愛媛県松山市南部にある立ち寄り入浴施設「南道後温泉ていれぎの湯」は、お遍路道中に立ち寄るのに便利で、温泉で疲れを癒すのにおすすめです。近くには、弘法大師空海ゆかりの湧き水の地「杖の淵」もあり、水の恵みを感じる地域です。
弘法大師空海の湧き水伝説の地「杖の淵」
愛媛県松山市には四国八十八ヶ所霊場の46番札所浄瑠璃寺から53番札所円明寺の8つの札所があり、札所が最も多くある市町村です。
その中で、南西部にある48番札所西林寺の近くに、弘法大師空海にゆかりのある「杖ノ淵公園(じょうのふちこうえん)」があります。「杖の淵(じょうのふち)」は48番札所西林寺の奥の院で、弘法大師空海が干ばつに見舞われたこの地で錫杖を突き、泉を湧かせたという伝説がのこっています。
杖ノ淵公園の湧き水は近くを流れる重信川の伏流水で、とても水質が良いことから名水百選にも選ばれています。実際に泉を見てみると水の中が見えるほど透明度が高かったです。
美しい湧き水で育つ「ていれぎ」
杖ノ淵公園の泉から小川に続いており、川沿いに進んでいくと、水草がびっしりと生えている場所がありました。
これは「ていれぎ」という清流に自生する水草で、この小川で栽培されているものです。
昔から松山市の特産品で、昭和37年(1962年)に松山市天然記念物に指定され、松山市ゆかりの詩人・正岡子規の詩にもていれぎが登場します。西林寺の前には正岡子規が詠んだ「秋風や高井のていれぎ三津の鯛」の句碑もあります。句に「高井のていれぎ」とあるように、松山市の中でも杖ノ淵公園がある高井の地はていれぎの名産地だったことがうかがえます。
ていれぎの特徴は歯ごたえとさわやかな辛みで、刺身のツマとして利用されるとのこと。私は松山市に10年以上住んでいますが、実際に食べたことはなく、スーパーで売っているのもみたことがないので、現代では一般的には流通しない希少なものになっているのだと思います。
お遍路で疲れた体にしみる温泉
杖ノ淵公園の近くに、ていれぎから名前がつけられた「南道後温泉ていれぎの湯」という立ち寄り入浴施設があります。
松山市の温泉といえば、全国的にも有名で一大観光地にもなっている「道後温泉」がありますが、他にも南道後温泉を含め、市内では複数の温泉が湧いています。
南道後温泉は、お遍路道中においては、久万高原町から三坂峠を下ってきて、松山市市街地に北上していく47番札所八坂寺から48番札所西林寺の途中の立地なので、休憩に立ち寄るのにちょうどよいと思います。
ていれぎの湯の大浴場は、源泉掛け流しの広々とした湯船で足を伸ばして浸かれます。また、強力温泉ジェットの「シェイプアップバス」や両肩を打つ「打たせ湯」もあるので、お遍路の疲れを癒すのにもぴったりでしょう。ボディソープとシャンプーが洗い場に備えつけられているので、お遍路道中で入浴用具を持っていない場合にも便利です。
露天の「露天金泉湯」は、源泉に含まれる「鉄分」の影響で空気に触れると黄金色になるそうです。源泉をそのまま引き上げているため、お湯の温度が日によって違います。私は過去に何度か訪れていますが、基本的にはいつ行ってもぬるめの温度です。熱いのが苦手な人や暑い夏はちょうど良い温度だと思いますが、私が直近で訪れた日は冬の時期でとても気温が低かったので、温泉に浸かっていても少し寒く感じました。
この投稿をInstagramで見る
充実の休憩スペース
施設内には休憩スペースがあり、13台のマッサージチェアが設置されていて無料で利用できます。女性専用スペースも設けられていて、女性ひとりでも安心して利用でき、仮眠が可能だと思います。
お遍路道中で、温泉にじっくりと浸かったあとに、ゆったりと休憩するのにおすすめです。
売店ではお弁当やお土産品、駄菓子を購入できますが、食事処はありません。私が訪れたのは日曜日の13時頃で、お弁当が2つしか残っていませんでしたので、食事の時間帯前後に訪れる場合は、施設に入館する前に食事を済ませるか、休憩スペースで食べることができるものを持参するなどの対応が安心でしょう。
48番札所西林寺近くにある立ち寄り入浴施設「南道後温泉ていれぎの湯」は、お遍路道中の立ち寄りにも便利で、ゆったりと浸かれる温泉や充実の休憩施設で疲れを癒すのにぴったりだと思います。杖の淵は弘法大師空海の湧き水伝説の地ですので、温泉とあわせて、地域の水の恵みの歴史をぜひ感じてみてください。
施設名 | 南道後温泉ていれぎの湯(みなみどうごおんせんていれぎのゆ) |
住所 | 愛媛県松山市中野町853 |
電話 | 089-963-3535 |
営業時間 | 6:00~24:00 ※札止23:00 |
ホームページ | https://teiregi.jp/ |