高知市中心部を出て西へ向かう。だんだんと都市部が背後に遠ざかり、続いて平坦な田んぼや畑の間の走行に変わり、さらに進むと35番札所清瀧寺の手前辺りで趣のある柑橘類の畑に出会った。
走行データその13 高知市内中心部の宿〜35番札所清瀧寺
区間距離:25.38km
実質所要時間:122min
平均走行スピード:12.8km/h
獲得標高:207m
高知市内中心部から35番札所清瀧寺までの道のり
たくさんの楽しい想い出をくれた高知市内を、後ろ髪を引かれながら出発。35番札所清瀧寺までは、ほとんどフラットな道が続くため、初心者でも楽に走ることのできるルート。高知市中心部を出てしばし進むと県道34号に入り、トンネルを抜けて33番札所雪蹊寺に着く。雪蹊寺と34番札所種間寺の間は広い畑や田んぼの間に通る道を走るので、とても気持ちよい走行が楽しめる。
清瀧寺までの道のりはその少し手前から坂道となる。坂道は狭い部分もあるので、車や他のお遍路さんに気をつけながら進む。ここでは、古いお遍路道を徒歩でのぼるか、もしくは車のために整備された新道のいずれかを自転車で進むという2つのルートから選択することができるが、古いお遍路道を歩む場合には、とても長い階段を上ることとなる。できるだけ自転車での旅を徹底してみたいという今回の旅のコンセプトから、車道を自転車を押しながら小高い山の上にある札所まで上ってみることにした。
少しきつい坂道だが美しい景色が目を楽しませてくれるため、それだけでも大きな価値がある。アプローチの坂を上がってゆくと、中腹に差しかかった辺りから山の上に佇む清瀧寺が見え始める。遠くから見ると随分高い山の上に位置するように見えたため、そこまで自転車を押して上るのは大変だと感じたけど、実際に押して上ってみると下から見た時に感じたほどのものではなく、意外と簡単にクリアすることができた。もし自転車を押して上りたい人には、あまりご心配なく、とお伝えしたい。それでも10月上旬の高知県の日中は、まだまだ日差しも強く暑さがたっぷりと残っていたため、いい汗をかくことができた。
柑橘類の段々畑で一考
35番札所清瀧寺に向かう坂の途中の山肌を覆うように、みかんと思われる木々が段々と並んでいて、柑橘類独特の香りが爽やかなそよ風に乗って漂ってきた。視界の開けた心地よい景色にうっとりし、ここで短く休憩をとった。森の奥の山肌に開拓された畑。何段も木の列がある。そんな風景を眺めていると、この畑は誰が管理してるのだろう、木々の手入れのために毎日ここまでたどり着くのは大変だろうなぁ、といった想像が巡る。管理しているのは地元のおばあちゃんかおじいちゃんに違いないけど、だとすればその世代がいなくなった場合いったい誰が、この素晴らしい風景を作る人の営みを引き継ぐのだろうかと感じた。
四国を旅する中で、都市部一極集中化と大部分が高齢者で支えられている田舎の現状を強く実感した。
清瀧寺は山奥ののどかで平和な空気感が漂うお寺だ。境内に立つ建物の横に、猫が静かにひなたぼっこをしてた。私も、お寺の境内をその猫みたいに静かに楽しんでから、また今さっき上って来た道を自転車で下った。そして再度みかん畑の前でストップして、これからも何十年も畑が続きますようにと祈ってから次のお寺へと進むことにした。