見事な中庭を持つ78番札所郷照寺にて、久しぶりに感じた和の芸術空間としての庭。そして女性達を守ってくれる淡島大明神堂での祈りと人々の想い。
静かな郷照寺と日本庭園
78番札所郷照寺での参拝。こちらのお寺は宇多津町の静かな寺町の中に溶け込むように存在し、地図上で見ると本州・岡山を繋ぐ瀬戸大橋の南側の町中に位置しているのがよくわかる。特に年末年始に賑わう厄除けのお寺で有名。お寺への最後のアプローチでは狭い道を上っていくが、その動線の雰囲気がとても静かで、どこか秘密の場所に辿り着くような気持ちにさせてくれるお寺だ。
境内には立ち止まりたくなる見所がいくつかあり、ゆっくり滞在しながら楽しめるお寺の印象も持つ。自転車遍路の途中で参拝したのは日曜日。時期的にも、その他のお寺は七五三に来ている家族で混雑していたが、郷照寺はひっそり。空間そのものを楽しませてくれる環境がここにはある。
綺麗に手入れが行き届いている庭園が奥まったところにあり、池の中に泳いでた鯉が優雅に泳いでいる様子とともに長居したくなるお寺の雰囲気が強く記憶に残る場所。これまで自転車遍路で見てきたお寺とはまた違う雰囲気を醸し出していたのは、間違いなく息を飲むほどの立派な日本庭園であり、その空間に感動し、いつまでも強く記憶に残るものだった。
淡島大明神堂
さらにもう一ヶ所、見所であり参拝すべきなのは淡島大明神が祀られるお社。女性の神様である淡島大明神の参拝目的は、女性の病気や身体・心身的な悩みを抱えている人の駆け込み場所になっているとのこと。
私が参拝した日も、女性の参拝者がいた。お産後に体調を壊したり、病気になった女性など、女性に関わる悩みを抱えた人へ効果があるといわれる。特に以前は安産祈願目的での参拝者が多く、現在では広義的な意味での女性達の守り神となっている。この空間に女性である私も親近感を感じ、私自身の将来と今後の旅の安全を祈願した。
おそらくここは、男性にとっても自分事以上に想いを寄せる異性の大切なパートナーや、家族、友人へのお参りをする神聖な地として訪れる場所にもなるだろうと想像する。大切な異性の為に手を合わせる。きっとそれぞれの強い想いが詰まっており、今も昔も多くの女性の拠り所になっていたことだろう。
【78番札所】 | 仏光山 広徳院 郷照寺(ぶっこうざん こうとくいん ごうしょうじ) |
宗派: | 時宗 |
本尊: | 阿弥陀如来 |
真言: | おん あみりた ていせい からうん |
開基: | 行基菩薩 |
住所: | 香川県綾歌郡宇多津町1435 |
電話: | 0877-49-0710 |