【高知県大月町龍ヶ迫】風力発電と段畑の特徴的な風景

高知県西南地域が誇る「ひがしやま」。この不思議な干し芋が作られているところはどんな土地だろう。その産地の一つ「龍ヶ迫」を訪ねます。

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龍ヶ迫産ひがしやま

龍ヶ迫(竜ヶ迫)と書いて「たつがさこ」と読む

 

足摺西岸の街・大月町

大月町 地図

足摺半島の西岸に位置する「幡多郡大月町(はたぐんおおつきちょう)」

第38番金剛福寺(こんごうふくじ)から第39番延光寺(えんこうじ)の道中で「おつきさん」こと番外霊場の月山神社がありますが、この区間は第37番岩本寺(いわもとじ)から進んで来た足摺半島の東海岸を打ち戻る方が距離が近いため、大月町がある西海岸を通行するお遍路さんは少数派の印象があります。

かくいう自分が初めて四国八十八ヶ所を回った時はというと、来た道を戻るのが面白いようには思えなかったので大月町を経由しました。西海岸経由の方が距離・時間面でざっくりプラス一日なので、その辺りは持ち時間・所持金との相談になると思います。ただ、西海岸ルートは多くの場所で宿毛-土佐清水間の路線バスが往来しているので、安心材料になります。

龍ヶ迫 県道357号線 カーナビ経路

旅の始まりは「ひがしやま」が販売されている道の駅ふれあいパーク大月から

大月町役場がある場所とは若干位置が異なりますが、本線(宿毛-土佐清水)から枝分かれするバス連絡が行われているのが道の駅ふれあいパーク大月なので、町の人が集まり易い場所が道の駅なのだと思われます。
この道の駅でたくさんの種類が販売されているのが、幡多地域の名物干し芋「ひがしやま」。この珍しいお菓子の産地のひとつである「龍ヶ迫(たつがさこ)」に、遍路道をそれて向かってみることにします。
※「ひがしやま」に関しては、以下リンクの記事で詳しくご紹介しています。

【道の駅ふれあいパーク大月】キャラメルのような味と食感の大月町特産ひがしやま

大月町の集落は主には国道321号沿いにありますが、西側の海岸沿いにもいくつかあります。その中でも龍ヶ迫集落は最も遠い、街の中心から真裏の位置。よくこんなところに集落があるなあと地図だけでも感じることができる、秘境集落です。

大月ウインドファーム 風力発電

龍ヶ迫方面の目印となるのがこちらの風力発電群(大月ウインドファーム)

この山の裏側に龍ヶ迫集落があります。これら風力発電機は集落へ向かう道中はもちろん、宿毛市の海岸や愛南町からも見えています。龍ヶ迫から九州が見えるので、天気が良い時には大分県南部からこれらが見えているかもしれません。

 

龍ヶ迫休憩所からの眺め

龍ヶ迫休憩所

遍路道を歩いていると馴染みがある「四国のみち」がここにも

龍ヶ迫へのアクセス路は北と南の二通りあって、今回通ったルートは南側からの泊浦(とまりうら)経由の道。道の状態からいえば、バス路線である北側ルートの方がまだいくらかマシ…とも思いますが、道幅などは似たようなもんです。自動車での龍ヶ迫訪問は運転に慣れている方限定です。
四国のみち32番「芳ノ沢のみち」に指定されているこの区間。ですがここは遍路道でも無ければ龍ヶ迫に行ったところで煌びやかな何かがあるわけではないので、かなり玄人向けの旅先であるように思います。

四国のみち高知県庁ホームページ→https://www.pref.kochi.lg.jp/soshiki/030701/michi.html

龍ヶ迫集落

休憩所から見ることができる龍ヶ迫集落の全容

集落内に突き出た半島があり、主にはその南側の丘の上に民家が点在している感じ。けして大きな集落ではなく、北西風の時は吹きさらしという厳しい環境です。

鵜来島

冠のような特徴的な形の島の名前は「鵜来島(うぐるしま)」

龍ヶ迫から見える鵜来島は、人口約20名の宿毛市に所属する離島。位置柄、第二次世界大戦中は全島疎開になり要塞化された歴史があります。現在は釣り人にとって天国の様な島です。

大月ウインドファーム 風車

遠くからでもよく見える風力発電群

山側を見上げると来る道中で見た風力発電機が見えます。

 

南予由来の段畑

段畑 石垣 龍ヶ迫

これと同じものを南予の遍路道沿いでも見たような…

龍ヶ迫を訪れて目に留まる「石で組まれた段畑」
これは南予(なんよ、愛媛県南部)で見ることができる段畑と同じもの。

龍ヶ迫からの愛南町

龍ヶ迫から見えている向かいの陸地は愛媛県愛南町

龍ヶ迫集落のはじまりは、明治時代にこの地に移り住んだ大浜(おおはま、旧・城辺町大浜→現・愛南町大浜)の人々に由来するようです。つまり県外の愛媛県から移住が行われたということになりますが、交通手段が船と考えるとその方々の故郷は目と鼻の先なので、けして遠い場所からやってきたという感じではなさそうです。
歴史的景観として愛南町の観光素材の一つになっている西海(にしうみ)の石垣集落「外泊(そとどまり)」は、もともと家督を継がない次男三男たちが暮らす場所がなく、近くの谷間に移り住んで住宅地を造成したもの。それが本家の近くに築かれたものか、海の反対側だったのかの違いといったところでしょうか。明治の始め頃、この地方では増え続ける人口に対して住宅問題が発生していたのかもしれません。

 

段畑の栄枯

段畑 県道357号沿い 龍ヶ迫

県道沿いで見ることができる段畑の栄枯

耕作には非効率的な段畑なので、使われている畑・使われなくなって野に帰つつある元畑があるのは、南予と共通のようです。
残されている段畑が県道より山手に多く見ることができるのは、収穫した作物を道路まで持って上がるより、下ろすほうが労力的には小さいからでしょうか。

元段畑 龍ヶ迫

耕作が行われなくなり、すっかり草木が繁茂してしまった元段畑

このような元段畑が雑木林に返りつつある光景は、歩き遍路で南予を歩いていても見ることができます。例えば柏坂を登り始めて遍路道の左右に目をやると、それぞれ斜面に石垣が組まれた畑地の跡を見ることができます。

段畑 谷間 龍ヶ迫

工事のため元々あった段畑が露出した例

元来段畑は谷間に築かれることが多いようで、ここでも谷間の上から下まで段畑の跡を見ることができます。

現役段畑 龍ヶ迫

このような段畑で栽培されているのが、ひがしやまの原料となる紅はやと

段畑を眺めていると、どうやら県道の開通が畑を上下に分断してしまった印象を受けます。作られる作物は場所や季節によって様々でしょうが、段畑の本場・南予では芋類であることが多い。龍ヶ迫の段畑では、季節によってはひがしやまの製造に用いる紅ハヤトが栽培されていることと思います。

 

龍ヶ迫から見える遍路道中で越える峠

龍ヶ迫からの宿毛方面

歩き遍路で越える松尾峠は、山なみの低くなっている部分

龍ヶ迫の土地が高いところへ行くと、宿毛湾を一望することができます。

右下の白い建物…宿毛リゾート椰子の湯
オレンジ色のクレーンがある場所…宿毛新港
山なみの低くなっている部分…松尾峠
左奥の山…篠山

高知・愛媛の県境が接する地域で前述のように文化的に共通する部分が多く見られるこの地域ですが、江戸時代には鵜来島が宇和島藩領(=愛媛)であったり、松尾峠に競って領界石を建てたり、明治期には篠山の帰属を巡って争われるなど、領域に関してはお互い譲れぬものがある地域でもあります。

※龍ヶ迫集落のご紹介は、以下リンクの記事に続きます。

【高知県大月町龍ヶ迫】高知県と愛媛県の文化ミックスとだるま夕日の絶景ポイント

 

【「龍ヶ迫休憩所」 地図】

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この記事を書いた人

四国遍路案内人・先達。四国八十八ヶ所結願50回、うち歩き遍路15回。四国六番安楽寺出家得度。四国八十八ヶ所霊場会公認先達。 高松市一宮町で「だんらん旅人宿そらうみ(http://www.sanuki-soraumi.jp/)」を運営。