歩き遍路の特に序盤は先を急いで一心不乱に歩きがちですが、ぜひゆっくり歩いてください。 遍路道の史跡を楽しむのもゆっくり歩く方法のひとつ。3番札所金泉寺を出発してほどなくの「岡の宮の大クス」 でぜひ寄り道を。
先を焦って速く歩いてもいいことはない?
諸先達が口をそろえて「焦って速く歩いてもいいことは何もない」と言われます。
私ももう少し進んでからそれを実感するのですが、それは別の機会にご紹介するとして、一般的にいわれている速く歩くことのデメリット・リスクをいくつかご案内。
●早く巡礼することに修行の要素はない。遍路の巡礼旅路すべてが修行の場なので、十分に時間をかけて巡礼した方が多くの時間修行につとめたことになる。
●周りを見る余裕がなくなると、道間違いのリスクが高まり、余計に時間がかかったり、予期せぬ危険遭遇の可能性が発生する。
●速く歩行することにより、怪我や疲労のリスクが高まり、結果的にペースが落ちる、最悪の場合歩行中止を余儀なくされる。
●遍路道沿いの景色や史跡を楽しむ、地元住民との触れ合いなど、札所を巡る以外の様々な出会いの機会を逸する。
特に序盤は、気持ちも体も遍路に慣れておらず、自分のペースをつかみづらいですので、「こんなにゆっくり進んでいて大丈夫か?」というぐらい遅めのペースを心がけた方が長期的・結果的には良いことになると思います。
遍路道沿いには史跡や見どころがたくさん
歩き遍路では、旧道をゆっくり進んでいきます。
遍路道沿いにはお大師さまゆかり・地元に長く息づく史跡や、景色や文化を楽しむことができる見どころが多く存在します。
このような場所を見逃すことなく、ぜひゆっくりと進んでいただきたいもの。
今回ご紹介する「岡の宮の大クス」も見事な史跡のひとつで、「岡上神社」の境内にあります。
3番札所「金泉寺」を出発してほどなくして通りかかりますので、焦る気持ちを抑えるにはちょうど良い場所です。
樹齢約700年の徳島県指定天然記念物
見どころはもちろん巨大なクスの木!
百聞は一見に如かずで、まずは写真をどうぞ。
古来より「御神鏡木」といわれていて、約25mと太い根回り、一つの根から幹が三つに分かれ、うち一つが更に二つに分かれて、四つの幹がせり合うように並立しているのが見どころです。
遍路道沿いにいきなりこのクスの木を見かけたときには、かなりの驚きと圧倒される雰囲気を感じ、立ち止まらずにはいられませんでした。
「岡上神社」は実は生活道路の一部
「岡上神社」の社殿は大クスから石段をあがった丘の上にありますが(丘を上がるまでは私は寄り道できませんでした…)、何人か神社から降りてくる地元の人を見かけました。
昼間にけっこう参拝されているのかと思いきや、実は丘の上には住宅地があり、神社を通って遍路道方面に降りてくると、板野駅方面の市街地に近道なのです。
地元に根付いている史跡、毎日大クスに見守られながら出かけていく生活道路、なかなか素敵な出会いでした。
【史跡名】 | 岡の宮の大クス(おかのみやのおおくす) |
【神社名】 | 岡上神社(おかのうえじんじゃ) |
住所: | 徳島県板野郡板野町大寺字岡山路7 |