21番札所太龍寺への登山道は、3番目の「遍路ころがし」といわれる難所です。道のりの大部分が川沿いの風景が美しく、気持ちよく楽しめる道ですが、お寺直前で急坂の試練が待ち受けていますので、油断なきように。
2番目の「遍路ころがし」直後に3番目に挑む
歩き遍路道の中には「遍路ころがし」といわれる山寺への難所がいくつかあります。その中でも、特に阿波の3大難所を「一に焼山、二にお鶴、三に太龍」と表現することがあり、歩き遍路さんがたいへん苦労する道のりです。
21番札所太龍寺への遍路ころがしは、三番目にあたります。しかも、20番札所鶴林寺への遍路ころがしを乗り越えた直後の再度の急坂登りになりますので、鶴林寺と太龍寺はセットの難所ととらえておいた方がよいでしょう。
※1番目、2番目の遍路ころがしの様子は、ぜひ以下記事をご覧ください。
【12番札所焼山寺への遍路ころがし】お大師さまのお出迎えが感動的な「浄蓮庵」からの下り登りが勝負
【20番札所鶴林寺への遍路ころがし】二番目の「遍路ころがし」裏道編
鶴林寺は標高500mほどの山頂にありますが、太龍寺は川を挟んですぐ隣の山頂で、標高はほぼ同じの500m程度。お寺間は歩行距離にすると7km弱なのですが、標高500mから一回0mの川まで下って、再度500mまで登らなければいけないという試練の道のり。山同士で高いところでつながっておいてくれればと何度思ったことか。
ということで、「太龍寺への遍路ころがし」は、鶴林寺からの下りからスタートするのです。
「那賀川」は徳島随一の大河
鶴林寺の山をなんとか下り終えると、そこは一級河川である那賀川が流れ、絶景を楽しめます。
この那賀川、実は徳島県内での長さは県内一番なのです。
10番札所切幡寺と11番札所藤井寺の間で渡った「吉野川」が有名な川ではありますが、吉野川は高知県内にも流域があり、徳島県内の長さは109km。
それに対して、那賀川の徳島県内の長さは125kmで一番なんだそうです。
那賀川はそもそも徳島県内に源流があり、徳島県内にしか流れていないので、徳島が誇るべき川は那賀川なのかもしれませんね。
ちなみに、「最も良好な水質」として清流四国一(四国地方整備局2006年河川水質調査)にも選ばれているそうです。こんな知識もあると、川がより美しく見えるかもしれません。
川沿いの整備のいきとどいた良道
水井橋で那賀川を渡ると、そこからは支流の若杉谷川沿いに登山道方向に山に入っていきます。この川沿いの道が、整備がいきとどいていて、とても気持ちの良い道です。
川沿いを約2.5km進み、ここは勾配もほとんどないので、すいすい進めるのですが、もちろん登山が待っています。しかも、ここまで登りがなく進んできてしまうばっかりに、登山口から距離2km弱で、標高500mを一気に登る急坂の試練です。
そして、最大の試練というか、おしおきにすら感じたのが、お寺直前の舗装路です。
未舗装路を抜け、やっとお寺に到着したと思ったら、壁のように見える急坂舗装路…ここはさすがになかなか足が前にでませんでした。
ここを登りきると、やっとのことで太龍寺がお迎えしてくれて、「一に焼山、二にお鶴、三に太龍」の阿波の三大難所遍路ころがしの制覇です。
このあと21番札所太龍寺を存分に楽しみたいところですが、山は登れば下りがある。
いくつか登り下りを経験してきたのでかなり慣れてきていると思いますが、太龍寺からの下りも当然のことながら急坂なので、気を抜かないように山をくだりきりましょう。