この舗装山道を距離約3km、標高差約250m進むと、車道の県道3号に合流し、そこから2kmほど進んだ先の分岐点に目印の「旧多和小学校」があります。
「多和小学校」は、112年もの間、地域の子どもを育ててきたのですが、人口減少により2012年に廃校になってしまいました。
ただ、地域の拠点として継続して活用する活動が始まり、校舎をそのまま使って、現在は特区制度を活用したどぶろくの製造・販売、農産物直売所や診療所として活躍しています。
2016年には「天体望遠鏡博物館」がオープンする予定で、全国から文化的価値が高い望遠鏡が集められ、実際に天体観測ができる観測所としての機能も持つ、珍しい博物館となるそうです。
「旧多和小学校」までたどり着ければ、大窪寺までは距離あと約5km。
分岐の目印で、トイレも使える休憩拠点でもあるので、ぜひ立ち寄ってみてください。
【「旧多和小学校」 地図】
道なき道を進む「丁石道」
「旧多和小学校」からは、国道377号と並行している旧遍路道を進みます。
この道もここまでの道と同様舗装されていて、地域の方しか使わない生活道なので、とても歩きやすい道のりです。
しばらく進むと、以下写真のような看板がありました。
この写真に「十六丁石」とありますが、1丁(町)は約110mなので、16丁だと「大窪寺」まであと約1800mであることを示している石という意味になります。
上の写真のように、完全に私有地に入っていくような雰囲気で、ちゃんとした道があるか不安だったのですが、道標がばっちり示してくれているので、これに従うことにしました。
そして進んだ先はこんな道でした。
よっぼど引き返そうかと思ったのですが、「丁石」も発見できていなかったので、勇気を振り絞って突き進むことに。
完全に道を間違えたと思ったのですが、上の写真には「十四丁石」の道標が見えるので、ここが道であることは確かなようです。
って「十四丁石」??
「十六丁石」も「十五丁石」も無かったけど…??
結局「丁石」はひとつも発見できないまま(ただ私が写真を撮り忘れて記憶がなくなってしまったのか今では判別がつかなくなってしまいました)、田んぼや民家の中の道なき道を進んで、元の道に戻ってきただけでした。
結願直前で、変な道に迷い込んだというか、不思議な体験をしたというか、これもお遍路といえばお遍路のようにも思えて、お大師さまが与えてくださった遍路道最後の特別な経験だったのかもしれません。
結願の88番札所大窪寺への丁石道ルートは、なんとも不思議な遍路道でした。
今回は歩かなかった絶景ルート・女体山ルートの制覇と、丁石道ルートの詳細調査は、いつか果たしたい宿題になってしまいました。
こうやってお遍路旅は終わりのないものになるのだと思いますし、これが多くの人を引き付ける魅力なのだとも感じた、結願へのラストスパートでした。