【30番札所善楽寺→31番札所竹林寺】謝りながら走る路面電車を横目に歩道橋を渡った先は「植物園」

高知市街地歩行は、市街地らしからぬツッコミどころ満載の奇妙な遍路道。謝りながら走る「路面電車」がいたかと思えば、「歩道橋」が遍路道になっていて、いつの間にか「植物園」に突入しました。

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謝りながら走る「路面電車」

30番札所「善楽寺」を出発すると、高知市の中心部に入っていきます。
四国各県の県庁所在地は遍路道の中では屈指の大都会…というか、それ以外の場所がかなりの田舎なだけなのですが、四国のいろいろな地域を体感できるのは歩き遍路の醍醐味ですね。

市街地歩行は、ある程度街の様子が想定できているということもあって、田舎道に比べると変化に乏しいのが通例なのですが、高知市街地の遍路道は良い意味で期待を裏切ってくれて、ツッコミどころ満載でした。

まずは「路面電車」です。
高知市の路面電車は明治37年(1904年)に開業し、「とさでん交通株式会社」が運営しています。
四国では愛媛県松山市と2カ所で路面電車が走っています。
地元では「土電(とでん)」とよばれているそうで、「都電」に対抗しているのかどうか、私はわかりません。

路面電車の走る様子は、街の歴史を感じ風情があってとてもよいのですが、これだけではたいして珍しくもなく、ツッコミには値しないのですが、以下の写真を見ると「えっ」ってなるはずです。

とさでん ごめん・なはり線 ごめん行き車両

「ごめん」って??謝りながら路面電車が走っています…

実はこの路面電車は「後免町(ごめんまち)駅」に向かっているのです。
この「後免町」ですが、28番札所大日寺から29番札所国分寺に向かう途中で近くを通過する南国市の中心地であり、「後免町駅」の隣の「後免駅」は高知県内で「高知駅」に次ぐ乗降客数とのことで、侮れません。
※「大日寺」から「国分寺」の遍路道の様子はぜひ以下記事もご覧ください。

【28番札所大日寺→29番札所国分寺】おもしろ「道標」と宿泊可能な「松本大師堂」のある田園地帯を歩く

そして、土佐くろしお鉄道には「後免駅」と「後免町駅」があり、JRは「後免駅」、とさでんは「後免町駅」…ややこしすぎてうまく説明できないので、以下の地図で位置関係をご覧になってみてください。

さらにややこしいのは「後免町駅」の愛称は「ありがとう駅」なんです。
「後免駅」の隣だからと、当サイトの過去の記事でもたびたび登場する巨匠「やなせたかし」先生が命名したそうです。
でもそうなると、とさでんの「後免町駅」行きは「ありがとう駅」行きになるわけで、前出の路面電車は謝るのではなく、お礼をしながら走らなければなりません。
こんなに複雑に考えているのは私だけでしょうか??
地元の方達なら正確に区別ができているんでしょうか???

ここまで理解を深めるのにかなりの時間を要したので、この記事を読んでくださっている皆さまも、一度では意味不明かもしれません。
お時間ある方は、何度か読み返したり、「後免駅」「後免町駅」「ありがとう駅」あたりのワードでググってみてください。

 

「歩道橋」が公式遍路道?

路面電車ネタで力が入ってしまいましたが、路面電車が通る「土佐中街道」を渡ってほどなくすると、大きな国道「南国バイパス」が見えてきます。
31番札所竹林寺方面にはこの国道を横断するのですが、歩行者用信号と横断歩道がどこにも見当たりません。
そこで目に入るのが「歩道橋」です。
この歩道橋にばっちり遍路道標シールが貼り付けてあり、歩道橋が公式の遍路道になっているようです。
私が通った遍路道で歩道橋しか通行手段がなかった道は、あとにもさきにもここだけでした。
このことをツイートすると、遍路経験者の皆さまから「こんなところもあったなぁ」と回想するような反応を複数いただいたので、それなりに印象に残るポイントのようです。
ということで、写真と地図でご紹介しておきます。

南国バイパス 高須新町四丁目交差点 歩道橋

歩道橋にばっちり道標シールがあります。国道はかなりの交通量なので、階段の登り下りがしんどくても、必ず歩道橋を渡りましょう。

※地図中央の「高須新町四丁目」交差点に歩道橋がかかっています。

 

山を登った先は「植物園」

「歩道橋」を渡って、さらに川を渡ると、市街地歩行から突然の山登り開始です。
31番札所竹林寺は五台山の上にあるのですが、この山を登っていくと、何やら景色に違和感を感じます。
建物や駐車場のある区画に山の裏からこっそり侵入しているような道のりになるのですが、実はここは「牧野植物園」の敷地内なのです。
高知県出身の「日本の植物分類学の父」とよばれる牧野富太郎博士(詳しくはWikiでどうぞ)の業績を顕彰するために設立されたそうで、様々な植物が植わっています。
と、そんなことよりも、私が歩いたのは早朝だったため、植物園は当然営業時間外で、入ってはいけないところに入ってしまったとかなりビビりながら歩いていきました。
せっかく登った山を引き返すわけにもいかないので、早足でどんどん進んで正門らしき場所にたどり着くと、以下写真のお遍路さん用の通用口をつくってくださっていて、そこから脱出。
実は、お遍路さんは営業時間外でも通行してもよいことになっている、れっきとした遍路道なのです。

牧野植物園 遍路道出口

このドアも鍵を閉められてはいないか、かなり不安になりながら近寄りました。

牧野植物園

出口から出てから、通過してきた「植物園」を撮影。通過を認められているのであれば、もっと落ち着いてゆっくり歩けばよかったと後悔。

このように、市街地歩行でありながら、遍路道の中でも珍しいイベントがたくさんある善楽寺から竹林寺への道のり。
牧野植物園から無事脱出すれば、そこは31番札所竹林寺の山門です。

 

ちなみに参考情報として、私は高知市内の宿泊は「サウスブリーズホテル」に宿泊しました。
このホテルを選んだ理由は、とにかく宿泊料金がリーズナブルで、時期によって価格は変動するとは思いますが、私が宿泊したプランは素泊まりで3000円(税抜)を下回っていました。
それでいて大浴場もありますし、ビジネスホテルとしては何の不自由もない快適施設で、場所が高知市街地の東の方で遍路道から大きく外れない立地なので、便利に活用させていただきました。
施設詳細のリンクをはっておきますので、ご参照ください。

 

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この記事を書いた人

お遍路さん初心者です。  2015年1月20日(火)に1番札所を出発し、2015年3月1日(日)に41日間で88番札所で通し歩き結願を果たすことができました。 2015年4月12・13日の2日間で、開創1200年で盛り上がる高野山にお礼参りにも行ってきました。 自身の通し歩き遍路体験を元にお役立ち情報を発信しています。