青空に映える青銅の大師像。別格17番札所神野寺の境内にいらっしゃる弘法大師空海は、小高い丘の上から自身が改修を行った日本最大のため池「満濃池」を見守り続けています。
—– こちらの記事に登場する主な単語の読み
満濃池(まんのういけ)
神野寺(かんのじ)
灌漑(かんがい)
日本最大のため池
香川県の真ん中に位置する「満濃池」(香川県まんのう町)。
背後には徳島県との県境である阿讃山脈を望むこちらのため池は、お大師さまが改修を行った日本最大の灌漑用ため池。
雨の少ない讃岐國の歴史は、昔から水の確保が命題だった。国中にため池が多く作られた中で満濃池は最大のもの。
空海による改修は弘仁12年(821)のこととされる。
そのほとりにある寺院。
山門は無く 代わりに境内入口となる場所には 「弘法大師築池霊場」 とある。
弘仁12年(821)、空海が嵯峨天皇の勅命により池の改修を行った際、池の守護として寺を建立したことが始まり。
神野寺(かんのじ、香川県まんのう町)
四国別格二十霊場のひとつ、17番札所。
寺号の "神野" は当地の地名・神野郷に由来。
池の名前はかつては神野池(かんのいけ)と呼ばれていたが、空海により改修に際して "真野池" に改められ、それが転訛して明治期に "満濃池" と呼ばれるようになった。
丘の上のお大師さま
本堂参拝後、背後の坂を進みましょう。
丘を上がったところに大師像があります。
高さ3.3mの弘法大師銅像は、香川県出身の彫刻家・小倉右一郎氏によるもので昭和8年(1933)の建立。
大師堂はありません。
こちら大師像がある場所を大師堂として、読経を行いましょう。
お大師さまの目線の先には満濃池の水面(みなも)を見ることができる。
雨の少ない香川県、時期によって池の水位変動が著しい。 この時は奥の陸地が少し見えるので、やや減水といったところ。
大師改修後の満濃池は…?
信仰の上では 「誰もが成し得なかった満濃池の改修工事を、お大師さまはたった三ヶ月で成し遂げた」となりますが、実際には大師改修以後も地震発生や大雨による決壊がたびたび発生しています。
中でも元暦元年(1184)に起きた決壊から寛永8年(1631)までの約450年間は公式的な改修が行われていません。
様々な人たちが関わって今日の満濃池の姿があります。 水に悩む讃岐の民衆にとって、満濃池の存在と安心感は計り知れません。
【「満濃池」 地図】
【「別格17番札所神野寺」 地図】