【土佐山田駅】アンパンマンが随所に登場する鉄道駅

数多くの漫画家を輩出している高知県ですが、子ども向けアニメにおいて絶大な人気を誇る「アンパンマン」の作者・やなせたかし先生も高知県出身です。高知県香美市の土佐山田駅にはアンパンマンのキャラクターが随所に散りばめらています。

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土佐山田駅_駅名標_アンパンマン

アンパンマンの作者・やなせたかし先生ゆかりの地への玄関口になるのが、こちらの「土佐山田駅」です。

 

アンパンマン観光の玄関口「土佐山田駅」

土佐山田駅_外観

一見するとコンビニに見える土佐山田駅は、入口どこだろう?と探してしまうほどで、黄色の点字ブロックをたどっていくと駅舎内に入ることができます。

旧・香美郡土佐山田町(とさやまだちょう)は、平成18年(2006)3月に同郡香北町(かほくちょう)、物部村(ものべそん)と対等合併し香美市(かみし)になりました。同市を代表する駅がJR土讃線の土佐山田駅です。
駅舎内各所にアンパンマンが登場する同駅ですが、アンパンマン作者の漫画家・やなせたかし先生が高知県出身であり、土佐山田駅から高知市方向に少し行った後免(ごめん)や、バスで東へ約10km行った先にある旧・香北町などがゆかりの地として有名です。旧香北町には「やなせたかし記念館アンパンマンミュージアム」があり、土佐山田駅から路線バスで行くことができます。

当地、土佐山田出身の有名人といえば、はらたいらさんがいらっしゃいます。同氏の肩書は漫画家で、高知県は漫画家王国としても知られています。高知市にはまんが王国高知を紹介・情報発信する「高知まんがBASE」という施設があります。

高知まんがBASE: https://kochi-mangabase.jp/

土佐山田駅_路線図

土佐山田駅の路線図を見ると、高知都市圏の東端といえる場所であることがわかります。

土佐山田を含む香美市には四国八十八ヶ所の札所は存在しません。歩き遍路道で28番札所大日寺から29番札所国分寺に向かう際に香美市に入りますが、市街地である土佐山田駅周辺へ来ることはなく市域の端を通る程度で、お遍路さんは馴染みが少ない街かもしれません。

列車で高知方面に数駅行った後免駅からは土佐くろしお鉄道ごめんなはり線が分岐していて、そちらの沿線には27番札所神峯寺(唐浜駅)や28番札所大日寺(野市駅)があります。

土佐山田駅_ホーム

高知方面から土佐山田駅止まりの列車がホームに到着しました。

駅の入口から順々に紹介していこうと思っていたのですが、踏切が鳴る音がしたので先にプラットホームに出ました。時刻表には書いていないのに?と思っていたら土佐山田駅止まりの各駅停車の到着でした。時刻表は発車時刻表ですもんね。納得。

土佐山田駅_改札

時刻表の左が高知方面(下り)、右が岡山・高松方面(上り)で、特急停車駅ですが有人対応は限られた時間帯になります。

左と比べて右の列車が少ないことが一目瞭然ですが、それでも1時間に1本程度はあるんですね、とは思うことなかれ。それらの多くは特急列車(赤字)で、各駅停車(黒字)は僅か4本。次のターミナル駅である阿波池田駅まで距離約67kmあって駅がいくつもありますが、その中で特急列車が停車するのはかずら橋観光の拠点になる大歩危駅と、大杉観光の拠点になる大杉駅くらいです。区間中多くの駅で乗降のチャンスは4往復程度ということになります。

アンパンマン観光で土佐山田駅へ鉄道利用でアクセスするのに良い点は、岡山-高知の特急列車はおおむね1時間に1往復設定されていて、土佐山田駅には全特急列車が停車します。岡山駅から高知への特急発車時刻は新幹線との乗り換えが考慮されているので、スムーズな乗り換えが可能です。
両都市を結ぶ公共交通機関に高速バス路線もありますが、それは高知市に直行してしまうのでアンパンマンミュージアムに行こうとすれば、高知駅でバスを降車して鉄道に乗り換えて土佐山田駅へ少し戻るような形になります。
その点鉄道であれば岡山駅から土佐山田駅へ乗り換え不要で、最速最短で訪れることが可能です。さらにその特急列車がアンパンマンラッピングの列車であれば言うことなしですね。アンパンマン列車は運用予定が公開されているので、そちらを参考に旅の計画を立てると良いです。

アンパンマン列車: https://www.jr-eki.com/aptrain/index.html

 

土佐山田駅のロケーション

土佐山田駅_1番線ホーム景色

駅舎がある1番線から高知方面を眺めると、この日は雨上がりで五月とは思えない青が濃いきれいな空が印象的でした。

1番線は高知方面の下り列車、2番線は岡山・高松方面の上り列車です。3番線は土佐山田駅止まりの各駅停車のような形で運用されています。

土佐山田駅_跨線橋

駅舎がある1番線から岡山・高松方面を眺めると、1番線と2・3番線を行き来する跨線橋があります。

土佐山田駅は大正14年(1925)12月に高知-土佐山田の延伸により開業しました。ここから先は山岳路線になるため建設に時間を要して、全通を果たしたのは昭和10年(1935)11月のことです。それは高知県の鉄道が初めて県外の路線と繋がった瞬間でもありました。

跨線橋は駅開業に合わせて建設されたものと思われます。だとすると今年で100年経過していることになります。建造年度を示すものがないか跨線橋の周りをチェックしてみましたが、それらしい銘板などは見つけることができませんでした。

土讃線で古い跨線橋といえば、まず一番に善通寺駅のものがあげられ、次に琴平駅です。古い跨線橋を今も大切に使用している駅が多いのが、土讃線の特徴です。
※善通寺駅に関しては、以下リンクの記事でご紹介していますので、こちらもぜひご覧ください。

【香川県善通寺市】明治由来の古い構造を持つ善通寺駅[前編]

【香川県善通寺市】明治由来の古い構造を持つ善通寺駅[後編]

土佐山田駅_跨線橋_内部

土佐山田駅の跨線橋は100年選手とはいえ入念な再塗装等が施されているため、古さをあまり感じさせません。

こちらの跨線橋の大きな特徴は、左右両側にアンパンマンのキャラクターが描かれている点で、アンパンマンが駅を盛り上げます。

列車を下りてアンパンマンの跨線橋を通って、アンパンマンミュージアム行きのバスに乗る。

とても良いストーリーではあるのですが、残念ながら高知県外からの列車で到着した場合は1番線に列車が入線するので、跨線橋を渡ることはありません。それはそれで便利ではありますが、少し残念です。

 

特急南風の行き違い風景

土佐山田駅_特別急行列車・南風

特別急行列車・南風(なんぷう)は、岡山から高知を結ぶ特急列車です。

特急列車が土佐山田駅に入線してきました。実は跨線橋に登って列車が姿を現すところから撮りたかったのですが、踏切が鳴り始めるとほどなくして地上からでも姿が見えてしまいました。さすが特急、思ったよりも早かった。無理せず1番線で撮らせてもらってから跨線橋に上がりました。

土佐山田駅_特急列車交換風景

土佐山田駅に先に到着した下り特急列車と、高知方面からやってきた上り特急列車の交換風景です。

冒頭で土佐山田駅がある香美市には四国八十八ヶ所の札所が存在しないので、お遍路さんにとってはあまり馴染みがないかもしれません。
と申し上げましたが、こちらの特急南風は歩き遍路をしていると何かしら接点があるのではないでしょうか。修行の道場と呼ばれる高知県は広いので、歩き遍路だと何度かに区切るという人が比較的多いと思いますが、都市圏にお住まいの人が新幹線と在来線利用で高知県との行き来をするには、こちらの特急南風利用が便利です。
またここから2駅先にある土佐長岡駅付近を歩き遍路では通るのですが、その際にこちらの特急南風が高速で駆け抜けて行く姿を目にした、という人もいらっしゃると思います。

土佐山田駅_特急列車・南風_岡山方面

先に駅を出て行ったのは上り列車の岡山行きで、線路の先を見てわかるように、土讃線はここから急勾配の山岳路線に入って行きます。

海抜44mの土佐山田駅に対して、岡山方面の隣の新改(しんがい)駅は海抜274mで、距離が7.4kmあるので、平均するとこの区間は距離1kmで高度を約30m上げながら列車が進んで行くことになります。
これは列車にとってはかなりの急勾配で、写真のような高出力エンジンを積んだ車両であれば、この坂をものともせずグイグイ上昇していきますが、旧型の車両だと雨降りや落ち葉が多い季節には坂を登れない列車も出てきます。
一日に運転される各駅停車が4往復程度と、土佐山田駅から阿波池田駅間は全国屈指の閑散区間です。各駅停車の運転本数が少ないのは沿線人口の少なさや乗降数が最大の理由でしょうが、各駅停車を増便するためにはこの坂を難なく登ることができる車両を必ず配置しないといけません。そのような車両を配備するコスト増と車両やりくりの制約が発生する事情もありそうです。

土佐山田駅_特急列車・南風_高知方面

後発の下り列車の高知行きが出発しましたが、残念ながら今回はどちらの特急車両ともアンパンマンラッピングの車両ではありませんでした。

土佐山田駅を高知方面に発車した列車の次の停車駅は後免駅です。珍名駅として必ず名前が挙がる同駅ですが、そちらはやなせたかし先生が少年時代に過ごした街になります。

土佐山田駅のキャッチコピーは「龍河洞とアンパンマンの駅」です。日本三大鍾乳洞の一つにも数えられる龍河洞(りゅうがどう)へも、土佐山田駅から路線バスでアクセスすることができます。

※土佐山田駅に関して、以下リンクの記事に続きます。

【土佐山田駅】アンパンマン列車からアンパンマンバスへの乗り換え

 

【「土佐山田駅」 地図】

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この記事を書いた人

四国遍路案内人・先達。四国八十八ヶ所結願50回、うち歩き遍路15回。四国六番安楽寺出家得度。四国八十八ヶ所霊場会公認先達。 高松市一宮町で「だんらん旅人宿そらうみ(http://www.sanuki-soraumi.jp/)」を運営。