【24番札所最御崎寺】その音は亡くなった人に届くとされる「鐘石」

24番札所最御崎寺の参道脇に、いくつかの窪みがある大きな石があり、窪みに角の取れた石が置かれています。たたくと鐘のように音を出すことから「鐘石」と呼ばれるこの石の音は、冥界に届くとさています。

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最御崎寺 山門

約80kmの道のりを歩いてきた巡礼者を迎える山門

—– 記事に登場する主な地名・単語
第24番最御崎寺(だい24ばんほつみさきじ)
第23番薬王寺(だい23ばんやくおうじ)
土佐國(とさのくに)
室戸山明星院最御崎寺(むろとざんみょうじょういんほつみさきじ)
虚空蔵菩薩(こくうぞうぼさつ)
智慧(ちえ)
御厨人洞(みくろど)
室戸岬(むろとざき)
鐘石(かねいし)

—– 記事に登場する主な人物
武田徳右衛門(たけだとくえもん / ?~1814) … 伊豫國越智郡朝倉村(現在の今治市)生まれ。寛政6年(1794)から文化4年(1807)にかけて四国各地に標石を建立した。

 

空と海の青さから…

最御崎寺 山号札

山号・院号・寺号

室戸山明星院最御崎寺

室戸岬で修行を行っていた大師は、ある日「明けの明星」が口に飛び込んでくる体験をする。その時見た 「空」 と 「海」 の二色だけの景色に感銘を受け、 "空海" と名乗った。

24番札所最御崎寺の院号は、その出来事に由来します。

 

本尊・虚空蔵菩薩

最御崎寺 多宝塔

虚空蔵菩薩と多宝塔

虚空蔵菩薩は 

"智慧の菩薩"

とも評されるが、広大な宇宙のように無限の智慧を持ち、それを我々に授けてくれる役割から。

難解な御真言

「のうぼう あきゃしゃきゃらばや おんありきゃ まりぼりそわか」

を唱えることにより智慧の利益(りやく)を得ることができ、それを一日一万遍、百日で百万遍納めた修行者には、全ての物事を記憶する力が身に付くという。
若き日の空海は この場所・室戸岬の岩窟(=御厨人窟)に籠り、その "虚空蔵求聞持法" の修行を納めた暁に前述のような体験を得たとされる。

 

あの世に届け…!

最御崎寺 境内

山門から続く参道

山門をくぐると正面に虚空蔵菩薩が祀られる本堂、左手に大師堂。

その前にある大きな石。上部にはいくつかの窪みがあり、そこに角の取れた石が置かれています。

最御崎寺 鐘石

鐘石

"鐘石" と呼ばれるこちらの石は、その名の通り叩くと鐘のように音を出すことから、そう呼ばれる。

その音は冥界に届くと言われ、音を届けたい故人を思い浮かべ、置かれた石を手に持ち窪みを叩くと、その音が亡くなった方の耳元に届く。
それが父母など先祖や、今の自分を見て欲しいかつての友人など、誰でも構いません。鐘石を奏でることによって今の遍路としての姿を、あの世から見てもらいましょう。

 

武田徳右衛門標石

最御崎寺 武田徳右衛門標石

標石

参道脇・大師堂横に建てられた標石。

最御崎寺 武田徳右衛門標石 拡大

武田徳右衛門によるもの

是ヨリ津寺迄一里
願主 豫州越智郡徳右衛門

江戸時代後期に多数の標石を建立した武田徳右衛門氏の標石。
建てられてから200年前後の年月が経っているのですが、彫られている情報ははっきり見て取れる。

元々立っていた場所が良かったのか
良質の石を使用したのか
彫刻技術が高かったのか


四国には古くから巡礼が存在し、それを支えた人物らによって 四国遍路が現代に伝えられてきた証をこのようなものから知ることができます。

 

【24番札所】  室戸山 明星院 最御崎寺(むろとざん みょうじょういん ほつみさきじ)
宗派: 真言宗豊山派
本尊: 虚空蔵菩薩
真言: のうぼう あきゃしゃ きゃらばや おん ありきや まりぼり そわか
開基: 弘法大師
住所: 高知県室戸市室戸岬町4058-1
電話: 0887-23-0024

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この記事を書いた人

四国遍路案内人・先達。四国八十八ヶ所結願50回、うち歩き遍路15回。四国六番安楽寺出家得度。四国八十八ヶ所霊場会公認先達。 高松市一宮町で「だんらん旅人宿そらうみ(http://www.sanuki-soraumi.jp/)」を運営。