四国最南端の岬である「足摺岬」は、断崖絶壁の地形や四国では特異な亜熱帯性気候など特殊な景観を楽しむ観光客が多く訪れます。日本最大級の足摺岬灯台がシンボルになっていて、太平洋から昇る朝日と太平洋に沈む夕日は絶景です。
断崖絶壁と亜熱帯性気候が特徴の「足摺岬」
高知県の西部、土佐清水市に属する南方向に突き出た形の足摺半島(あしずりはんとう)の先端部分にあたるのが、四国最南端の岬である「足摺岬(あしずりみさき)」です。
お遍路ルートでは、足摺岬に38番札所金剛福寺があり、順打ちでひとつ前の札所にあたる四万十町にある37番札所岩本寺からは約85kmの距離があり、札所間の距離としては最長で、難所のひとつとされています。
四国最南端だけあって、地形や気候に特徴があります。
まずは、高さ80mほどの場所もある断崖絶壁の地形です。足摺岬の沖は太平洋を南方から流れてくる黒潮本流が直接ぶつかる場所であり、このような地形を生み出しています。荒波が押し寄せる険しさを感じる一方で、海流にのって魚が北上してくる日本屈指の漁場でもあり、海の恵みをもたらしてくれています。
この雄大な景色を楽しむのであれば、展望台がおすすめです。展望台の眼下には、青い太平洋の海が広がり、荒波を間近に感じるとともに、彼方の水平線がアーチ状にみえる雄大さも体感することができます。
また、展望台周辺には遊歩道が整備されていて、ツバキ・ウバメガシ・ビロウなどの亜熱帯植物が密生しています。足摺岬がある足摺半島には約15万株のツバキがあるといわれていて、足摺岬周辺だけでも約6万株の椿が自生しているそうです。四国でもここまで南に来ると、亜熱帯性気候になり、植生も変わってくるというのはたいへん興味深く、四国ではここだけの植物を見ることができます。
展望台からさらに徒歩15分ほどで、到着するのが、展望台からも遠くに見えている「足摺岬灯台」です。高さ18mの日本最大級の大きさで、38km先まで光が届くとされ、大正3年(1914年)に点灯されて以降、太平洋の海を監視し続け、今なお現役の足摺岬の観光名所にもなっています。
足摺岬からは、海から出てくる日の出と海に沈む日の入りの両方をみることができ、早朝や夕方に散策するのもおすすめです。
このような特殊な環境が評価され、ミシュランガイドで二つ星に輝いたこともある人気の観光地です。
長旅の疲れを癒してくれるラドン泉質の「足摺温泉」
観光客やお遍路さんがたくさん訪れる足摺岬には温泉が湧いていて、その温泉を引いたホテルや旅館がたくさんあるのも魅力です。昔ながらの温泉旅館から、釣り人向けの民宿などいろいろなタイプの宿があり、最近ではグランピング施設を備えた宿泊施設が新しくオープンしたり、休憩でさっと立ち寄りやすい足湯施設ができるなど、訪れる人を楽しませる取り組みを積極的に行っているようです。
足摺温泉の成分はラドンを含んだ泉質で、体の疲れを癒してくれるとお遍路さんにも好評です。足摺岬の38番札所金剛福寺は他の札所と離れているので、ここでゆっくり休憩や宿泊をして次の札所を目指す拠点にもなっています。
足摺岬は、四国の中では特異な景観で、訪れた人を驚かせ楽しませてくれる観光地です。お遍路道中では難所のひとつですが、金剛福寺の参拝だけではなく、足摺岬をじっくり散策して、太平洋の雄大な景色や疲れを癒してくれる温泉をぜひ楽しんでください。
【「足摺岬」 地図】