四国八十八ヶ所霊場巡礼も佳境に迫った86番札所志度寺の近くに、2018年春にオープンした善根宿「88ALBERGUE」があります。香川大学の大学生が手造りしたという善根宿には、いろいろな工夫がつまっています。
86番札所志度寺近くの便利な立地の善根宿
四国八十八ヶ所霊場巡礼も佳境に迫った86番札所志度寺、ここから続く87番札所長尾寺、88番札所大窪寺への結願ロードはお遍路さんの長い旅路の締めくくりです。
志度寺から長尾寺までは距離約7kmの平坦路、長尾寺から大窪寺までは距離約15kmの間に約450mの標高差を登る道のりで、特に歩き遍路さんは志度寺か長尾寺のエリアで1泊してから結願を目指すことが多いです。
宿が特に求められるこちらのエリアに、善根宿「88ALBRGUE(ハチハチ・アルベルゲ)」が2018年春にオープンしました。
「善根宿」とは、地域の人がお遍路さんのためにお接待で運営する宿のことです。
特に巡礼中に宿の予約や確保に困ることが多い外国人の専用の善根宿として(2018年7月現在)、運営をスタートしたそうです。
場所は、志度寺から徒歩約5分、鉄道の拠点駅であるJR高徳線「志度駅」と、ことでん志度線「琴電志度駅」の至近、幹線道路の国道11号線沿いにあります。
宿の目の前にはファミリーレストランがあり、すぐ近くの駅周辺にはコンビニや飲食店があるので、お遍路さんが宿泊するのに便利そうですね。
畳でのびのび、水道・トイレ・シャワー・洗濯機完備の充実施設
入口から屋内に入ると、広々したスペースに、机と椅子、畳敷きの小あがりが設置されていて、お遍路さん同士が交流できる空間になっています。
この建物の1階部分は、元々はふたつに仕切られ、喫茶店と不動産屋の2店舗が営業していたそうですが、壁をぶちぬいて解放感のある空間にしたとのこと。
また、シンクが設置されていたり、トイレがふたつあったり、お遍路さんにありがたい設備がそろいます。
88ALBERGUEは、善根宿というぐらいですから、宿泊も可能です。
この建物は2階建てになっていて、階段で2階にあがってみると、驚きの空間が。
寝具の備え付けはないので、宿泊する際は寝袋などの持ち込みが必要で、基本は雑魚寝ですが、広い和室が2室あって、ふすまもあるので、男女で別れて使ったり、ある程度のプライベート空間を確保することも可能ですね。
1階にはシャワーと洗濯機も設置されていて、歩き遍路さんにはたいへんありがたい施設です。
※シャワー・洗濯機の利用はそれぞれ1回につき100円の支払いが必要です。
これだけの充実した設備があり、お遍路さんが快適に過ごせるように工夫がつまった施設は、どのような経緯で開設され、どのように運営されているのでしょうか。
香川大学の大学生が手造りした善根宿
この88ALBERGUEは、実は地元の香川大学の大学生が卒業研究の一環で考案し、自らリノベーションも手がけて開設した善根宿なのだとか。
所属している研究室の調査で、特に歩き遍路さん向けの遍路宿が不足していることを知り、お遍路さんの動向やニーズを知るためのアンケート調査も実施した上で、善根宿を開設することを決定したそうです。
さらに、年間30万人ほどの巡礼者が世界中から集まるスペインのキリスト教の巡礼路「サンティアゴ・デ・コンポステーラ」の巡礼宿「ALBERGE(アルベルゲ)」の現地調査も行い、海外の先進事例を参考にしていて、このことが88ALBERGUEのネーミングにもつながっています。
86番札所志度寺の十河副住職の全面バックアップのもと、クラウドファンディングでの資金調達にもチャレンジして、多くの人の支援によって開設までたどり着きました。
世界中から集まるお遍路さんを助けたいという四国の地元の方々の想いから開設された善根宿。
大学生の様々な観点からの調査に基づいて、お遍路さんが快適に過ごせるような工夫がたくさんつまっています。
このような取り組みが四国中に広がり、四国を旅して四国の良さを体感し特別な体験をするお遍路さんが増えていくことを期待するとともに、本サイトを運営する株式会社四国遍路もこのような活動の一翼を担うことができるように努めていきたいと思います。
施設名: | 88ALBERGUE |
受付時間: | 9:00~16:00 |
定休日: | 年中無休 |
電話: | 087-894-0086(志度寺納経所) |
料金: | 志度寺納経所にてお気持ち |
注意事項: | 外国人のみ利用可能 ※2018年7月現在 |