須崎市から中土佐町に入るために越える「焼坂峠」は、台風の影響で残念ながら通行止め。国道56号を進み、土佐久礼手前のドアがたくさんある不思議な遍路小屋に宿泊させていただきました。
須崎市と中土佐町の境の「焼坂峠」は通行止め
須崎市の「道の駅 かわうその里すさき」で名物ご当地B級グルメ「鍋焼きラーメン」を食べて、国道56号を4kmほど進むと「安和(あわ)」の集落に到着します。
このあたりの地域の方々はお遍路さんのサポートに熱心なようで、以下写真のような立派な遍路地図看板を設置してくださっており、丸木橋があったり自然が豊かに残っていると「焼坂峠(やけざかとうげ)」の遍路道を目指していきます。
少し進んで、国道56号から焼坂峠方面に分岐するY字路に、以下の異様に目立つ看板が設置されており、まさかの通行止めになっていることを知りました。
2014年8月の大きな台風やその前後の長雨の被害により、たくさんの倒木が発生して道をふさいでいるそうです。
私がここを訪れたのが2015年2月4日なので、半年経っても復旧されておらず、よほどの被害があったものと思われます。
自然豊かな貴重な旧遍路道ですので、再整備が進むことを願うばかりです。
ということで、ここから中土佐町に向かうルートとしては、国道56号をそのまま進むルートと、前出の地図にも表示されていた海岸を進むルートがになります。
私は宿泊地の都合で国道56号を進みましたが、「国民宿舎 土佐」で同泊、「浦ノ内湾巡航船」同乗だった先達さん達は海岸ルートを進まれたそうで、あとから話を聞くと、海の眺めがよいのどかな道とのことです。
たしかに国道56号は車の交通量が多く、約1kmほどの距離がある「焼坂トンネル」は騒音がひどくて空気も悪いので、海岸ルートの選択もありだと思います。
ドアがたくさんある不思議な遍路小屋で宿泊
私が国道56号を進んだのは、「寿康康寿庵」で同泊だった自転車遍路さんから聞いていた遍路小屋に宿泊させていただこうと思っていたからです。
この遍路小屋は、焼坂トンネルを抜けて2kmほど進み、高速道路のインターチェンジが見えてくるあたりで国道56号から旧街道に分岐する道標があり、それに従って少し歩いた先の住宅と田んぼが広がる一帯の道沿いにぽつんと建っています。
遍路道通りに進んでいけば、見逃すことはないと思いますが、念のため場所の地図を掲載しておきます。
この遍路小屋は、おそらく近隣の住民の方の手づくりだと思うのですが、屋根や外壁も廃材を集めて増設を繰り返している様子で、たどり着いたときに思わずツッコんでしまったのが「どのドアを開ければいいの??」
こんな感じの建物なので、隙間風はばっちり入ってきて、気温は中も外も変わりませんが、雨はしのぐことができて、風も直接体にはあたらなので、2月訪問の私にとっては十分ありがたい設備でしたし、暑い時期なら風が通る方がある意味機能的だとも思います。
小屋内も、住民の方がいろいろなものを持ち寄ってくださっているのか、ベッドあり、寝具あり、机・ソファ、漫画などなどたくさんのものがありました。
野宿遍路が一夜宿をお借りするのには十分な環境ですが、注意すべきは、電気・トイレ・水がないことです。飲み物は小屋前の自動販売機で調達可能ですが、それ以外は事前準備をしっかりしてから宿泊されることをオススメします。
トイレ・水に関しては、「土佐久礼駅」の公衆トイレを使用できるとの表示が小屋内にありました。
1kmほど先に進んだところにある土佐久礼駅に翌朝立ち寄りましたが、以下写真のような立派な公衆トイレを設置してくださっていますので、こちらの利用も可能です。
これだけ手づくり感に溢れている遍路小屋は、他ではあまり見かけなかった希少なものだと思います。
地域の方々のあたたかい気持ちに触れ、中土佐町土佐久礼手前の遍路小屋でありがたく一夜宿をお借りしました。