【善覚寺】元禄年間の大師堂を残す神山温泉にゆかり深い番外霊場

徳島県神山町にある神山温泉のすぐ近くに、温泉とも縁のある番外霊場「善覚寺」があります。元禄8年(1695年)に建立された大師堂が残る、山裾の静かなお寺です。

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神山温泉にゆかり深い番外霊場「善覚寺」

12番札所焼山寺が位置する徳島県神山町には、古くより人々を癒してきた「神山温泉」があり、そこから200mほど離れた高台に、番外霊場「善覚寺(ぜんかくじ)」があります。善覚寺の縁起については、お遍路さんのバイブルとも呼ばれる『四国遍路ひとり歩き同行二人(解説編)』に

境内に大師が見出されたという弁天鉱泉がある。寺は明治十三年(1880年)焼失、大師堂は元禄八年(1695年)の建立である。

と記載されているほか、神山温泉の歴史に

(天女が授けたといわれる霊水を用いて)慶応4年(1868年)地域の人達の共同経営で湯屋を開業。近辺の次郎銅山の労働者を中心に賑わったが、銅山の衰退で明治8年頃に廃業。当時の善覚寺の住職が、大正14年に「弁天鉱泉湯」として再開。

などの内容があることから、神山温泉の起源に善覚寺(および弘法大師空海の伝承)が関係していることがわかります。

神山温泉の歴史

神山温泉の前に、歴史の解説看板がありました。

 

神山温泉から徒歩で行ける善覚寺

善覚寺は神山温泉から200mほどの場所にあり、歩いて行ける距離です。温泉から歩いて行く場合は、ビニールハウスや畑の間の道を進むと小高い場所に見えてくる青い屋根が目印です。
※車で行く場合は別のルートになります。

神山温泉から善覚寺

この道の先に見える青っぽい瓦屋根が善覚寺です。

善覚寺から神山温泉

神山温泉方面を振り返った景色です(奥にある建物が神山温泉)。

善覚寺のすぐ前にある小さなお堂に挨拶を済ませ、古い石垣の上に建つ善覚寺へと向かいます。

善覚寺前の段々

神山町に多く残る「手積みの石垣」が歴史を感じさせます。

 

善覚寺山門と杉の大木

善覚寺に近づくと、大きな木が目に入ってきます。この大木は山門脇に立っている杉の木で、門の一部として参拝者を見守っているようでした。

善覚寺山門

善覚寺の山門のすぐ手前に巨大な杉の木が立っています。

善覚寺杉の大木

見上げるとこんな風景に。立派ですね!

 

元禄8年建立の大師堂へ

善覚寺には元禄8年(1695年)に建立されたと伝わる大師堂があるとのことで、さっそく向かってみることにしました(本堂は明治期に焼失しています)。案内看板が見当たらないので、ひとまず道の奥に見える古い階段を登ってみました。

善覚寺階段

歴史が感じられる石階段。勾配がけっこうきついです。

善覚寺石段途中のお地蔵さん

石段途中の脇道には、お墓や石像が並んでいました。

階段の先に見えてくるのは、赤い屋根の古いお堂。おそらくこちらが元禄8年建立の大師堂だと思われます。石段であがった息を落ち着かせて周囲を見てみると、高台から神山町の山々が目に入り、気持ちも晴れてきます。お参りを済ませ、大師堂の静かで落ち着いた佇まいにしばし浸ってから、お堂を後にしました。

善覚寺大師堂

俗世とは別の時間が流れる大師堂。

善覚寺大師堂からの眺め

大師堂に通じる坂道から大粟山が見えます。

 

眺めの良い善覚寺本堂

続いて善覚寺の本堂に向かいます。元の本堂は明治時代に焼失しているので、本堂は比較的新しい建物です。本堂前に小さな祠があるほかは、建物の外からお参りできる場所は見当たりませんでしたが、境内からの眺めはとてもよく、気持ちの良い場所です。枝垂れ桜がありましたので、春には見事な桜が見られるのではないでしょうか。

善覚寺山門

簡素な山門の奥に本堂が見えます。

善覚寺境内の様子

枝垂れ桜の下にあるのは六地蔵と古い石灯籠。奥には神山町のひらけた景色が見えます。

善覚寺山門と杉の大木

善覚寺で一番印象に残ったのは、青い空に映える杉の巨木の姿でした。

 

このほかの12番札所焼山寺周辺・神山町市街地の「見どころ情報」はこちら

 

 

神山温泉にゆかりがある番外霊場「善覚寺」。山裾にひっそりと佇むお寺で、穏やかな気持ちになれるお寺でした。12札所焼山寺と13番札所大日寺の間にあり神山温泉にも近いので、ぜひ立ち寄っていただきたい番外霊場です。

 

【「善覚寺」 地図】

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この記事を書いた人

札幌で生まれ育ち、東京にて都市計画コンサルタントに従事。結婚を機に香川に移住し、地方自治体勤務などを経て現在に至る。お遍路文化を通じた新しい四国の楽しみ方を模索しています。日本酒とワインが好き。