香川県三木町の中心部、新川北東方向にそびえる「白山」は、その円錐形の美しい山容から「東讃富士」と呼ばれる、地域のシンボルでありランドマークです。古代から信仰の対象であった痕跡を残す聖山でもあります。
白山
天野八幡神社の前で新川は南へ向きを変えます。
※新川の起点から、天野八幡神社までに関しては以下リンクの記事をご覧ください。
そして、東に「白山(しらやま)」を見ながら、その裾野を回り込んでいきます。
讃岐には花崗岩大地が侵食を受けてビュートと呼ばれる円錐形の優美な丘になった地形が良く見られます。
その代表は、丸亀市にある「飯野山(いいのやま)」ですが、この白山は飯野山が讃岐富士と呼ばれるのに対して、東讃富士と称され、その優美さは引けをとりません。
周囲に目立つ山や丘がなく、平地に立ち上がった独立峰なので、非常に目立ち、古代から信仰の対象やランドマークとされてきたことがうかがえます。
白山神社
白山の麓には「白山(しらやま)神社」があります。
白山神社の由緒を記した『極楽寺記』には、祭神は伊邪那美命で、延長4年9月(926)越の国(今の福井県から石川県付近。白山を仰ぎ、白山信仰が強い)の人であった明海が白山妙理権現をここに勧請したとあります。
全国の白山神社の総社である白山比メ神社神明細表の香川県の部にも末社と記されていいます。
また、一説には白山下に晴明というやはり越国出身の僧がいて、占筮の術に通じ、白山上人と呼ばれていたとも伝えられています。
白山神社の祭神は、伊邪那美命とともに、菊理媛命(ククリヒメノミコト)、白山比メ、さらに神仏習合の形である白山妙理権現と多様ですが、いずれも性格がほとんど同じ女神であることが特徴です。
また石川県の白山頂上では、これらの女神とともに九頭龍が祀られていますが、これは水神信仰を表しています。
讃岐の白山神社は、鰐河神社の境外末社であった可能性も高いといわれていますが、それは女神=水神信仰という豊玉姫命=鰐信仰とオーバーラップします。
この白山頂上は岩の露頭となっていて、石鎚神社と龍王社が並んで南向きに鎮座しています。
さらに地魂坊天狗が祀られた社が西を向いて安置されています。
これは、この山が山岳修験の道場であったことを物語っています。
このように、その円錐形の美しい山容で香川県三木町のシンボルともなっている白山は、古代から信仰の対象やランドマークとなり聖地だった痕跡を今なおとどめています。
※「豊玉姫の聖地とレイライン―屋島から新川を辿る―」は以下リンクの記事に続きます。
【屋島〜新川上流】豊玉姫の聖地とレイライン-眞行寺・八ヶ峰・勅使神社編
【「白山 頂上」 地図】
【「白山神社」 地図】