【道の駅ふれあいパーク大月】キャラメルのような味と食感の大月町特産ひがしやま

四国遍路旅の楽しみに一つに現地ならではのグルメがあります。高知県西南地域で見かける「ひがしやま」はお芋のお菓子なのですが、名前から何から不思議な食べ物で、「道の駅ふれあいパーク大月」で販売されていた数種類を食べ比べてみました。

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道の駅ふれあいパーク大月 産直市 ひがしやま

道の駅ふれあいパーク大月の産直市には大月町内で製造されるひがしやまがずらりと並ぶ

 

ひがしやまの製造工程

ひがしやま 製造方法

商品の横に掲げられているひがしやま製造方法解説

干し芋「ひがしやま」の作り方は至ってシンプル。

芋を掘りだす

皮を剥く

洗う

炊く

取り出して形を整える

干す

特に「炊く」工程に注目で、ここでは水だけを用いて芋を4~5時間炊くとあります。それは芋を剥いて放り込んで5時間!というわけにはいきません。芋を焦がさないように火力や水位を見ながら、それでいて芋から出る灰汁を取りながら丹精込めて芋を炊き上げての話。付きっきりのたいへんな作業です。

ひがしやま 製造工程 干す工程

潮風が当たる陽当たりが良い場所で干すのがポイント

ひがしやまは、高知県西南部の幡多郡一帯で作られています。地域によって形や味は異なるようですが、大月町のひがしやまは「海辺で潮風を当てて干す」ところに独自性があるのではないでしょうか。冬場は雨が少なく冷たい北西風が吹く大月町の海辺は干し芋づくりにとって願ってもない好条件。そこに南国高知の太陽が当たることで独特の食感を生むとされています。

 

ひがしやまを試食

ひがしやま 食べ比べ

大月町のひがしやまは丸干し芋が特徴で、巷では高級品

一般的に干し芋と聞いてイメージするのは平べったい形で、茨城県の特産品と有名。気になって調べて見ると、全国生産の9割が茨城県で作られているそうです。
高知県のひがしやまはその残り1割の中に入っているわけで、家庭で作られているものを除くと「高知の干し芋」を見かけるだけでそれは希少種ということになります。考えてみれば高知県の特産品の一つには芋けんぴがあり、元々芋食文化がある土地といえるかもしれません。

今回はどのようなものか食べ比べてみたく二種類を購入。本当なら三・四種類食べ比べ…といきたいところですが、これがなかなか値が張るものでして、初めて食べるもので口に合わなかったらどうしようと余計なことが頭をよぎって二種類だけ購入しました。
ただそこは似たような形のものを選んでも食べ比べにならないので、一つは大学芋みたいなしっとりタイプ。もう一つは乾いているタイプ。後者が通常思い浮かべる干し芋に近いのかなあという先入観があります。

それにしてもここで売られている「ひがしやま」は全てこのような丸干しタイプ。人生で初めて見る干し芋の形です。茨城県にも丸干しの干し芋はあるようなのですが、厚みがあるとその分乾燥時間が長くなるわけで、その間の管理時間を考えるとスライスと比べて生産性が下がります。茨城の丸干し芋は高級品の位置づけのようです。
高知のひがしやまはというと、平べったいひがしやまはあるにはあるようなのですが、大月町で見かけるひがしやまはほとんどがこのような丸干しのものでした。これはひがしやまが「紅はやと」という芋の中でもあまり大きくならない品種で作られることに理由があるのかもしれません。大きくても小さくても丸干し芋が高級品なのは同じです。

見た目が乾いているひがしやま

見た目が乾いているひがしやまから試食

ほど良い硬さがありますが、こちらは味・食感共に従来の干し芋と似た感じでした。こちらは茨城県産の干し芋と食べ比べてみると面白いように思います。

見た目がしっとりしているひがしやま

見た目がしっとりしているひがしやまを試食

こちらの食感はねっとり。噛み切れるけど歯につく、キャラメルのような食感です。食べるというより噛んでちぎったものをねぶる、といった食べ方が向いている気がします(食べ方が合っているか分かりません)。下手に奥歯で噛んで食べると、歯の詰め物が除いてしまうんじゃないかなあと心配になりました。とはいえ口の中での賞味時間がこちらのしっとりタイプのひがしやまのほうが長いので、こちらの方がより甘さを感じることができるのかなあという感想です。
たった二種類しか食べたことがない身で申し上げると、ひがしやまらしさという点ではこちらの方が味・食感共に個性がありました。

 

個人的なひがしやま命名説

ひがしやま 干しているところ

ひがしやま製造中

ひがしやまの感想は正直いって「不思議なたべもの」なのですが、その名前の由来が気になるところ。

幡多地方の方言で「ひがちばる」→干からびる
山で採れる干し菓子→干菓子山(ほしがしやま)→ひがしやま
一般的にはこの二つが有力な説とされています。

しかしながら、ここ幡多といえば中村(現・四万十市)。中村といえば「土佐の小京都」
京を模した碁盤の目に整理された街並や、ここでは京由来の地名をしばしば目にすることができます。

それでいくと「東山(ひがしやま)」はあまりにも有名な京の地名。東山に由来する何かが当地での干し芋製造の源流になってそう呼ばれるようになったのではないか?
遠く離れた土佐中村で京文化が息づいていたら素敵だなあ。と個人的な願望込みの仮説ですがいかがでしょうか。ひがしやまが京由来のものかどうか、調べてもその説は出てこないのでおそらく違うと思われます。

大月町のひがしやま。ぜひ一度食べてみてください。

※ひがしやまの産地のひとつである龍ヶ迫集落を訪れたときの様子を以下リンクの記事でご紹介しています。

【高知県大月町龍ヶ迫】風力発電と段畑の特徴的な風景

【高知県大月町龍ヶ迫】高知県と愛媛県の文化ミックスとだるま夕日の絶景ポイント

 

施設名:  道の駅 ふれあいパーク大月
営業時間: 8:30~17:00(売店・直売所)
9:00~21:00(レストラン)
定休日: 1月1日・2日
住所: 高知県幡多郡大月町弘見2610番地
電話: 0880-73-1610

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この記事を書いた人

四国遍路案内人・先達。四国八十八ヶ所結願50回、うち歩き遍路15回。四国六番安楽寺出家得度。四国八十八ヶ所霊場会公認先達。 高松市一宮町で「だんらん旅人宿そらうみ(http://www.sanuki-soraumi.jp/)」を運営。