【知多四国霊場47番札所持宝院→48番札所良参寺】風光明媚な切通しを通るお遍路古道

知多四国霊場の47番札所持宝院と48番札所良参寺までの区間に、地域の人が切り開いた峠の切通しを通るお遍路古道がのこされています。現代では通行する人は減りましたが、地域の自然や歴史を感じることができる良道です。

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知多四国霊場47番札所持宝院から48番札所良参寺の区間にあるお遍路古道

知多四国霊場のお遍路道には、昔のお遍路さんが使っていたとされる古道がいくつかのこっています。
その中で、南知多町内海(うつみ)地区から、美浜町の小野浦(おのうら)地区に抜けるお遍路古道は、知多四国霊場47番札所持宝院(じほういん)から48番札所良参寺(りょうさんじ)までの区間の一部で、主に大正時代までたくさんのお遍路さんが行き交っていたそうです。
知多四国霊場が開創された江戸時代後期は、村間を移動するための主要道がこの地域にはなく、村人が昔から通っていた道幅の狭い山道や田畑の中の道をお遍路さんも利用しており、その名残が今回ご紹介するお遍路古道です。

昭和時代に入り、海辺に元々通っていた細い道が広く新しい道路(国道247号線)として整備されました。戦後は公共交通機関やマイカーで知多四国霊場を巡拝するお遍路さんが急増したので、新しい道を利用する人が大部分となり、このお遍路古道を歩くお遍路さんは激減していきました。
ですが、古き良き道として、先達や地元の人の手によって定期的に整備が続けられ、通行可能なように維持され、現行版の歩き遍路マップにも掲載されています。

 

旧常滑街道にあたるお遍路古道区間の詳細道案内

このお遍路古道の道順をご紹介します。

47番札所持宝院を出発し、県道52号を南に進み、内海中学校が目印の十字路右折して、西に真っ直ぐすすみます。

47番札所持宝院_境内入口

47番札所持宝院を出て南に一本道を進むのでわかりやすいです。

県道52号十字路_内海小学校

内海中学校と名鉄内海駅が目印の十字路を右折して西に進みます。

県道52号線を西に約500m進んだ先に信号機の無い十字路(大岩牧場が目印)がありますので、右折して西方面に進みます。県道52号をそのまま真っ直ぐ進み、国道247号に合流して西に進むルートは、現代の多くのお遍路さんが通る一般的なルートです。

県道52号十字路_大岩牧場

県道52号からお遍路古道方面への分岐は「大岩牧場」が目印です。

旧常滑街道

お遍路古道方面に分岐した道は旧常滑街道で昔の主要道です。

県道52号分岐_地図

地図で見ると現在のお遍路さんが一般的に通る道と、お遍路古道方面の旧常滑街道はこのように分岐しています。

お遍路古道の範囲として明確な区切りはありませんが、県道52号から西に分岐する旧常滑街道から、美浜町小野浦交差点までが現代のお遍路さんはあまり通らなくなった道で、この分岐点から地域の境目の内海峠(山の頂上)までの距離が約2kmで、私が歩いたときは約30分で到着しました。

旧常滑街道_内海峠手前

舗装はされていますが、道幅は狭く、昔の道の名残があります。

内海峠

内海峠までの道中は、石柱やお遍路道の看板もないですが、一本道なので迷う心配はありません。

内海峠からの下り道

内海峠を抜けると視界が開けて景色を楽しむことができます。

内海峠下り_三叉路

内海峠から下っていくと三叉路があり、右方向に進みます。

小野浦交差点付近

峠道を下りきると海沿いに出て「小野浦交差点」で国道247号に合流します。

小野浦交差点

小野浦交差点からは国道247号を西に進みます。

国道247号_小野浦交差点_地図

小野浦交差点付近のルートを地図で見るとこのような感じです。

国道247号線_48番札所良参寺の分岐点

247号線を西に進むと、交差点に知多四国霊場の旗が見えるので、それを目印右折すると48番札所良参寺方面です。

知多四国霊場歩き遍路マップ_47番札所持宝院から48番札所良参寺

現行版の知多四国霊場歩き遍路マップに、47番札所持宝院から48番札所良参寺までのお遍路古道を通るルートが掲載されています。

県道52号分岐から内海峠(頂上)までは、なだらかな登り区間が約2km続き、そのあとは約700m下ると国道247号の小野浦交差点に到着します。
内海峠までは登りが続くので少々苦労するかもしれませんが、全区間路面は舗装されているので、歩きやすいと思います。

47番札所持宝院から48番札所良参寺までの全行程は約5kmで、普通のペースで歩いて約1時間ほどの道のりです。道中の旧常滑街道にあたる約3kmがいわゆるお遍路古道区間になりますが、豊かな自然や昔の街道の風情を特に感じることができます。
ただし、道幅が狭く崖もあり、山の中を抜ける峠道なので日中でも薄暗く、日が傾くとよりいっそう暗くり、街灯や民家もないので、油断はせずに、できれば単独歩行ではなく複数人で通行することが推奨されています。冬の時期でも積雪は少ない地域ですが、海が近いため風が強い日もあるので、防寒対策はしっかりとして歩まれてください。

知多四国霊場現行版の歩き遍路マップにも掲載されているお遍路古道ではありますが、現代では通行する人が少ないので、お遍路初心者など不安な人は県道52号から内海南浜田交差点で国道247号に出て、西に進むルートを選ばれるのがよいかもしれません。国道247号は海沿いのわかりやすい道で、日が暮れてもホテルや旅館もあり車通りも多いので安心して歩くことができます。

 

切通しから自然と歴史を感じる「内海峠」

このお遍路古道の見どころ・魅力はなんといっても「内海峠」です。

南知多町内海地区と美浜町小野浦地区の境目の標高約100mの峠です。大正時代頃までは、多くの地域の人がこの峠を往来していたそうです。当時の内海は、尾州廻船と呼ばれる貨物船が立ち寄る海上交通の要衝で、多くの船主や商人が住んでいました。しかし、内海と北川の小野浦の間には山があり、陸路での移動は困難だったため、明治2年(1869年)に内海の船主たちが自費で内海峠の道路を開削し道を通し、地域の交流が活発になったという歴史があります。
現在の内海峠までの道は舗装されていますが道幅が狭く、自動車での通行は不可、バイクか自転車、人が歩くという手段で通行できます。

内海峠には「切通し(きりどおし)」が3ヶ所存在し、現在通行できるのは2ヶ所です。むき出しの岩肌から自然の雄大さを感じ、木々がトンネルを形成し太陽の光が差し込む美しい切通しの様子は、ここを切り開いた人達の努力や歴史を垣間見ることができるノスタルジックな風景でもあります。
お遍路道中で、自然と歴史を体感できる絶好のスポットです。

内海峠_切通し

地域の人達が岩を削って切り開いた内海峠の切通しです。

東木庭切通し_通行止め

3つの切通しのうち「東木庭切通し」は現在は通行止めになっています。

 

47番札所持宝院から48番札所良参寺の区間にあたる旧常滑街道を通るお遍路古道は、南知多の美しい自然や歴史の痕跡を体感できる素晴らしい道だと思います。地元の人や知多四国霊場の先達さんの厚意で、お遍路さんのためにお遍路古道の整備やサポートが続けられていますので、感謝の気持ちを忘れずにお遍路古道歩きを楽しんでください。

※48番札所良参寺から次の49番札所吉祥寺までの区間にもお遍路古道がのこされており、以下リンクの記事で紹介していますので、ぜひこちらもご覧ください。

【知多四国霊場48番札所良参寺→49番札所吉祥寺】昔の丁石がのこる史跡お遍路古道

 

【「内海峠」 地図】

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この記事を書いた人

知多半島のお寺が好きで、知多四国霊場を中心にいろいろな霊場を巡礼し、観光やご当地グルメ(特にラーメン)も楽しんでいます。御朱印集めも趣味で、知多半島のお寺の御朱印はもちろん、全国各地の御朱印をもらいに巡り、アート御朱印などは取り寄せたりもしています。