【72番札所曼荼羅寺】四国八十八ヶ所霊場最古の札所にあった松の大木「笠松」

72番札所曼荼羅寺は、四国八十八ヶ所霊場の中で最も古い推古4年(596)創建と伝わる札所です。かつて「笠松」と呼ばれた名物の松の大木があり、巡礼者たちに親しまれていました。

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笠松大師

松の木の幹に彫られたお大師さまの秘密

 

在りし日の笠松

在りし日の笠松

堂宇よりも目立っていた在りし日の笠松

冒頭から過去形で始まりましたが、ご覧の通り「笠松」は現存しません。平成13年秋から木が弱り始め、平成14年春に枯れてしまいました。
高さは4mですが、大きさは南北17m・東西18mにも達する大木。お遍路さんがかぶる菅笠を二つ重ねたような形状だったことから、そのように呼ばれていました。

 

 

不老松 石碑

不老松と呼ばれていたけれど、寿命がきたようです

かつて笠松があった場所には在りし日の写真と共に、そのことが紹介されています。

四国八十八ヶ所の道中では、6番札所安楽寺境内の「さかまつ」、柏坂の「接待松」やいざり松延命寺(番外、別格12番札所)の「誓松」など、松の大木にまつわる話がしばしば登場しますが、ここ72番札所曼荼羅寺の「不老松(おいずのまつ、ふろうまつ)」と同様、現存しないものが多い。それは台風の大風で倒れたり、害虫の影響を受けたり。
一般的に「大きな木」といえば、クスノキ(楠)やスギ(杉)を想像することができますが、松はそれらと違って寿命がそこまで長くありません。また松の木自体が多種類の昆虫に隠れ場やエサを提供している反面、松に病気をもたらす害虫も多く存在します。世の中に松の古木があまり存在しないのは、そのためかと思われます。

笠松大師 別の植物

笠●復活プロジェクト?でしょうか

笠松があった場所には現在、松ではないものの別の木が植えられています。枝を支える骨組みの形状から将来的には「笠型」の木がここに誕生するのかな、と思ってみたり。

 

笠松から彫られたお大師さま

笠松大師 解説

大師に生まれ変わった笠松

平成14年(2002)の春に枯死してしまった笠松は、その幹を用いて大師像が刻まれ「笠松大師」として生まれ変わりました。
第72番曼荼羅寺へお越しの際は、ぜひ手を合わせて当山のお大師さまとご縁を結ばれるようお参り下さい。

 

【72番札所】  我拝師山 延命院 曼荼羅寺(がはいしざん えんめいいん まんだらじ)
宗派: 真言宗善通寺派
本尊: 大日如来
真言: おん あびらうんけん ばざらだどばん
開基: 弘法大師
住所: 香川県善通寺市吉原町1380-1
電話: 0877-63-0072

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この記事を書いた人

四国遍路案内人・先達。四国八十八ヶ所結願50回、うち歩き遍路15回。四国六番安楽寺出家得度。四国八十八ヶ所霊場会公認先達。 高松市一宮町で「だんらん旅人宿そらうみ(http://www.sanuki-soraumi.jp/)」を運営。