【桂浜公園】昔からの月見の名所の景勝地で新しい観光施設が登場している注目スポット

高知県高知市にある「桂浜公園」は、月見の名所として昔から有名な景勝地で、土佐の英雄「坂本龍馬」ゆかりの地としても知られています。日本の歴史公園100選にも選出され、近年は多様な観光施設も開発されています。

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月見の名所で坂本龍馬ゆかりの「桂浜公園」

高知県高知市南部の太平洋に面する海岸の浦戸に位置する「桂浜公園(かつらはまこうえん)」は、龍頭岬と龍王岬の間に弓状に広がる桂浜と、その背後に広がる丘陵で構成される風致公園です。
桂浜は、 土佐高知の代表的な民謡「よさこい節」に「月の名所は桂浜」と歌われているように、 いにしえより月見の名所として広く知られた景勝地です。また、土佐出身の偉人「坂本龍馬」が幼少期にしばしば遊び、愛した場所としても知られ、昭和3年(1928年)に高知県の青年有志の募金活動により龍頭岬に建立された坂本龍馬像は、全国の龍馬ファンが訪れる特別な場所になっています。

桂浜公園_桂浜

桂浜は、南国高知を象徴するような美しい砂浜と太平洋の荒波が特徴です。

桂浜北部に広がる丘陵には、戦国時代に本山氏によって山城の原型が築かれ、その後の安土桃山時代の天正19年(1591年)に長宗我部元親(ちょうそかべもとちか)により大改修され、浜を望む高台に三重の天守を擁する本丸を設け、二の丸、三の丸、出丸を構えた大規模な城郭が築かれ、それが「浦戸城(うらどじょう)」です。
以後、子の長宗我部盛親(ちょうそかべもりちか)が関ヶ原の合戦で敗れ、領地を召し上げとなると、浦戸城は徳川家康の命によって井伊直政が受け取ることになり、直政は慶長5年(1600年)の11月19日、家臣の鈴木平兵衛、松井武太夫を浦戸へ差し向けました。しかし、城には長宗我部の家臣およそ1,000人がたてこもり、鈴木・松井らに銃撃を加え、明け渡しを拒みました。旧主盛親の説得にも応じず籠城を続け、近隣の諸藩を動員して討伐が行われようとした際に、盛親の家老の桑名弥次兵衛・宿毛甚左衛門らが城内の旧臣たちを欺いて浦戸城を奪取します。旧臣273人を打ち取り追手門にその首をさらしました。この騒動を 「浦戸一揆」 といいます。
慶長6年(1601年)の正月に山内一豊(やまうちかずとよ)が浦戸城へ入城、同年8月に一豊は高知城の築城に着手し、浦戸から高知城へ移り、浦戸城は廃城となりました。
その後、長宗我部盛親は蟄居(ちっきょ。謹慎し監視されている状態)しながらも、関ヶ原の戦いから14年後の慶長19年(1614年)に大阪冬の陣が勃発すると、大阪方に加勢するために、この桂浜の浦戸からひそかに出港したといわれています。
その行動は山内サイドにもちろん監視され筒抜けでしたが、結果的に出港しているところを見ると、山内サイドの配慮がうかがわれます。大坂城に集結した牢人衆の中では最大の戦力になる約1,000人を率いた盛親は、真田信繁(幸村)、後藤又兵衛基次、毛利勝永、明石全登とともに、いわゆる「大阪五人衆」に数えられる主力部隊となりました。

 

観光施設の開発が進む注目エリア

かつて天守が築かれた高台には、現在は国民宿舎桂浜荘や坂本龍馬記念館が建っています。この一帯が公園化されたのは第2次大戦後の昭和26年(1951年)で、特に高度成長期の昭和46年(1971年)に都市計画決定されて以降は、高知県高知市を代表する観光地として施設整備が進められ、平成18年(2006年)には日本の歴史公園100選に選ばれました。
※日本の歴史公園100選については、以下リンクの徳島中央公園の記事で詳しく紹介していますので、ぜひこちらもご覧ください。

【徳島中央公園】徳島城跡に整備された地元住民の憩いの場であり観光名所

平成27年(2015年)には、管理運営主体の高知市により「桂浜公園整備基本構想」が策定され、更なる魅力向上をめざした再整備が進行中です。
「桂浜海のテラス」は、高知のグルメをはじめ、ここでしか買えないお菓子やグッズが販売され、桂浜ミュージアムも併設された、食べる・買う・学ぶ・憩うをテーマにした商業施設エリアです。
「桂浜水族館」は、個性あふれる水の生き物たちへエサやり体験ができ、大人も子供も楽しめると話題になっている人気水族館です。土佐湾に生息する魚を中心に、海の生き物たちを飼育展示しており、幻の魚といわれるアカメの群泳展示が希少です。
龍王岬は眺めのよい2つの神社がある桂浜の聖地です。桂浜と地続きのように見えますが、独立した岩山なので龍宮橋を渡って上ります。海津見神社(わたつみじんじゃ)は龍王宮(りゅうおうぐう)とも呼ばれ、海上安全、漁業豊登、祈雨祈晴、商売繁盛、良縁成就などにご利益があるとされます。
明治16年(1883年)に龍頭岬に建設され、昭和46年(1971年)に現在の場所に移設された「高知灯台」は、光度31万カンデラの光で、土佐湾を航行する船の安全を見守り続けています。

桂浜公園_龍王岬・海津見神社

岬の突端にある海津見神社は神秘的な雰囲気です。

 

桂浜公園は、たくさんの観光施設や史跡があるおすすめの観光スポットです。ゆっくり歩いて回った場合の所要時間は1時間30分ほどの広い敷地を有し、公園内の施設に立ち寄ったり遊んだりすれば、丸1日十分に楽しむことができます。
お遍路道中では、32番札所禅師峰寺から33番札所雪蹊寺に向かう途中のエリアにあたりますので、休憩がてらぜひ高知の観光を楽しんでみてください。

 

【「桂浜公園」 地図】

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この記事を書いた人

建築・不動産・旅のテーマが得意なライター。社寺系ゼネコンに勤務経験があり、四国八十八ヶ所霊場の札所建築物の改修工事に携わったことがあります。仏教に興味があり、2022年には四国のお遍路巡礼もしました。ライターとは別名義で作家として小説も書いています。