別格7番札所金山出石寺への歩き遍路道沿いには「片目地蔵」とよばれるお地蔵さまがまつられています。願かけをするとひとつだけ願いを叶えてくれるといういわれがあります。
大洲市と八幡浜市の境の尾根筋を進む遍路道
別格7番札所金山出石寺(きんざんしゅっせきじ)は、標高812mの金山の山頂付近にあり、お寺にたどり着くには山道を登る必要があります。
大洲市街からだと平野町から県道234号、県道248号を通ってくるルートが一般的です。
※大洲市街からの登山道の様子は、以下リンクの記事もぜひご覧ください。
【別格7番札所金山出石寺への遍路道】複雑な林道を進む標高812mの出石山登山遍路道
標高500m付近まで登ってきたところで、歩き遍路道は大洲市と八幡浜市の境の尾根筋を進むルートに入ります。
県道248号からふたつあるルートのうち「瀬田道ルート」から尾根筋に入っていくルートは以下写真のような道のりです。
県道248号からもうひとつのルート「地蔵越ルート」から尾根筋に入っていくルートは以下写真のような道のりです。
それぞれのルートをしばらく進むと尾根筋で道が合流して、ここから尾根筋を通って金山出石寺を目指します。
ここからの尾根筋道は整備がいきとどいていて、道標もたくさん設置してくださっているので、迷うことなく快適に歩き進んでいけます。
このような尾根筋遍路道を約2kmほど進んでいくと、それまでの遍路道とは雰囲気ががらっと違う場所にたどり着きます。
ひとつだけ願いを叶えてくれる片目地蔵
進んで行った先には、たくさんのお地蔵さんや仏塔がまつられていました。
この片目地蔵には以下のような所以が残っています。
金山出石寺の御本尊「千手観世音菩薩」をお大師さまが石で囲って秘仏にしたのちは50年に一度の御開帳時にしか拝観できないことになり、御開帳時以外に御本尊の御姿を見ると、そのあまりのありがたさに見た目が見えなくなってしまうという言い伝えがありました。
江戸時代の住職だった秀厳は、50年に一度では一生会えないと思い、御開帳ではないときに密かに御本尊を見ようと、ただし遠慮して片目で見たところ、御本尊を見た片目が見えなくなってしまったとのこと。
秀厳が亡くなったあと、供養のためにお地蔵さまがまつられ、「一眼地蔵」とよばれていましたが、のちの人々の間では、御本尊のおかげをいただいた目でひとつだけ願いをかなえてくれる「一願地蔵」と読みかえられ、願かけする人が絶えなくなり、「片目地蔵さん」「秀厳さん」と親しまれるようになったそうです。
別格7番札所金山出石寺の「片目地蔵」は、お大師さまの伝説から江戸時代のエピソードなどお寺の歴史を現代に伝える遺跡です。
金山出石寺に参拝の際にはぜひ願かけもしていってください。