スポンサーリンク

 

香川県西部から中部の三豊市・善通寺市・多度津町には、70番から77番札所が狭いエリアに集中していて、地形的には起伏が少ないので、一気に札所巡りが進みます。
レイライン的にみると、巡礼の仕上げに相応しい構造が見えてきます。

 

レイライン的な観点から見た札所の構造

四国八十八ヶ所の札所は、由来書はもとより、様々なガイドブックや寄稿文などで、その歴史が紹介されています。そんなこともあって、すでに語り尽くされているような印象がありますが、個々の札所をその構造から分析するレイラインハンティングの観点で見直してみると、今まで語られてこなかった札所の歴史や、個々の札所に込められた古の人の思いが明らかになってきます。

今回は、香川県西部から中部にかけての三豊市・善通寺市・多度津町エリアの札所をレイラインハンティングの手法で分析したレポートをご紹介します。

 

四国八十八ヶ所巡礼の仕上げに近づいていくエリア

歩き遍路は、「香川までは巡った札所の数が増えていくことが嬉しくて、加算的に数えていたけれど、香川に入ると終わりが見えてくるので、あといくつ残っているかと減算式に考えるようになってくる」と言います。
香川県三豊市に入ってくると四国八十八ヶ所巡礼も終盤で、善通寺市には一つのクライマックスともいえる75番札所「善通寺」も含まれ、巡礼の仕上げらしい雰囲気が高まってきます。

 

75番札所「善通寺(ぜんつうじ)」

<由緒>

四国八十八ヶ所75番札所「善通寺」
真言宗善通寺派総本山 五岳山誕生院
本尊:薬師如来

高野山、東寺と共に弘法大師三大霊場に数えられる。807年に空海の父である佐伯善通を開基として創建。伽藍は創建地である東院と、空海生誕地とされる西院(御誕生院)に分かれている。

 

<讃岐の基準線を構成する起点>

善通寺は、空海が生まれ育った場所として知られています。彼はこの寺で生まれ、背後に連なる「五岳山」で幼いときから遊び、修験修行を積みました。空海が生まれるはるか以前から、この周辺は重要な聖地で、すでに、縄文時代後期には大規模な集落が営まれていました。さらに弥生、古墳時代から空海の平安時代までの様々な信仰の形が残されています。

善通寺は夏至の日の出と冬至の日の入りの「二至」を意識した配置になっていますが、これは縄文時代の太陽信仰の一大祭祀場だった記憶を留めるものともいえます。
詳細は、下記リンクの記事に記載しましたが、夏至の日の出に正対する善通寺の御影堂から伸びる参道は、善通寺の市街の中心を貫く基準線となり、これを中心に町の条里が築かれています。
御影堂の背後に聳える香色山は、縄文時代の祭祀跡であり、弥生時代から古墳時代の墓所も見つかっています。また空海の出自である佐伯家の菩提山でもあります。
香色山の背後には空海が捨身した捨身ヶ嶽(我拝師山)もあり、この聖山を二至線の基準としていることがわかります。

※善通寺の二至レイラインに関しては、以下リンクの記事で詳しくご紹介しています。

讃岐レイラインの大動脈【善通寺と屋島を結ぶ讃岐の基準線】

善通寺が香色山と筆ノ山の稜線が重なる鞍部を正確に背にしていることがわかる。

山当てをして聖地の立地を決定する場合、こうした山の重なる鞍部、あるいは双耳峰の鞍部に日の出没を重ねることが多く、こうした形が異界=あの世の入り口とする信仰をベースとしているためです。

 

<讃岐の基準線を見渡す>

香色山は、頂上まで遊歩道が整備され、麓から20分あまりで頂上に立つことができます。
頂上から眼下の善通寺を見ると、参道からその先へ道がまっすぐに伸び、遥か彼方の峠にまで達しているのが認められます。
その峠の先には、きれいな円錐形の袋山が拝め、天気が良ければ、屋島北嶺の台形のシルエットも確認できます。
これが「讃岐の基準線」です。

また、南西方向には捨身ヶ嶽(我拝師山)がそびえ立ちますが、ここには冬至の陽が没する光景が見られ、まさに二至線上のピークに位置していることがわかります。

香色山頂上の佐伯一族の祭祀場跡と我拝師山。

善通寺市街の条里の基準となる善通寺の参道は、夏至の日の出と冬至の日の入を結ぶ二至レイラインの方向を向いている。

善通寺の二至レイラインをそのまま延長していくと、国分寺 – 石清尾山 – 高松城址 – 屋島北嶺といった讃岐の主要な聖地を貫いていく。

香色山頂上から善通寺市街を貫く「讃岐の基準線」の方向を遠望。晴れていれば、屋島北嶺まで見通すことができる。

善通寺を起点にした二至レイラインは、讃岐の聖地のもっとも重要な基準線となっているように見えます。

 

ここまで、75番札所「善通寺」のレイライン的観点での分析レポートをご紹介しました。

同じ三豊市・善通寺市・多度津町エリアの70番札所「本山寺」、71番札所「弥谷寺」、72番札所「曼荼羅寺」・73番札所「出釈迦寺」、74番札所「甲山寺」、76番札所「金倉寺」・77番札所「道隆寺」に関するレポートは、以下リンクの記事もぜひご覧ください。

レイライン的な観点から見た札所の構造【香川県三豊市・善通寺市・多度津町エリア[70番札所「本山寺」]】

レイライン的な観点から見た札所の構造【香川県三豊市・善通寺市・多度津町エリア[71番札所「弥谷寺」]】

レイライン的な観点から見た札所の構造【香川県三豊市・善通寺市・多度津町エリア[72番札所「曼荼羅寺」・73番札所「出釈迦寺]】

レイライン的な観点から見た札所の構造【香川県三豊市・善通寺市・多度津町エリア[74番札所「甲山寺」]】

レイライン的な観点から見た札所の構造【香川県三豊市・善通寺市・多度津町エリア[76番札所「金倉寺」・77番札所「道隆寺]】

 

【75番札所「善通寺」 地図】

 

あなたにおすすめ

 

pilgrim-shikoku-logo_set 四国遍路情報サイト「四国遍路」
TOPページに戻る


The following two tabs change content below.

内田一成

聖地と呼ばれる場所に秘められた意味と意図を探求する聖地研究家。アウトドア、モータースポーツのライターでもあり、ディープなフィールドワークとデジタル機器を活用した調査を真骨頂とする。自治体の観光資源として聖地を活用する 「聖地観光研究所--レイラインプロジェクト(http://www.ley-line.net/)」を主催する。