【知多四国霊場43番札所岩屋寺→44番札所大宝寺】弘法大師空海も歩んだとされるお遍路古道

愛知県南知多町の知多四国霊場43番札所岩屋寺と44番札所大宝寺の間に、弘法大師空海も歩んだという伝説がのこる遍路古道があります。2023年に地元のお遍路さんの善意で再整備された、自然豊かでお遍路の歴史を感じる良道です。

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地元のお遍路さんの善意で再整備された遍路古道

知多四国霊場のお遍路道は、昔のお遍路さんが歩んでいたとされる古道がいくつかのこっています。その中で、南知多町の山海(やまみ)地区から名切(なきり)地区に抜ける遍路古道は、知多四国霊場43番札所岩屋寺から44番札所大宝寺の区間の一部で、古くは知多半島を巡っていた弘法大師空海がこの道を歩まれたという伝説ものこっている、歴史的にも文化的にも価値のある道です。
※44番札所大宝寺は、独自の御朱印に力を入れておられ、御朱印情報を以下リンクのオーダーメイド納経帳・御朱印帳「千年帳」のサイトでご紹介していますので、ぜひこちらもご覧ください。

【御朱印情報】知多四国霊場44番札所「大宝寺」の期間限定絵柄のアート御朱印

知多四国霊場が開創された江戸時代後期からお遍路さんがこの道を歩くようになり、明治時代に入ってからは峠の頂上にお地蔵様を祀ったり茶屋ができたりと、行き来するお遍路さんのための整備が行われていきました。

しかし、近年は舗装の新しい道ができたことや台風の被害などの影響で、この遍路古道を利用する人が減少し、道は荒れてしまっていました。
この状況を危惧した半田市の遠藤さんが、定年退職した後に、自分の慣れ親しんだ遍路古道を修復するために立ち上がり、2022年10月から2023年3月までの期間、ほとんど一人で遍路古道の草刈りや道標の設置などを整備を行い、そのおかげで再び歩きやすい状態になりました。遠藤さんは、遍路古道の整備を通して、自分の故郷やお大師さまとの縁を感じたそうです。現在も知多四国霊場の先達さんなどと一緒に遍路古道の整備を続けてくださっています。

現在では茶屋はなくなっていますが、お地蔵様が変わらずお遍路道を見守っており、昔のお遍路さんの姿を想像させる風情がのこっています。

43番札所岩屋寺_44番札所大宝寺_遍路古道_三河湾国定公園

三河湾国定公園に指定されている自然環境豊かなエリアにある遍路古道です。

43番札所岩屋寺_44番札所大宝寺_お地蔵様

峠の頂上では明治時代建立のお地蔵様が今なおお遍路さんを見守ってくれています。

 

遍路古道区間の道順詳細

この遍路古道の詳細な道順をご紹介します。

43番札所岩屋寺を出発し、県道470号線を42番札所西方寺がある西方向に戻ります。岩屋寺から約1.2km、歩いて約15分で三叉路(カーブミラーが目印)がありますので、西の道に進みます。

43番札所岩屋寺_44番札所大宝寺_県道470号三叉路

県道470号のこの三叉路を田んぼが広がり正面に山が見える西方向に向かいます。

道をまっすぐ進み、橋を渡って八幡社がある方の道は、現在の知多四国霊場の歩き遍路マップに掲載されている、お遍路さんが一般的によく通る道です。遍路古道は、八幡社手前の橋を渡らずに、川沿いを進みます。

43番札所岩屋寺_44番札所大宝寺_新道と遍路古道の分岐点

八幡社が現在一般的にお遍路さんがよく通る道で、遍路古道方面は橋を渡らずに右に折れます。

43番札所岩屋寺_44番札所大宝寺_新道遍路古道分岐点_マップ

地図で見ると、現在お遍路さんが一般的に通る道と、遍路古道はこのように分岐しています。

川沿いをしばらく進んでいくと、川が分岐しそれにあわせて道も分岐するY字路がありますので、ここを左方向に進みます。

43番札所岩屋寺_44番札所大宝寺_川分岐Y字路

Y字路の分岐点に小屋があり左方向に折れます。

左に折れてからまっすぐ進むと、正面に山チゴ池が見えてきます。池を左に回り込むように進んだところが未舗装の遍路古道の入口で、目印の石柱がたっています。

43番札所岩屋寺_44番札所大宝寺_山チゴ池

山チゴ池の手前を左に回り込むように進むと遍路古道の入口です。

43番札所岩屋寺_44番札所大宝寺_遍路古道入口_石柱

遍路古道の入口には進行方法左側に目印の石柱がたっています。

入口から未舗装自然道の遍路古道が、距離680m、私が歩いたときは14分ほどの道のりで、44番札所大宝寺境内の東側にたどり着きます。峠の頂上までの登り区間が約560mで、そのあと約120m下るという勾配なので、前半は登りに少々苦労するかもしれませんので、無理せず自分のペースで歩まれてください。44番札所大宝寺から逆打ちで逆方向に進んでくると、区間の大部分が下りになるので、楽に気持ち良く歩けると思います。

43番札所岩屋寺_44番札所大宝寺_遍路道標

道中には各所に「遍路道」の目印が設置されているので、迷う心配はありません。

43番札所岩屋寺_44番札所大宝寺_遍路古道区間マップ

地図上で遍路古道区間を示すとこのような感じです。

43番札所岩屋寺_44番札所大宝寺_大宝寺遍路古道出口

遍路古道を抜けると大宝寺境内の東側に出てきます。

43番札所岩屋寺_44番札所大宝寺_大宝寺遍路道入口

大宝寺の境内にも遍路古道を示す看板が設置されています。

43番札所岩屋寺_44番札所大宝寺_大宝寺遍路古道出入口地図

大宝寺と遍路古道の位置関係はこのような感じです。

43番札所岩屋寺_44番札所大宝寺_歩き遍路マップ現行版

知多四国霊場歩き遍路マップの現行版には遍路古道は記載されていませんので、ご注意ください。

43番札所岩屋寺から44番札所大宝寺までの全行程は、距離で約4.5kmメートル、歩いて約1時間の道のりです。そのうち、遍路古道区間は約680mですが、自然や歴史を感じられ、最近整備が完了した良道ですので、ぜひ歩いてみていただきたいです。

だだし、道中に落石の恐れがある場所や谷があったり、日が傾くと薄暗くてもちろん街灯などはありませんので、安全を考慮して、単独行動ではなく2名以上で通行することが推奨されています。また、冬の期間は、例年は積雪はほどんどない地域ではありますが、気温が低下し風が強い日もありますので、防寒対策などにはくれぐれもお気をつけください。

現行版の歩き遍路マップには掲載されていない道で、たくさんの人が通る道ではないので、お遍路初心者さんなど不安がある人は無理せずに現行版のマップに従って進まれる方がよいかもしれません。

 

遠藤さんの厚意で設置されている金剛杖

遍路古道の山海側と大宝寺側のそれぞれの出入口には、金剛杖が設置されていて、どなたでも利用可能です。一般的な金剛杖とは少し違い、硬い材木を使った少し太めでしっかりとしたつくりで、自然道を峠越えするのに使いやすいように配慮されています。これは遍路古道を整備した遠藤さんの厚意で、廃材を再利用してつくられたオリジナルの金剛杖だそうです。この遍路古道を維持管理し、お遍路さんをサポートしようという遠藤さんの想いが伝わってきます。

特に山道歩行に慣れていない人は、足腰の負担軽減や転倒・滑落防止などの安全のために、金剛杖の利用をおすすめします。金剛杖を2本利用し、トレッキングポールのように使うのもよいと思います。

43番札所岩屋寺_44番札所大宝寺_金剛杖

遍路古道のどちら側からスタートしても、行きついた先の出入口で返却すれば大丈夫です。

43番札所岩屋寺_44番札所大宝寺_金剛杖_表記

手作りであることが伝わるありがたい金剛杖です。

 

2023年に再整備されて安全に歩行できるようになった43番札所岩屋寺から44番札所大宝寺の区間にある遍路古道は、自然や歴史を感じることができるとても良い道です。地元の人の好意で、お遍路さんのために整備やサポートを続けてくださっていますので、感謝の気持ちを忘れずに、遍路古道を楽しんでください。

※遠藤さんが主に整備をした知多四国霊場の別のお遍路古道について、以下リンクの記事で紹介していますので、ぜひこちらもご覧ください。

【知多四国霊場48番札所良参寺→49番札所吉祥寺】昔の丁石がのこる史跡お遍路道

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この記事を書いた人

知多半島のお寺が好きで、知多四国霊場を中心にいろいろな霊場を巡礼し、観光やご当地グルメ(特にラーメン)も楽しんでいます。御朱印集めも趣味で、知多半島のお寺の御朱印はもちろん、全国各地の御朱印をもらいに巡り、アート御朱印などは取り寄せたりもしています。