複雑な林道を進む標高812mの出石山登山遍路道【別格7番札所「金山出石寺」への遍路道】
別格7番札所「金山出石寺」は、標高812mの出石山の山頂付近にあり、わかれ道が多い複雑な林道をお寺へと進んでいきます。
いくつかあるルートの分岐点を中心に登山道の様子をご紹介します。
大洲藩と宇和島藩の境「平地番所跡」
別格7番札所「金山出石寺(きんざんしゅっせきじ)」は、愛媛県大洲市と八幡浜市の境目にあたる標高812mの金山の山頂付近にあります。
大洲市は、八十八ヶ所参りにおいては西予市にある43番札所「明石寺」から久万高原町にある44番札所「大寳寺」に向かう約70kmの長い道のりの途中で、昔お大師さまが野宿をした別格8番札所「十夜ヶ橋」があり、中継基地的役割も果たします。
金山出石寺に参拝するには、大洲市街からは15kmほど西方向に山登りをしていく必要があり、多くのお遍路さんは平野町近辺から始まる遍路道を通っていきます。
JR予讃線「伊予平野駅」近くに、山道への分岐の目印があります。

県道234号が金山出石寺へのメインルートで、伊予平野駅近くのこの交差点が分岐点です。

この交差点に「平地(ひらじ)番所跡」の石碑がたっています。
このあたりの地域は、かつての大洲藩と宇和島藩の境だったそうで、ここに番所がおかれ、通行人のチェックが行われていたとのことです。
交差点の角には古い道標石もおかれていて、ここから少し進んだ「乳薬師大安寺」への案内をメインに、金山出石寺への方向も指し示しています。
この分岐点は古くから交通の要衝であったことがうかがえます。

大正5年(1916年)建立の道標が道の角に残されています。
この平地番所跡から距離約10km、標高差約800mの山道がスタートします。
【「平地番所跡」 地図】
瀬田ルートと地蔵ルートのふたつの遍路道
平地番所跡から沼田川沿いを2kmほど進んだ先に遍路道の分岐点があります。

分岐点には遍路道標を設置してくださっています。
進んできた県道234号をそのまま道なりに進むルートが「瀬田道ルート」、北西方向に分岐していくルートが「地蔵越ルート」を呼ばれています。
瀬田道ルートは主に県道234号を通っていきますので、車遍路さんはこちらのルートを選択します。
歩き遍路さんは、風情のある田舎道や未舗装山道区間が長いのが地蔵越ルートなので、こちらを選択してもよいと思います。
距離はどちらもほとんど変わりはありません。

地蔵越ルートの入口はこんな感じ。田舎道を進んでいきます。
たくさんある分岐点に注意
瀬田道ルートを進んでいくと、県道舗装路ですがカーブが多い林道で、いくつも分岐があります。
ただし、各分岐点には道路標示があり、出石寺の方向がきちんと表記されていますので、道路標示を注視していれば迷うことはありません。

出石寺の方向がきちんと表記されています。

ヘアピンカーブも多いので、車遍路さんは気をつけて運転してください。

この分岐点で進んできた県道234号から県道248号に入ります。
瀬田道ルートの途中には、歩き遍路さんが通る未舗装山道でショートカットが可能な分岐もいくつかあります。

県道248号に入ってからしばらく先にいったところの未舗装山道への分岐点。

杉林を抜けていく山道はしっかり整備をしてくださっているので歩きやすいです。

県道248号から尾根を通る山道に入っていく分岐点はこんな感じです。
【「瀬田道 県道248号から尾根山道への分岐点」 地図】
地蔵越ルートを進んできたお遍路さんは、県道248号の大洲市と八幡浜市の境のこの交差点に出てきます。

この地点で県道248号が山の尾根を横切ります。

地蔵越ルートの歩き遍路道は、ここから尾根伝いに金山出石寺を目指します。
【「地蔵越ルート 県道248号から尾根山道への分岐点」 地図】
ここから先の歩き遍路道の様子は、以下リンクの記事に続きをご紹介していますので、ぜひあわせてご覧ください。
ひとつだけ願いを叶えてくれる片目地蔵【別格7番札所「金山出石寺」への遍路道】
別格7番札所「金山出石寺」は、標高812mの出石山山頂付近にある山岳霊場で、交通事情がよくなった現代においてもお寺にたどり着くのにたいへんな苦労があります。
複雑な林道で迷わないようにお気をつけて進まれてください。

佐藤 崇裕

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伊予平野からの歩き遍路道は、登り道で何となく出石寺にたどりつけましたが、大洲への下りは何回も道に迷い、結局県道248号線経由で7時間かけて、十夜ヶ橋着きました。分岐がわかりにくく、尋ねる人も家もないので苦労しました。
コメントありがとうございます。
金山出石寺の遍路道は、いろいろな霊場の中でも屈指の難易度だと思います。歩きはもちろん、車でお寺にたどり着くのもかなりの苦労を要します。
大洲方面への下りは弊社で調査したことがないので、機会を見つけて状況確認とレポート記事の制作にトライしてみようと思います。