【21番札所太龍寺】寺院の起源になったお大師様と龍の伝説と龍天井

「西の高野」と称される21番札所太龍寺では、寺院の起源になったお大師様と龍の伝説が語り継がれています。この伝説を表現した龍天井は、参拝に訪れても見逃しがちなので、詳細な情報をご紹介します。

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21番札所太龍寺_門柱

21番札所太龍寺へのアクセスで、現代では主流になっているロープウェイ経由の入口には立派な門柱がありますが、歩きお遍路さんが最初にくぐる門とは異なります。

 

旧来の歩き遍路道を経由して到着する場所

21番札所太龍寺_参道

太龍寺道を経由して歩いて太龍寺に登ってきた場合、境内に入ってすぐの景色はこんな感じで、旧来の山門はこの写真のもう少し手前にあります。

昨今はマイカーや旅行会社が企画する貸切バス・タクシーなど車両での四国八十八ヶ所霊場巡礼が主流になり、札所の山門などもそちら向けに設置されている場合が多々あります。パッと思いつくところでは75番札所善通寺の駐車場がそんな感じですね。

標高618mの太竜寺山の中腹に位置する21番札所太龍寺へのアクセスは、現代ではロープウェイが主流になっています。自動車でも寺院の駐車場までこれなくはないのですが、道路が狭くて他車との離合があった場合にたいへんなのと、その駐車場から境内までの距離が結構あるので、歩き遍路以外のアクセス方法であればロープウェイがおすすめです。

 

太龍寺に伝わる龍伝説

21番札所太龍寺_降剣場

「場剣降(降剣場)」とあるこちらに太龍寺の伝説が秘められています。

この写真の場所をいつ通るのか、歩き遍路かロープウェイかで異なります。

歩き遍路や山腹の駐車場を利用した場合は、境内に入ってまず最初に横を通ります。しかし、ロープウェイ利用であれば、参拝後にこの写真の場所の横にある納経所に行くことがなければ、こちらには来ることはないので、納経授与が代行の団体バス遍路などの場合は、こちらには訪れないケースが多いと思います。

21番札所太龍寺_龍天井

21番札所太龍寺の起源となった龍が描かれている天井です。

一般的に龍天井といえば美術的な観点から「おお~」と唸る代物で、21番札所太龍寺のそれも明治期由来の由緒正しい文化財なのですが、こちらの龍天井には別のエピソードがあります。

昔々、お大師さまが太竜寺山に入山した際、霊験を感じ当地で修行を行っていたところへ現れたのがこちらの龍で、龍は雷雲を呼び嵐を起こす力を持ちますが、その能力を用いて太竜寺山で修行に励むお大師さまの邪魔を企てます。度重なる妨害に堪り兼ねたお大師様が念じると二本の剣が空から降臨し、それを手にしたお大師さまは龍を退治しました。その封じ込められた龍がここの天井に居る、という伝説にちなむものです。

21番札所太龍寺_龍天井拡大

お大師様とのエピソードを知ってから龍を見ると、目つきなど何となく良くないものに見えてくるから不思議です。

龍は主に東洋で登場する架空の生物ですが、中国では権力の象徴として装飾品などにあしらわれることがあります。カンフー映画を見ていると見ることができる、道着の背中に描かれているそれです。

かたや日本では前述の太龍寺伝説のように雷雲を呼び嵐を起こす者として、かっこいいよりかは忌み嫌われる存在であるように思います。大きな力を持つ存在を丁重に祀ってなにとぞなにとぞと鎮める姿は日本人らしくもありますね。この龍天井にはその意味合いも含まれていそうです。

ただし、四国の中でも香川県では龍を恵の神として崇める場合があります。雨が少ない香川県では、ほどほどの降雨であればそれを呼び寄せる存在は希有なわけですね。ところ変われば、です。

 

太龍寺ロープウェイを利用した際の山上でのタイムスケジュール

太龍寺ロープウェイ

太龍寺ロープウェイを利用した際は、山上で慌てず余裕を持ってお参りください。

21番札所太龍寺を参拝するに際して、多くの参拝者が利用するロープウェイでアクセスした場合、龍天井には気付かずに下山してしまいがちです。ロープウェイの運行ダイヤが8時から16時の毎時20分ごと、運転時間が約11分で、ついつい復路の便の時間を気にしてしまうためです。


仮)
【山麓】12:00乗車
↓ 約10分
【山上(21番札所太龍寺)】12:10到着

折り返し便12:20
※来た便の折り返しでロープウェイ下山することはあまり無いと思います

・ この間参拝など

①【山上(21番札所太龍寺)】12:40発車 ※持ち時間約30分

②【山上(21番札所太龍寺)】13:00発車 ※持ち時間約50分


①に乗車しようとすると山上での持ち時間が非常にタイトになります。実際にはロープウェイ山上駅に5分か10分前に戻って来て乗車待ちをすることを考えると、更に持ち時間が減少します。龍天井には気付かないか、知っててもじっくり見る時間がないかもしれません。
個人参拝であれば納経所を訪ねると思いますので、その横にある龍天井に気付くかもしれませんが、納経所へ来ることが無い団体での参拝であれば山上駅→本堂→大師堂→山上駅の行き来のみで、①のタイムスケジュールで動くことを指示されるかもしれません。
21番札所太龍寺がなかなか来ることができない場所であるのもですが、ロープウェイ代金がそこそこ必要であることを考えると①で慌ててはもったいなく感じます。

旅のお時間が許すのであれば、

(仮)
【山麓】12:00乗車
↓ 約10分
【山上(21番太龍寺)】12:10頃到着

・ この間参拝など

【山上(21番太龍寺)】13:00発車 ※持ち時間約50分
↓ 約10分
【山麓】13:10頃到着

最低でも②のスケジュールで参拝されることをおすすめします。

歩き遍路であればロープウェイ発着時間の制約が無く、そもそも登ってきたところに龍天井があるので、それに気づかないということはあまり無いと思います。境内に入ってまず最初に拝観されるのも良いと思います。
ただ、ここまで20番札所鶴林寺から21番札所太龍寺へと二山越えてきて、日没になるまでに下山しないといけないスケジュールで歩んできたお遍路さんであれば、山上でゆっくりできるかといえばそうとも限らないところが歯がゆいですね。
※太龍寺ロープウェイに関しては、以下リンクの記事でも紹介されていますので、こちらもぜひご覧ください。

【道の駅鷲の里】21番札所太龍寺への玄関口で太龍寺ロープウェイと一体となった道の駅

 

太竜寺山の山頂付近に位置する21番札所太龍寺を訪れた際には、時間に余裕をもって、寺院の起源になったお大師様と龍の伝説と龍天井にぜひご注目ください。

※21番札所太龍寺から太竜寺山の山頂方面にさらに登った先にある奥の院「舎心ヶ嶽」への道のりと詳細情報を以下リンクの記事でご紹介していますので、こちらもぜひご覧ください。

【21番札所奥の院舎心ヶ嶽】弘法大師空海修行の霊山へと続く道のり

 

【「21番札所太龍寺 持仏堂(龍天井)」  地図】

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この記事を書いた人

四国遍路案内人・先達。四国八十八ヶ所結願50回、うち歩き遍路15回。四国六番安楽寺出家得度。四国八十八ヶ所霊場会公認先達。 高松市一宮町で「だんらん旅人宿そらうみ(http://www.sanuki-soraumi.jp/)」を運営。