【別格17番札所神野寺】日本最大級のため池「満濃池」を守護するお大師さま

別格17番札所神野寺は日本最大級のため池「満濃池」のほとりにあります。満濃池は空海が修繕を行ったと伝わる池で、いろいろな伝説が残っているお大師さまゆかりの地です。

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日本最大級のため池「満濃池」

香川県の西南部、仲多度郡まんのう町にある「満濃池(まんのういけ)」は、周囲約20km、貯水量1,540万tの日本最大級のため池です。
雨が少なく大きな川がないため多くのため池が存在する香川県においても最大の規模をほこります。
満濃池の歴史はたいへん古く、奈良時代以前の大宝年間(701~704年頃)に当時の讃岐國の国守「道守朝臣」の事業として創築されたそうです。

満濃池

あまりに大きな池でどこまで池が続いているのかひと目で確認するのは困難ですが、水面と周辺の緑の調和がすばらしい景色を見ることができます。

創築後、洪水により何度も決壊していたそうで、平安時代にその修繕に派遣されたのが空海です。
治水や掘削の優れた技術をもっていたといわれるお大師さまが、出身地である讃岐國の重要なため池の修繕にあたられたというのは、ある意味当然の流れかもしれません。

空海は約3ヶ月で改修を完了したそうですが、その後も決壊と修繕を繰り返し、平安後期に大きな決壊があってから江戸時代までは修繕がなされずに水がひいた池の中の土地に民家や田畑がつくられた時期もあったとのこと。
現在の池の姿の基礎を築いたのは江戸時代初期の普請奉行「西嶋八兵衛」だそうです。

広大な池で空海が修繕に関わったゆかりからか、様々な伝説が残る池でもあり、平安中期の「今昔物語」には池に龍が住んでいると語られ、「悪しき天狗に力を奪われた龍を空海が助け、その恩のために、龍が空海のしもべとなって池と人々を守っている」などの話も地域に伝わっています。

満濃池 龍伝説

池のほとりには龍伝説を解説する看板もありました。

 

今も満濃池を見守るお大師さまの神野寺

空海の満濃池修繕がきっかけで池の守護として建立されたといわれるのが別格17番札所神野寺(かんのじ)です。
戦国時代の兵火で罹災し、その後長らく廃寺の時代が続いたそうで、昭和に入ってから空海入定1100年祭の事業として満濃大師会により復興が計画され、1934年(昭和9年)に伽藍が完成したのが現在の神野寺の礎になっているとのことです。

神野寺 入口

満濃池の北西岸にある「神野寺」にはこの参道を進みます。

神野寺 本堂

境内に本堂、写真左側に見える石段を上がると…

神野寺 弘法大師像

お大師さま像が満濃池を見守ってくださっています。神野寺に大師堂はないのでこのお大師さま像にお参りします。

神野寺 弘法大師像 満濃池

お大師さまと同じ視線で池を見ると、木々の間がひらけて水面が広がっています。

このお大師さま像は香川県出身の彫刻家「小倉右一郎」の作で、神野寺復興事業の一環として1933年(昭和8年)に完成したものとのことで、いつまでも満濃池を見守り続けてくれることでしょう。

 

日本最大級のため池「満濃池」のほとりに建つ別格17番札所神野寺は、空海が社会事業として池に関わったことがきっかけで建立されたお寺です。
池がたどった苦難の歴史やそれを経て現代に続く地域での大きな役割や見事な景観、お大師さまの伝説にも触れながらお寺を参拝されるとよいと思います。

※満濃池に関しては、以下リンクの記事で詳しくご紹介していますので、こちらもぜひご覧ください。

【香川県まんのう町】神野神社から水の神様とともに見下ろす日本最大級のため池「満濃池」の絶景

 

【別格17番札所】  五穀山 神野寺(ごこくざん かんのじ)
宗派: 真言宗善通寺派
本尊: やくしにょらい
真言: おん ころころ せんだりまとうぎ そわか
開基: 弘法大師
住所: 香川県仲多度郡まんのう町神野字神野45番地12
電話: 0877-75-0875

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この記事を書いた人

四国遍路情報サイト「四国遍路」を運営する株式会社四国遍路(https://shikokuhenro.co.jp/)の代表取締役。四国遍路の文化をより良い形で引き継いでいくために、四国遍路に新しい付加価値を生み出すべく日々奮闘中。