【ふいご温泉】渓谷美を楽しみながら鉱山の名残を感じるこぢんまりとした日帰り温泉施設

徳島県吉野川市の旧山川町エリアにある「ふいご温泉」は、川田川沿いに立地し、名越峡の渓谷美を楽しみながら入浴できる日帰り温泉施設です。この一帯がかつては鉱山で栄えたことを現代に伝える史跡でもあります。

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吉野川市にある温泉施設「ふいご温泉」

11番札所藤井寺がある徳島県吉野川市は、市名の通り四国有数の大河「吉野川」に面していて、中流域の南部に位置しています。次の札所の12番札所焼山寺は、藤井寺から山をいくつも越えた山中にあるお遍路序盤の難所で、吉野川市で宿泊や休憩をして焼山寺への登山に挑むお遍路さんが多いです。

そんなお遍路さんの疲れを癒してくれる吉野川市内にあるおすすめの温泉施設が「ふいご温泉」です。吉野川市の山川というエリアにあり、藤井寺からは西方向に約15kmの距離があるので、歩きお遍路さんの遍路道からはかなりそれてしまいますが、自家用車のお遍路さんは立ち寄りやすい立地です。

 

四季の移り変わりを感じられる名越峡

ふいご温泉は、吉野川沿いを走るJR徳島線の阿波山川駅から車で5分ほどの山の方に入ったところにあります。吉野川沿岸部は平野部がありますが、車で南に少し走ると山の景色に一変します。
ふいご温泉周辺の地形は、エメラルドグリーンの川田川が流れる「名越峡(なごしきょう)」という渓谷になっていて、春は桜、秋は紅葉と四季の移り変わりを感じることができ、川の流れとのコントラストが美しい場所です。

ふいご温泉_四国山地

吉野川から一歩離れると四国山地が目の前で、12番札所焼山寺は山中にある難所です。

ふいご温泉_名越峡

ふいご温泉周辺の渓谷散策もおすすめです。

 

かつては銅山で栄えた旧山川町

現在では、のどかな山あいに佇むふいご温泉ですが、昔は周辺一帯(旧山川町)が「高越鉱山(こうつこうざん)」という銅山で、銅や硫化鉄の産出で栄えていました。徳島県最大の銅山だったようで、昔は多くの人が住んでいた旧山川町ですが、銅山の衰退・閉山により、一気に人口が減少してしまいました。
現在の街の様子からは銅山があったことをうかがい知ることは難しいですが、「ふいご温泉」という名前は、金属の加工や精錬などで高温が必要となる場合に、燃焼を促進する目的で使われる送風機「ふいご」から付けられていて、この地域に鉱山があったことを伝える役割も果たしています。

ふいご温泉_高越鉱山跡

鉱山の名残を感じる設備もみかけました。

 

鉱山から湧き出る冷泉を沸かす温泉

ふいご温泉は、鉱山から湧き出る鉱物を含んだ冷泉を沸かす温泉で、トロトロの泉質が特徴です。私が訪れたときには、湯の花らしきもの少し浮かんでいました。
浴室には内風呂とサウナがあり、内風呂からは川田川の美しい渓谷の景色を楽しむことができます。内風呂といいつつも、大きな一枚窓で開けていて、露天風呂のごとく、外の渓谷の景色が目の前で一体になれるような感覚がありました。浴室にはリクライニングチェアも設置されていたので、火照った体をクールダウンしながら、渓谷鑑賞も可能でした。サウナもほどよい温度で入りやすかったです。

ふいご温泉_施設図

浴室は男女ともに渓谷の景色を存分に楽しめるような設計・配置になっています。

日帰り入浴時間は、6:00~8:30、10:00~22:30で営業時間が長いので、スケジュール都合にあわせて立ち寄りやすいのがうれしいところです。入浴料も大人600円、子ども(中学生まで)300円と銭湯なみの庶民的価格で、ローカル感を存分に感じられる親しみやすい施設です。
宿泊も可能で、地域の旬の食材を使った郷土料理をいただくこともできます。部屋数は少ないので、宿泊の際もゆったり温泉を楽しむことができると思いますし、日帰り入浴のお客さんと宿泊のお客さんのバッティングで混み合うことも気にしなくてよさそうです。

ふいご温泉_浴室入口

こぢんまりした施設なので、ゆったりと温泉を楽しめると思います。

 

吉野川市の「ふいご温泉」は、かつてこの地域に鉱山があったことを現代に伝える温泉で、渓谷の景色を楽しみながらゆったりリラックスできる日帰り入浴施設でした。お遍路道中でも温泉で体力を回復してから、難所の山中にチャレンジしていくことがおすすめです。

 

施設名 ふいご温泉(ふいごおんせん)
住所 徳島県吉野川市山川町久宗31-1
電話 0883-42-4700
営業時間 6:00~8:30 10:00~22:30
不定休
ホームページ https://fuigo-onsen.com/

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この記事を書いた人

人気テレビ番組「水曜どうでしょう」に憧れて東京から四国へ移住。主に四国の観光に関する記事を多数執筆しているライター。最近では、四国に長く住んでいる人よりも四国を知っている移住者と言われることも。