【玉藻公園】高松城跡に整備された海城ならではの体験・景色を楽しめる歴史公園

香川県高松市の中心市街地にある「玉藻公園」は、国の史跡・名勝・重要文化財である高松城跡に整備された公園で、日本の歴史公園100選に選出されています。海城跡ならではの内堀での和船体験や鯛にエサやり体験などができます。

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高松城跡に整備された高松市のシンボル「玉藻公園」

香川県の県庁所在地である高松市の中心市街地にある「玉藻公園(たまもこうえん)」は、高松城の跡地を基盤として整備された公園です。 高松城は、讃岐(現在の香川県)の中央部に瀬戸内海に面して築かれた近世城で、万葉集で柿本人麻呂が讃岐の国の美しい海を見て、枕詞に「玉藻よし」と詠んだことにちなんで玉藻城とも呼ばれていました。水陸の交通の要衝に築かれ、海水を引き込み、海を水運と防御に用いた「海城」であり、波打ち際にそびえる城郭の威容は、背後の城下町やそれをとり巻く山々と一体となって、讃岐国の象徴的な風景として知られていました。
※高松城については、以下リンクの記事で詳しく紹介していますので、こちらもぜひご覧ください。

【高松城】海城特有の櫓・門・堀などが現代にのこる日本三大海城のひとつ

明治時代に入ると、この城址周辺は都市の近代化の中枢部として水陸の交通網と各種の公共施設が集積し、城郭に代わる新たな都市のシンボルとなっていきました。この近代都市高松の歩みのなかで、中堀、外堀の多くは埋め立てられ、波が打ち寄せていた城郭は海から隔てられて、城郭建造物の多くも取り壊されました。特に城郭外側から市街化が進み、桜の馬場および西の丸跡は、周辺の都市部と連結した博覧会などのイベント会場としてしばしば利用されました。

昭和時代に入り、戦後の昭和28年(1953年)に臨時市議会において高松城址の買い入れに関する議案が可決されたのをうけ、高松市は昭和29年(1954年)に旧藩主松平家が設立した松平公益会と買収調印を行い、翌昭和30年(1955年)より公園として一般開放しました。これは、戦災により市街地の約80%を失う大被害をうけた高松市の復興のシンボルとなる整備になりました。玉藻公園の面積は約8万㎡(約2万4千坪)で、昔の高松城の城域約66万㎡(約20万坪)と比べ約8分の1ほどの広さになりました。

玉藻公園_入口

高松城の面影をのこす玉藻公園の入口。

 

海城ならではの体験・景色を楽しめる日本の歴史公園100選

公園化と同時に、公園とほぼ同じエリアが国の史跡にも指定され、それ以後は現存している櫓の修理や堀の浚渫、石垣の修理等の保全整備が行われていきました。
この「文化財」としての見方や性格は、高松を代表する貴重な文化財の保存と活用の観点、さらに固有の歴史に根ざした豊かな都市づくりのシンボルとしての観点から、平成時代に入り格段に強まっています。
天守の復元をめざして平成18年(2006年)より始まった天守台石垣の解体修復工事や、舟遊びを楽しむ和船体験など、特に本来の城郭のイメージを再生することに力点を置いたハード・ソフトの両面の整備が積極的に進められ、充実してきています。
歴史的・文化的資源の魅力を国の内外に広く伝え、歴史的・文化的資源の保存・活用、観光振興などを目的として、日本の歴史公園100選にも選出されています。

玉藻公園_城船体験

和船体験(城舟体験)では、およそ30分かけて天守台までの内堀を往復遊覧し、海城ならではの乗船体験ができると話題です。

また、玉藻公園名物の体験型アトラクションとして、内堀の鯛にエサを与えて「鯛願城就」(大願成就)があります。エサが欲しいという鯛の願いを叶えた人の願いも叶うという指向です。もうひとつは、天守閣の復元構想が成就しますように、という玉藻公園開園以来の大願(対岸)を城就する、という意味も込められているそうです。

園内にある披雲閣(ひうんかく)の庭園は大正3年から6年(1914年から1917年)に、旧讃岐高松藩主松平氏第12代当主の松平頼壽(まつだいらよりなが)が高松城三の丸跡に迎賓施設として造園しました。近代以降になって近世城跡に作庭された大規模な庭園の希少な事例です。作庭は東京の庭師・大胡勘蔵(おおこかんぞう)が行い、ソテツや松の並ぶ枯山水庭園が造られました。重厚感ある飛石と刈込みの苑路が見どころです。披雲閣は高松藩主・松平氏が廃藩置県後、高松城内の藩主御殿の跡地に築造した和風建築で、国指定重要文化財です。

 

お遍路道中では高松市中心市街地に宿泊したり立ち寄ったりするお遍路さんも多いと思います。玉藻公園のすぐ近くにあるJR高松駅やことでん高松築港駅を拠点に高松市内を移動するのにも便利な場所ですので、高松市の歴史を感じにぜひ立ち寄ってみてください。

 

【「玉藻公園」 地図】

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この記事を書いた人

建築・不動産・旅のテーマが得意なライター。社寺系ゼネコンに勤務経験があり、四国八十八ヶ所霊場の札所建築物の改修工事に携わったことがあります。仏教に興味があり、2022年には四国のお遍路巡礼もしました。ライターとは別名義で作家として小説も書いています。