【撫養街道-自転車散歩9】江戸時代のお遍路さんが両参りした霊山寺と大麻比古神社

多くの人が発願寺とする1番札所霊山寺。江戸時代にはその参拝後に、阿波国一宮の大麻比古神社で道中安全祈願をする習わしがあったといいます。現在の大麻比古神社でもその習慣を受けて「道中安全守」を頒布していました。

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1番札所霊山寺に到着

かつての撫養(むや)港を出発し撫養街道約15kmの道のりを自転車で走って、ようやく四国八十八ヶ所霊場の1番札所霊山寺(りょうぜんじ)に到着です!

霊山寺山門

霊山寺の堂々たる門構え。

霊山寺は弘法大師が霊場の開設成就を祈願されたお寺です。1番札所に位置付けられたとあって、四国八十八ヶ所巡礼を札番通りに始めるお遍路さんにとっては、この霊山寺が「発願の寺」となります。

霊山寺 仁王像

げんこつで殴ってきそうな勢いの仁王様(金剛力士)に出迎えられます。

霊山寺からはどことなく華やかな雰囲気を感じます。

霊山寺 池の子供像

カラフルな錦鯉の泳ぐ池に、仏様を拝む金色の子供達(と鳩)。

霊山寺 釣り灯篭

本堂の上部から垂れ下がる釣り灯籠が幻想的。

霊山寺駐車場横のショップでは遍路参りに必要なものを揃えることができ、お参りの仕方なども丁寧に教えてくれます。

お店の人に自転車のお遍路さんが準備していくものなどを訪ねてみましたが、自転車遍路を申告する人が少ないのでよくわからないとのことです。ただ、たすき掛けにかけられる(遍路道具入れの)バッグは便利かもね、と教えてくれました。

 

【「1番札所霊山寺」地図】

 

霊山寺の近くにある大麻比古神社へと向かう

霊山寺にほど近い場所に、阿波国一宮である大麻比古(おおあさひこ)神社があるのでついでに寄ってみることにしました。山門近くのレストランで一服してから再び自転車で出発です。

霊山寺横の道を走り大きな鳥居をくぐって長い参道を進むと、大麻比古神社が見えてきます。距離にして1キロちょっとのたいへん気持ちのいい道です。

大麻比古神社 大鳥居

大麻比古神社の大鳥居です。石灯籠も大きいのでわかりにくいですが、自転車の大きさと比較してみてください。

大麻比古神社 二の鳥居

大麻比古神社の二の鳥居が見えて来ました。木陰の爽やかな神社です。

大麻比古神社は樹齢1000年を超える大楠がご神木。境内に入るとこの大楠が出迎えてくれます。

大麻比古神社 大楠

幹周り8.3m、高さ22mの大木。

たくさんの緑を抜けて、社殿へとたどり着きます。

 

大麻比古神社で道中安全祈願

大麻比古神社 拝殿

大麻比古神社拝殿。大きくて太い鈴緒(すずお)を振って鈴を鳴らします。

拝殿の前に立つと中でご祈祷が行われている様子が見えました。私も二礼二拍手一礼で神様にご挨拶。

ふと横を見ると授与品の案内が。。。

大麻比古神社 道中安全守の案内

「道中安全守」の案内。

江戸時代のお遍路さんは発願時と結願後に大麻比古神社にお参りしていた、と書かれています。大麻比古神社もお遍路さんに縁深い神社であることがわかって、お遍路さんの足跡を追う身としては神社に立ち寄った甲斐がありました。社務所の人にお話を聞くと、現在でも霊山寺参拝後にお参りに来るお遍路さんは一定数存在するとのことでした。

大麻比古神社の御祭神は猿田彦大神という道案内の神様なので、お遍路さんの道中安全祈願にはぴったりです。私もこれからの旅の安全を願って、道中安全守をいただいてきました。

大麻比古神社 道中安全守

道中安全守には首から下げられるように長い紐がついていました。

 

【「大麻比古神社」地図】

 

江戸時代、霊山寺を発願とするお遍路さんの多くが訪れたであろう大麻比古神社。その習慣は現在にも息づいているようです。旅の始まりは誰もが不安になるもの。旅の安全を願うお遍路さんの気持ちに触れることができました。

 

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四国の海の玄関口である撫養港から1番札所を目指す自転車の旅はひとまずここでおしまいです。海を渡ったお遍路さんの道行きを想像しながら走った撫養街道は、楽しい発見に満ちていました。撫養港から霊山寺・大麻比古神社までは約15kmの道のりです。無理なく走って、自分なりの撫養街道の魅力を見つけてください。

 

お遍路さん上陸の地である撫養港から一番札所まで、撫養街道を自転車でたどる「撫養街道-自転車散歩」の全行程は下記の記事にまとめてあります。ぜひご覧下さい。

撫養街道-自転車散歩まとめ

 

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この記事を書いた人

札幌で生まれ育ち、東京にて都市計画コンサルタントに従事。結婚を機に香川に移住し、地方自治体勤務などを経て現在に至る。お遍路文化を通じた新しい四国の楽しみ方を模索しています。日本酒とワインが好き。