遍路ころがし・三坂峠を下り、松山市の札所が46・47番… と始まり、48番札所西林寺のすぐ手前に、歩き遍路で来られたらぜひ立ち寄っていただきたい、お大師さまゆかりの「杖ノ淵公園」があります。
松山市南部の住宅街の中に現れる杖ノ淵公園
"じょうのふちこうえん" と読みます。
お大師さまがこの地に来られた際、旱魃が起こり水に困る村人たちを見て、持っていた杖で地面を突いたところ、水が湧き出て淵となったことに由来。
現在は松山市管理の公園になっていて、近隣市民の憩いの場となっている。
底の白砂が見えている箇所が湧水地点。
水の動きがあるため、水草が生えないと思われます。
近年 この淵でも以前は無かった水草の繁茂が見られます。
すなわち湧水量が減っているのか。それによって以前より水質や景観が低下しているのが気がかりです。
俳人・正岡子規も愛した刺身の名バイプレーヤー
学名 "オオバタケツケバナ"
近いものに クレソン(オランダガラシ)と言うと、ご存知の方が多いと思います。
この地域では 刺身のツマとして欠かせないもので松山市天然記念物指定。
清流に育ち杖の淵の湧水を利用して栽培されていますが、こちらも前述の理由などにより 収穫量が減少→価格が高騰して、市民の皆さんでもなかなか口にすることのない高価なものとなっています。
※「ていれぎ」に関する地域の歴史や文化に関しては、以下リンクの記事もぜひご覧ください。
文豪が愛した郷土の味覚のおはなし【48番札所「西林寺」 正岡子規の句碑】
お大師さまゆかりの番外霊場として
お大師さま由来の地、ということで 番外霊場の一つになっています。
札所としての名前は "杖の淵"、読みは同じ "じょうのふち"。
48番札所西林寺奥の院でもあります。
すなわち西林寺さんの起源はこちらに由来するということになります。
かつて旱魃に苦しむ高井の村人を救ったと言われる清水。
今は少し残念な状況となっていますが、良化が望まれるところです。
名水の地として
こちらの湧水は名水百選に指定されていて、市民の皆さんがタンクを持ち水を汲みに来る姿が絶えません。
大量に汲まれる方用に会員券が配布されており、月ごとに所定の会費を納める仕組みになっています。
私が遍路道中で立ち寄った時は、その場で飲むのと手持ちのペットボトルに汲ませて頂く程度なので、いつも横にあるお社にお賽銭を置いて 頂戴することにしています(一時的な水汲みのルールについては、現地で各自ご判断ください)。
48番札所西林寺奥の院「杖の淵」は、お大師さまゆかりの史跡であり、ていれぎや名水で地域の人に親しまれている憩いの場です。
お遍路途中にぜひお立ち寄りを。
【「杖の淵公園」 地図】