弘法大師空海のご生誕地としてしられる香川県善通寺市には、弘法大師空海の霊跡や古墳などの史跡がたくさんあります。中でも自然の中をハイキングしながら歴史も知ることができるスポットをまとめました。
善通寺市内の歴史ハイキングスポット
弘法大師空海のご生誕地としてしられる香川県善通寺市には、弘法大師空海にまつわる霊跡の他にも古墳などの多くの史跡が残っています。歴史を探りながら豊かな自然や景観も楽しむことができるハイキングルートや散策スポットをまとめました。
霊場巡りにプラスして少し足をのばしてみると新しい発見があります。
香色山の登山&ミニ四国八十八ヶ所霊場巡り
弘法大師空海の幼少期の遊び場(修行の場)である五岳山(ごがくさん)は、香色山、筆ノ山、我拝師山、中山、火上山の5つの山で構成されています。その中で高さが一番低く、75番札所善通寺最も近い山が香色山(こうしきざん)で、頂上まで続く登山道と、山裾を一巡するミニ八十八ヶ所巡りの二つのルートが設けられています。
香色山の山頂には空海の出身家である豪族「佐伯家」の祖霊を祀る石碑があるほか、弥生時代の墓や平安時代末期の経塚なども出土しており、古代より信仰の対象の山であったことがわかります。
往復40分程度で登れる山なので、近隣住民の気軽なハイキングルートとしても人気のようです。また、山裾の約1.6kmを一周するルートもあり、この道はミニ四国八十八ヶ所霊場の参道になっていて、多少の高低差はありますが、手軽に散策や巡拝を楽しむことができます。
香色山の麓には、善通寺の塔頭寺院の一つである五智院があり、堂内にミニ四国八十八ヶ所霊場の一番札所があります。
74番札所甲山寺の甲山
74番札所甲山寺の背後にある甲山(かぶとやま)には、江戸時代につくられたミニ西国三十三ヶ所霊場を巡る登山道があります。甲山は、その名の通り甲山寺建立の由来となった霊山で、この山の岩窟に住む仙人が空海に寺院建立を申し出た伝承があります。
甲山への登山口はいくつかありますが、甲山寺境内からだと毘沙門天が祀られている岩窟横が登山口です。室町時代に天霧城の出城「甲山城」が築かれた山でもあり、その遺構を見ることもできます。87mの低い山なので登山に時間はかかりませんが、道があまり整備されていないので、注意が必要です。
有岡古墳群と大麻山ハイキングルート
古代より集落の形成が見られた善通寺市には、確認されているだけでも大小合わせて400基もの古墳が見つかっています。中でも首長級の墳墓が集まる「有岡古墳群」は、大麻山から善通寺市街地にかけて広がる古墳群で、空海の祖先につながる豪族のものといわれています。貴重な出土品も数多く発掘されており、1984年に国の史跡に指定されました。
古墳群のうち、最も高い場所にあるのが大麻山山頂から少し下がった場所にある野田院(のたのいん)古墳で、中世には野田院という山岳仏教寺院があった場所とも伝わっています。古墳のある場所からは、空海の修行地である五岳山と善通寺市街地を見渡すことができ、近くにはキャンプ場も整備されています。見晴らしのよいキャンプ地としても人気です。
大麻山の北側にある有岡古墳群から、大麻山に登り、山頂から南東方向にも登山道が整備されていて、この道を下っていくと、全国的にも有名な海の神様「こんぴらさん」こと金刀比羅宮(琴平町)までつながります。
江戸時代には善通寺を打ち終えたお遍路さんがこんぴらさんにもお参りすることが多かったですし、現代でもこんぴらさんは香川県の有名観光地でもあるので、善通寺からこんぴらさんに歩いて向かう場合は、古墳を巡り大麻山を越えるコースを選んでみるのもよいと思います。
善通寺市には、古代の集落形成の痕跡や弘法大師空海の霊跡などと、豊かな自然や景観を楽しむことができるハイキングスポットがあります。四国八十八ヶ所霊場巡礼のルートに重なる部分も多いので、善通寺市を知って楽しむ一つの要素として旅のプランに取り入れてみてはいかがでしょうか。