結願の88番札所「大窪寺」近くには、多くの遍路墓が残っています。
結願を目前にしながら亡くなったのか、結願を果たして力尽きたのか、昔の遍路の過酷さやお遍路さんの想いを偲ぶ重要な史跡です。

平安時代から続く「庚申信仰」

結願の88番札所「大窪寺」への旧遍路道には多くの史跡が残っています。
昔のお遍路さんが頼りに歩いた「丁石」は、現在の遍路道中では見つけづらくなっていますが、さがし歩いてみると結願への気持ちも盛り上がっていくと思います。
※「丁石」に関しては、以下リンクの記事もぜひご覧ください。

結願の「大窪寺」への「丁石道」で「丁石」を捜し歩く【88番札所「大窪寺」への旧遍路道】

その他にもいろいろな史跡があるのですが、そのうちのひとつに「庚申塔(こうしんとう)」があります。

大窪寺に向かう途中の槙川地域にある「庚申塔」がこれです。この塔は文化9年(1812年)に建立されたとのこと。

大窪寺に向かう途中の槙川地域にある「庚申塔」がこれです。この塔は文化9年(1812年)に建立されたとのこと。

庚申塔とは、中国の道教の「三尸説(さんしせつ)」が元になった「庚申信仰」を象徴する塔です。
人間の体内には三尸という3種類の悪い虫が棲み、人の睡眠中にその人の悪事をすべて天帝に報告に行くため、三尸が活動するとされる庚申の日(60日に一度)の夜は眠ってはならないとされ、庚申の日の夜は人々が集まって、徹夜で過ごす風習があったそうです。
上の写真の庚申塔も典型的ですが、塔の上部に日と月があり、三尸(さんし)を押さえる「青面金剛(しょうめんこんごう)」が六つの手で法具を持ち、足元には山王の神使である猿が「見ざる・聞かざる・言わざる」の形で描かれています。

平安時代から明治時代にかけて長く信仰されていた「庚申信仰」では、60日に一度は集落の人々が一堂に会し、夜を徹して五穀豊穣・悪疫退散・無病息災・子孫繁栄などを願っていたそうで、そのような風習を垣間見ることができる史跡を遍路道近くで見ることができるのは貴重な機会です。

十五丁石の近くにも庚申塔が残されています。

十五丁石の近くにも庚申塔が残されています。

【「槙川の庚申塔」 地図】

 

昔のお遍路さんの苦労と思いを偲ぶ「遍路墓」

大窪寺の近くには昔のお遍路さんの「遍路墓」が多く残っています。
結願を目前に倒れてしまったのか、結願を迎えおもいを遂げて亡くなったのかはわかりませんが、昔のお遍路さんの過酷な遍路の様子を垣間見ると同時に、地域の人達が手厚く葬り供養を続けてこられた遍路と地域の関わりを示す重要な史跡でもあります。

これは十五丁石付近から今は通るお遍路さんが少ない川沿いの道を進んだ先にあった遍路墓です。

これは十五丁石付近から今は通るお遍路さんが少ない川沿いの道を進んだ先にあった遍路墓です。

上の写真の遍路墓は、盛り土に自然石を置いただけの簡素な遍路墓で、このようなお墓が今でも残っていることは少なくなっています。
ただし、このお墓も地域の方がこの場所までお参りにくるのが難しくなり、2015年12月に集落に近い場所にうつされることになったそうで、今現在は痕跡を残すのみになっているそうです。

いろいろな場所にちらばっていた墓石を集めている墓地もあります。

いろいろな場所にちらばっていた墓石を集めている墓地もあります。

また、大窪寺近くの車道脇の墓地にも遍路墓を集めている墓地があります。

国道377号沿いの現代のお墓も並ぶ墓地に遍路墓が集められています。

国道377号沿いの現代のお墓も並ぶ墓地に遍路墓が集められています。

複数の様々な形のお墓が並んでおり、墓石に刻まれた出身地は関西地域を中心にいろいろな場所が記されています。

複数の様々な形のお墓が並んでおり、墓石に刻まれた出身地は関西地域を中心にいろいろな場所が記されています。

このような遍路墓の多くは江戸時代に建立されたもので、全国から四国に訪れるお遍路さんが四国内で亡くなり、地域の人達が現地で葬って歴史を示す貴重な史跡でもあります。

 

遍路や地域文化は時代によって変化をしてきていますが、その時代の様子を垣間見れる史跡が地域の人達の手によって残されているものがありますので、現代のお遍路さんもこのような歴史に触れ、後世にも引き継いでいきたいものです。

 

 

スポンサーリンク

 

pilgrim-shikoku-logo_set 四国遍路情報サイト「四国遍路」 TOPページに戻る


The following two tabs change content below.

佐藤 崇裕

四国遍路情報サイト「四国遍路」を運営する株式会社四国遍路(http://shikokuhenro.co.jp/)の代表取締役。四国遍路の文化をより良い形で引き継いでいくために、四国遍路に新しい付加価値を生み出すべく日々奮闘中。