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84番札所屋島寺は、現在は屋島南嶺の頂上付近に位置しますが、かつては北嶺頂上付近に存在したと伝わり、この地は讃岐の基準線と考えられる重要なレイラインの北東端にあたります。眺望も素晴らしい高松随一の景勝地でもあります。

 

レイライン的な観点から見た札所の構造

四国八十八ヶ所の札所は、由来書はもとより、様々なガイドブックや寄稿文などで、その歴史が紹介されています。そんなこともあって、すでに語り尽くされているような印象がありますが、個々の札所をその構造から分析するレイラインハンティングの観点で見直してみると、今まで語られてこなかった札所の歴史や、個々の札所に込められた古の人の思いが明らかになってきます。
今回は、高松市エリアの84番札所屋島寺をご紹介します。

 

明るく伸びやかな風景が広がる東讃に点在する聖地

83番札所一宮寺から84番札所屋島寺へ向かう道は、高松の市街地を通る平坦な部分がほとんどだが、屋島の頂上にある屋島寺へは、胸突き八丁の登りとなる。さらに85番札所八栗寺へは、屋島寺からいったん急坂を下り、再び八栗寺への急登と、アップダウンを強いられる。歩き遍路にとっては、終盤に差しかかってかなり辛い道となる。

レイライン 高松市エリア 地図

高松市エリアの史跡には明確なレイラインを示したり、結界を描き出しているものもある。

 

84番札所「屋島寺(やしまじ)」

<由緒>

四国八十八ヶ所84番札所「屋島寺」
真言宗御室派 南面山千光院
本尊:十一面千手観世音菩薩

鑑真が天平勝宝6年(754)に奈良に向かう途中でここを訪れて開創したと伝えられる。はじめは屋島北嶺上に堂宇が築かれたが、その後、古代山城の屋嶋城閉鎖に伴い、その跡地である屋島南嶺の現在地に寺院を創設したとされる。北嶺上には屋島寺の前身とされる千間堂の遺跡が今も残る。

 

讃岐の基準ラインの北東端

現在の屋島寺は屋島南嶺の頂上付近に位置し、本堂は南面し、その先に参道が伸びています。これは寺社としてはオーソドックスな構造です。

屋島寺 山門

南面する屋島寺の山門。歩き遍路道を進むとこの門をくぐって境内へ進むが、車で寺にたどり着くと裏門から入るので、この門に気づかないお遍路さんが多い。

由緒によれば、はじめは現在の場所ではなく屋島北嶺上に堂宇が建てられたとあります。ここは、「讃岐の基準ライン」ともいえる夏至の日の出と冬至の日の入りの方向を結ぶラインの北東端に当たります。こちらは夏至の太陽が昇ってくる方向で、反対は冬至の日の入りの方向になりますが、その南西端には善通寺が位置し、屋島北嶺と善通寺を結ぶこのライン上には、讃岐の主要な聖地が並んでいきます。こうした構造を考えると、最初に築かれた堂宇とその参道は、冬至の入り日の方向=善通寺を向いていたのかもしれません。
善通寺背後の香色山からは、天気が良ければ、讃岐の基準ラインの主要ポイントと屋島北嶺まで見渡すことができます。
※讃岐の基準ラインに関しては、以下の記事で詳しくご紹介しています。

讃岐レイラインの大動脈【善通寺と屋島を結ぶ讃岐の基準線】

 

狸と山人文化

屋島寺で特徴的なのは、本堂横の稲荷鳥居の両脇に狛犬のように立つ大きな「太三郎狸」です。
空海は伏見稲荷との関係が深いのですが、なぜかその空海のお膝元の四国では稲荷が極端に少なく、狸が祀られているケースが目立ちます。スタジオジブリのアニメ「平成狸合戦ぽんぽこ」では、四国三大狸として、この太三郎狸とともに松山の隠神刑部、徳島の金長狸が登場しました。
宗教学者の山折哲雄は、これを平地の少ない四国では長らく山の文化が支配的で、稲作文化の流入が遅れたためではないかと記しています。そんな観点から四国を眺めてみると、たしかに、山人の文化がいまだに色濃く残っている印象があります。

屋島寺 狸

四国では稲荷(狐)が少なく、狸を目にする機会が多いのも独特の文化。

屋嶋城復元

屋島南嶺では、古代の山城「屋嶋城」の石積城壁の復元をみることができる。

屋島周辺は屋島寺以外にも、源平合戦の史跡など見どころが多く、歴史も実感しながら学べるので、コース整備や解説をより充実させると、魅力的な歴史探訪が可能になると思います。

 

【84番札所「屋島寺」 地図】

 

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内田一成

聖地と呼ばれる場所に秘められた意味と意図を探求する聖地研究家。アウトドア、モータースポーツのライターでもあり、ディープなフィールドワークとデジタル機器を活用した調査を真骨頂とする。自治体の観光資源として聖地を活用する 「聖地観光研究所--レイラインプロジェクト(http://www.ley-line.net/)」を主催する。