【75番札所善通寺周辺】善通寺の塔頭寺院4ヶ寺

弘法大師空海のご生誕地である75番札所善通寺は、その昔、49もの坊(子院/塔頭寺院)と7つの伽藍を持つ広大な寺院でした。かつての寺領に存在した坊のうち、「観智院」「華蔵院」「玉泉院」「五智院」が現在も善通寺周辺に残っています。

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75番札所善通寺の塔頭寺院(元子院)について

弘法大師空海のご生誕地である75番札所善通寺は、その昔、今よりも広大な敷地を持っており、その敷地内には僧侶が寝泊まりする僧坊や寺務関連施設など49もの坊(子院)が建ち並んでいたと伝わります。
善通寺とそれらの坊は別のものではなく、同じく敷地内にあった七堂伽藍と49坊を併せて「善通寺」という一つの寺院を構成していました。塔頭(たっちゅう)寺院とも呼ばれるそれら子院の中で、現在では4ヶ寺が善通寺周辺に残っています。

東院と西院の間の中門

善通寺東院と西院をつなぐ参道の両脇に、塔頭寺院が2つあります。

 

観智院(かんちいん)

観智院

子安観音と納骨堂の弘法大師像が印象的。

善通寺の東院と西院の間に坊を構える観智院(かんちいん)は、善通寺と同時期の大同2年(807)に弘法大師が創建したと伝わります。鎌倉時代まで「十善坊」と呼ばれ、善通寺塔頭の筆頭として寺務を掌握していたそうです。現在の本堂は大正14年(1925)に再建されたもので、本尊は十一面観世音菩薩像(秘仏)。安産・子育ての守護仏「子安観音」として親しまれています。

善通寺塔頭 屏風浦 五岳山 観智院(びょうぶがうらごがくさん かんちいん)
本尊 十一面観世音菩薩像(子安観音)
住所 香川県善通寺市善通寺町3丁目2-21
電話番号 0877-62-0369

 

華蔵院(けぞういん)

華蔵院

赤い門の奥に毘沙門天を祀る本堂が見える。

観智院の向かい側で、同じく善通寺西院と東院を結ぶ参道沿いにある華蔵院(けぞういん)は、毘沙門天を祀る寺院です。印象的な朱色の門をくぐると、小さいながらもよく整えられた庭園が気持ちを落ち着かせてくれます。

善通寺塔頭 屏風浦 五岳山 華蔵院(びょうぶがうら ごがくさん けぞういん)
本尊 毘沙門天立像
住所 香川県善通寺市善通寺町3丁目4−1
電話番号 0877-62-2533

 

玉泉院(ぎょくせんいん)

玉泉院

金網越しに撮影した「玉の泉」と本堂。

善通寺の南側を東西にはしる通りから、細い路地に入った場所にある玉泉院。弘法大師空海が泉を掘った伝承が残る寺院で、その泉(玉の泉)にちなんで「玉泉院」と名付けられました。本尊は、弘法大師が御水を供え秘密開眼した阿弥陀如来。平安末期には崇徳院の御陵を訪れた西行法師がこの寺に庵を結び、玉の泉にちなんだ歌を残しています。

善通寺塔頭 五岳山 善通寺 玉泉院(ごがくさん ぜんつうじ ぎょくせんいん)
本尊 阿弥陀如来
住所 香川県善通寺市南町3丁目14−21
電話番号 0877-62-0840
WEBサイト https://www.zentujigyokusenin.jp

 

五智院(ごちいん)

五智院

五智院本堂(左)と稲荷社(右)。

五岳山の一つ「香色山(こうしきざん)」の麓に位置し、五智如来が本尊のお寺です。隣には赤い鳥居が目印の正一位稲荷大明神堂があり、神仏習合の歴史を現在にも残しています。背後の香色山は五岳山の中で一番低く、登山道も整備されていて気軽なハイキング(往復40分強)が楽しめます。山すそをぐるりと一周するミニ八十八ヶ所霊場もあります。

善通寺塔頭 香色山 善通寺 五智院(こうしきざん ぜんつうじ ごちいん)
本尊 五智如来
住所 香川県善通寺市善通寺町1050-7
電話番号 0877-62-5028

 

香色山と五智院(稲荷社)

善通寺駐車場西側のこんもりとした小山が香色山で、麓の赤い鳥居(稲荷社)が五智院のある場所です。

 

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善通寺の周辺に点在する塔頭の存在からは、隆盛を誇った善通寺のかつての姿が感じられます。当時の寺領の広さを想像しながら塔頭4ヶ寺を訪ね歩くと、その長く深い歴史の一部を垣間見ることができます。

 

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この記事を書いた人

札幌で生まれ育ち、東京にて都市計画コンサルタントに従事。結婚を機に香川に移住し、地方自治体勤務などを経て現在に至る。お遍路文化を通じた新しい四国の楽しみ方を模索しています。日本酒とワインが好き。