【81番札所白峯寺】レイライン的な観点から見た札所の構造

81番札所白峯寺は、五色台の南西にある白峯山直下に位置しており、かつて修験道場の拠点であったと考えられます。崇徳上皇を祀った白峯御陵が一体となった広い境内は、レイラインを強く意識した配置になっています。

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レイライン的な観点から見た札所の構造

四国八十八ヶ所の札所は、由来書はもとより、様々なガイドブックや寄稿文などで、その歴史が紹介されています。そんなこともあって、すでに語り尽くされているような印象がありますが、個々の札所をその構造から分析するレイラインハンティングの観点で見直してみると、今まで語られてこなかった札所の歴史や、個々の札所に込められた古の人の思いが明らかになってきます。
今回は、五色台エリアの札所のうち、81番札所白峯寺についてご紹介します。

79番から82番 地図

丸亀平野ののどかな遍路道から一転、きつい傾斜の五色台を登り、山岳霊場に入っていく、79番から82番への遍路道。

 

81番札所白峯寺(しろみねじ)

<由緒>

四国八十八ヶ所81番札所白峯寺
真言宗御室派  綾松山洞林院
本尊:千手観世音菩薩

弘仁6年(815)、空海がこの地に訪れ、白峰山頂に如意宝珠を埋め、閼伽井を掘って創建したとされる。さらに、円珍が貞観2年(860)、千手観世音菩薩を刻んで安置し、これが本尊となった。境内西の頓証寺殿は、崇徳上皇の霊を祀った社で、後にさらにその背後に白峯御陵が造営された。

 

五色台南西の崇徳上皇縁の場所

五色台はそもそも陰陽道の陰陽五行に基づく命名で、古くから修験の道場でもありました。

白峯寺はその南西にある白峯山直下に位置しています。そもそもの成り立ちは、五色山を修行場とする修験者の拠点の一つであっただろう考えられます。
現在は、白峯寺と崇徳上皇ゆかりの頓証寺殿、崇徳上皇を祀った白峯御陵が一体となって広い境内を形成しています。79番札所天皇寺の項で触れたように、白峯御陵は冬至の入日の方向を指し、その先に天皇寺が位置しています。
※79番札所天皇寺との関連は、以下リンクの記事でご紹介しています。

【香川県五色台エリア】レイライン的な観点から見た札所の構造-79番札所天皇寺

 

白峯寺 山門

白峯寺の山門。

頓証寺殿 山門

夏至の入日を背負う形で配置された頓証寺殿へと向かう山門。

崇徳天皇陵 山門

白峯御陵は冬至の入日に正対する構造となっている。この先には、天皇寺、金山が位置している。

頓証寺殿 相模坊

讃岐に配流された崇徳上皇に最後まで付き従ったと伝えられる相模坊。相模坊は相模国大山の天狗だが、大山を御神体山とする相模の寒川神社の氏子たちが移住してきたという話も伝わっている。

 

白峯寺から根香寺へ向かう遍路道

白峯寺から次の根香寺への遍路道は、深い樹林の中を行く昔ながらの道で、香川県内の遍路道ではもっとも往時の雰囲気を残すルートとなっています。ただ、それだけに、荒天時には足元が不安定で、歩行には注意を要します。途中、五色山東方の青峰には、遍路小屋が設けられていて、荒天時の避難所としての機能も果たしています。

白峯寺根香寺間遍路道

白峯寺から根香寺への遍路道。昔日と変わらぬ風情があるが、荒天時は滑りやすく、注意が必要。

白峯寺根香寺間遍路道 道標

遍路道の途中にある手製の道標。日本語、英語、中国語、ハングルの表示があって、海外からのお遍路にも好評。

このルートを辿る遍路道ウォークに参加した高松市在住のグループは、「歩き遍路の雰囲気を楽しみながら、白峯寺と根香寺、さらに崇徳上皇にまつわる歴史を学べて、一日楽しく過ごせた」と満足げに語ってくれました。

 

【「81番札所白峯寺」「崇徳天皇陵」  地図】

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この記事を書いた人

聖地と呼ばれる場所に秘められた意味と意図を探求する聖地研究家。アウトドア、モータースポーツのライターでもあり、ディープなフィールドワークとデジタル機器を活用した調査を真骨頂とする。自治体の観光資源として聖地を活用する 「聖地観光研究所--レイラインプロジェクト(http://www.ley-line.net/)」を主催する。