結願所の88番札所大窪寺で奉納される金剛杖にはここまでたどりついたお遍路さんそれぞれの想いが宿る。遍路旅の時の流れを教えてくれる銀杏の木に迎えられた。
奉納されるたくさんの金剛杖
結願所である88番札所大窪寺では杖(お遍路では「金剛杖」と呼ばれてる)を置いていくお遍路さんが多いという。
大窪寺に到着して、奉納された杖が納められている「寶杖堂」と、納経所の辺りにも杖が何本か置いてあるのをみた。歩きお遍路さんにとってこの杖は弘法大師を示しており、旅の道中はたとえひとりで歩いていても、弘法大師とともに歩いているという言い伝えがあり、それは"同行二人"という言葉におきかえられている。
88番札所までの旅を終えたお遍路さんにとっては、それ以降の弘法大師の助けが必要でなければ杖をここで奉納するという習慣がある。もちろん、置いていかないで次の旅や記念のために大事に持って帰る人もいる。2020年は新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響で奉納される杖は少ないだろうが、それでもこれまで奉納されている杖の数に圧倒される。何より一本一本の杖に宿るストーリーがあると考えるだけで、お遍路さんそれぞれの想いの強さを感じることができる。
季節を教えてくれる大窪寺の銀杏の木
今回のミニベロ遍路旅の初日(2020年9月29日)に5番札所地蔵寺で出会った銀杏の木があった。地蔵寺の銀杏の木は実が落ちてきており、葉っぱはまだまだ若い緑色だったことを思い出す。
旅の途中でも銀杏の木があるお寺に立ち寄ると、その度に木の葉っぱの色を見ながら季節の変化を感じることができた。そしてついに88番目の大窪寺で葉っぱが黄色になっている銀杏の木がお迎えしてくれた。周りの紅葉の葉っぱもだんだんと赤色に変わってきていて時間の流れを自然が教えてくれるようだった。旅が始まってから1ヶ月、木の葉っぱが季節の変化を教えてくれる。そしてそれこそ自然の魅力。
旅の初めの方は気候も昼間は暑いぐらいだったのが、いつしか涼しく感じる日々。人それぞれ旅で受け取るメッセージは様々。銀杏の木が私にとっての季節のお便りとなった。太陽の光を頼りに自分の力で進んだミニベロ遍路の旅。銀杏の木が教えてくれた自然のリズムを感じながら、それまでの旅を振り返りながら88番札所大窪寺を後にする。
【ミニベロ遍路】88番札所大窪寺までの道の様子や境内の様子はこちらの動画をご参照ください。
【88番札所】 | 医王山 遍照光院 大窪寺(いおうざん へんじょうこういん おおくぼじ) |
宗派: | 真言宗 |
本尊: | 薬師如来 |
真言: | おん ころころ せんだり まとうぎ そわか |
開基: | 行基菩薩 |
住所: | 香川県さぬき市多和兼割96 |
電話: | 0879-56-2278 |